<デフ男子日本代表第2回強化合宿>
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6月13日、東京の障害者総合スポーツセンターで、デフ男子日本代表第2回強化合宿が行われた。2日目のこの日も、昨日と同じく午前はドリブルドリルから一通り確認し、林ヘッドコーチの講義をはさんで午後は実践的な練習を行った後、最後に東京都クラブ選手権4位の弥生クラブと練習試合を行った。
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6/13(日)
フットワーク、ストレッチから。ストレッチでは、床を手や足でどんどん、と叩いてその動作と振動で合図を送る。ドリブルシュートでは、やはりフィニッシュに丁寧さが欠ける場面も。続いての2メンは、坂本ACと林HCがゴール前に立ち、甘いパスは容赦なくカット。フォーメーションでは、ボールのもらい方を中心に何度もやり直しがあった。「動きにメリハリをつけて」と林HC。この日も体育館を使える時間ぎりぎりまで行った。 昼食の後は講義。林HCが、仙台高校のビデオを見せながらディフェンスについてポイントをレクチャーした。その後、東京の女子チーム・ドルフィンズのメンバーから、昨日の試合を見て気付いたことをアドバイス。 午後はハーフコートの5on5から。手塚がうまくスクリーンを使って何度も3ポイントシュートを決める。だんだんゲームライクになっていき、弥生クラブとの試合に備えた。 |
<今日の練習メニュー>
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講義では仙台高校のDFを参考に
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林HCの話に耳を傾ける |
<デフ男子日本代表 練習試合> 6月13日(土) 会場:東京都障害者総合スポーツセンター
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第1クォーター序盤は4−6と互角も、攻めあぐねて速攻され4−14になる。攻守の切り替えで先手を取られ、その後も弥生クラブに高確率でシュートを決められ残り4分5−18でタイムアウト。ボール周り、カットインは悪くないが、直前の練習では調子の良かった手塚も含め最後のシュートが決まらず、12−29とされる。 第2クォーターは、残り5分まで21−44とついていくが、その後速攻を続けて受け21−59。残り15秒でやっとワンゴール返し前半を62−23とする。 第3クォーターに入ると疲れが見えて、残り3分27−77と50点差になる。そこからさらに得点を積み上げられ27−87。 最終クォーター、2回のタイムアウトを使って徐々に修正するも、点差は開き45−114で終えた。 大差がついたが、最後までルーズボールなどあきらめずにプレーし、弥生クラブもそれに応えて最後まで手を抜かなかった。 |
中山選手とマッチアップした弥生クラブの渡辺浩伸選手 「今日は楽しみにしていました。何といっても五輪(デフリンピック)選手ですから!どうやるのかなと思っていましたが、一生懸命ですごいなと思いました。こういうバスケットもあるんだなと感心しました。何も気にせず、力を抜かずにやりましたよ。」 辻選手とマッチアップした足立卓也選手 「今日は楽しかったです。自分とは違うバスケットが存在しているというか…聞えないというハンディキャップを感じさせないプレー、意欲を感じました。なので自分にとってもプラスになりましたね。本当に普通の人と変わらないです。もともと地域の体育館開放などでここにいる何人かと一緒にやったことはありましたが…。インサイドも怖がらず向かってきたし、一生懸命でパワフル。もっとやれると思いますよ。」 この試合を吹いたレフェリー 「今日は普通にやっていいと言われていました。(デフ代表のプレーは)身長・スピードのある強いクラブが相手だったので、自分のプレーが出せていないかな、と思いました。相手をあまり意識しないでやれていたら良かったのでは。レフェリングについては、ちょっと時間がかかるだけでわかってくれましたよ。」 「普段と違うなと思ったのは、笛を吹かなくてもプレーが止まった時。一般の選手なら笛が鳴るまでやるが、選手に“やられた感”があって止まったのでしょう。そうなるとプレーヤーが正しいんだろうなと思いました。今日は、始まる前はどうやってきちんとプレーを止めさせるかを考えていましたが、思ったよりも普通に止まってくれました。」 |
<練習後のミーティング> 「今日は良かったことも言おう。」だが最初の中山は「良かったところは…わからない」と本当に向上心に溢れた選手達。「昨日よりいいパスが出来た。でもまだガードとして信頼されるまでいっていない。今回は人数が少なくて試合に多く出られていい経験になったから、これを生かせるようにしたい」。 次に手塚。「こんな機会がまたあったらいいと思う。昨日よりはディフェンスを頑張ったつもり。でも結果は昨日より悪かった。頑張ってもいれられてしまう原因がわからない」。 辻。「勉強になった!ディフェンスで、自分より大きい相手にはボールを持たせない前守りが良いんだってわかった。オフェンスでは1on1無理…。ブロックされてしまったから、もっとフェイクを使えるようにならないといけない。後は、ベンチの人が盛り上げてくれてよかった。相手が大きくても頑張れた。」 雪森。「昨日の反省がうまく生かせたかどうかはわからなかった。昨日もそうだけれど、最初は競っていても、途中で差が付いていくのは、体力と一緒に集中力も切らしてしまったからだと思う。相手が強くても向かっていく気持ちがあったのは良かった」 。 須田。「ガードとして運んでくるときにミスがあって、皆のシュートチャンスをつぶしてしまったのは申し訳ない。(地元のチームに)帰ってからも頑張りたい。それから、フォーメーションは手塚のシュートまで持っていけず、それから手塚を見過ぎて他のノーマークを見られなかった。もっと1人1人の持ち味を引き出せるガードになりたい。それから、チームの気持ちが1つになってきたのを感じた。これは一番嬉しいこと。」 日比野は、最終日(14日)が月曜日のため、「世界大会で仕事を休む分、今はなるべく休まないように」ミーティングの冒頭部分で帰路へ。 続いて昨日と同じくコーチ陣。坂本ACは、「まず皆に謝りたい」。「試合の流れの中で、タイムアウトのタイミングがベストだったかどうかは、経験が少ない分わからない。ゲームをやっているのは皆だから、流れが悪いと感じたら言ってくれて構わない。皆がその時その時に持っている力を100%出せるようにしたいから。 それから今日は、皆勉強になったと思う。特に辻(190cm)は、デフバスケの中では自分より大きい人がなかなかいないからね。相手チームも手を抜かず最後まで一生懸命やってくれた。それは僕達が一生懸命だから応えてくれた。自分達があきらめたら、向こうにも伝わるもの。 今回は、人数が少ない分1人1人を良く見られて良かったです。」 そして、本当は明日の用事のため今夜帰る予定だったのを明日早朝に変更してミーティングに参加した林HC。「今日は2チームとも本気だった。差が付いたのは、これまでの環境が違うからしょうがない。これは、“もっと頑張れ”というメッセージ。これであきらめたらバスケットをする資格はない。得点も負けてる、気持ちも負けてるでは適当にしといたらえぇ。でも、今日は気持ちで負けていなかった。後は技術をあげること。チームに戻っても、相手が自分より小さくてもフェイクで飛ばしてから打つようにするとか。後はスタミナをつけること。そうすれば相手のように集中力を保てる」。 その後は普段の練習の話に。「スタミナをつけるには、お風呂でもぐって限界まで息を止めぃ!高地トレーニングと同じ原理」との林HCの案に、「この後お風呂で皆でやろう!」と言い出す選手も。また、「バスケット用語を覚えないと」ということで資料がどっさり配られ、「次回合宿でテスト!」たくさんの宿題=意義のあった2日間となった。 明日は、当初の予定を変更し、JBLスーパーリーグ・東芝との合同練習となった。 |
2mの選手とマッチアップした辻 |
日比野(下)と雪森の ルーズボール |
サインを出す須田 |
<取材・文 北村美夏>
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