<男子日本代表第1次強化合宿>

15日、東京の国立科学スポーツセンターで、バスケットボール男子日本代表の第1次強化合宿が始まった。
第1次合宿は18日まで行われる(見学は、施設の都合上不可となります。)

1日目参加選手(11名):網野、五十嵐、伊藤、柏木、柏倉、桜井、菅谷、仲村、古田、山田、渡邊
※竹内公、竹内譲、太田は途中合流の予定                       
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4/15(木)
11名が参加して、今年度の男子日本代表がスタートした。アップは、言葉を交わすなど和やかな雰囲気。2メンは、ガードの3人(五十嵐、柏木、柏倉)のみ手渡し3メンで行った。両方のエンドに3組ずつ分かれ、交互にスタートしていく。「もっと強いパスを」「スピードを上げよう!」とジェリコHCから声が飛ぶ。網野ー桜井のペアは、まず網野がシーズンオフとは思えない軽いダンクを披露すると、桜井もすかさず続いた。

休憩を挟んでのスクリメージは、チームA:伊藤、柏倉、桜井、山田、渡邊。チームB:網野・五十嵐・柏木・古田・仲村となり、菅谷は別のリングで加賀谷アシスタントコーチとリング下シュートを行った。
2年目ということもあり、パス回しは早い。ゴール下も力強く1対1を仕掛ける。アウトサイドでは仲村のシュートタッチが良い。渡邊はカットインにパスなど落ち着いていた。
途中から古田に代わって菅谷が入る。リバウンドやミドルシュートなどを決め、網野が「ナイッシュ」と盛り上げる。後半は桜井にもボールが良く回り、ミドルシュートを確率良く決めていた。

<今日の練習メニュー>
16:30 ミーティング
17:00 アップ開始
17:05 ストレッチ
17:10 フットワーク
17:20 2メン
17:30 休憩
17:35 スクリメージ
18:15 休憩
18:20 ハンドリング
18:25 補強
18:30 2人組シューティング
18:55 終了


その後は、1人ボールを1つ持ち、足・腹・頭の周りなどを組み合わせたハンドリング。続いて、補強は腹筋10種類×10回。山田が手本として前に出た。最後に2人組シューティング(菅谷は1人でセビッグマンドリル)、フリースローシューティーングを行い、この日の練習を終えた。(記事中敬称略)

<ジェリコHC語録>
(スクリメージの先攻決めで)「シュートを決めてくれる人はいますか?」(挙手なし)「じゃあ、柏倉。いつもは外すから、今日はどうかな」(“負けんな〜!”という他選手の声が上がる中、放たれたシュートはリングをはじく)「やっぱり伝統は伝統だね。」

<ジェリコHC裏語録>
(膝にアイシングする山田に)「それじゃあ、山田はもう(A代表メンバーの中で)若いグループには入れないね。年寄りグループの方だ。」

2メン:ダンクする桜井

スクリメージ:伊藤のシュート

菅谷に指示するジェリコHC

<インタビュー>
新チームをまとめる古田キャプテンと、2年目の山田選手、そしてスプリングキャンプ最終日に抜擢を言い渡された3人の選手(大宮・西塔は追加)、柏木・桜井・菅谷選手に聞きました。

古田悟キャプテン
「もう11年目になりました…(笑)。チームの状況なども考えると、来ようか正直迷いましたが、せっかく選んでもらったのだからやっぱり顔を出すのが礼儀かな、と。今年は大きな大会はありませんが、2006年の世界選手権までの2年というのは長いようで短いですから、若い選手達の手助けが出来ればな、と思います。HCとじっくり話したわけではありませんが、そういう役割で呼ばれたと思っているので。」

・山田大治選手
「(左膝にテーピング)スプリングキャンプの時にちょっと痛めていたんですが、大丈夫だろうと思ったら引きずってしまいました(笑)。でもそれでもやらないとね…一番怒られますから(笑)。今年は2年目なので、去年の最初のときのように遠慮してやりづらい、ということはなくて、コーチの考えも大体わかってきたし、慣れてきましたね。」

・柏木真介選手
「自分は下のカテゴリーから上がってきた人間なので、特にやりにくいとかはなかったです。ただ、社会人になってから、トレーニングが出来ず、ボールに触わる機会も土日くらいしかなかったので、自分の体が本当に動かなかったですね…。だから何とも言えないですが、プレッシャーなども特に感じずにやれていますよ!」

・桜井良太選手
「今日は声もあまり出せず、ダメでした(笑)。でも、他の方が普通に接してくれたので、緊張とかはなかったです。2メンのダンクは対抗してやったとかではなくて、網野さんが「やれ、やれ」って言うから…。今年はA代表に参加するために長く学校を離れるので心配もありますが、きっとみんなはきちんとやってくれると思います。ユニバの方と掛け持ちなのは、大変と言えばそうなのかもしれないけれど、楽しみっていうほうが大きいです。」

・菅谷徹選手
「TVで見た人ばかりで、自分がいていいのかな、という感じでしたね。別メニューでのゴール下シューティングは、大学でもたまにやっていたので、特に目新しいという感じではありませんが、あんなにしつこく色々言われるのは…初めてですかね(笑)。スクリメージでは、少しは自分を出せたかな、と思いますが、もっとゴール下で持ち味を出していきたいです。」

※柏木、桜井、菅谷選手の以前のインタビューは上のReportページへ

<コラム>
〈1〉 『最初の1歩〜スプリングキャンプ組の挑戦』

つい1ヶ月前、柏木はA代表を「ふつうでは入れない、すごい人ばかりいるところ」と表現した。そのA代表での初練習。中央大学の1年先輩である五十嵐の存在もあり、それほど硬さは見られなかったが、PGとして他のメンバーをコントロールするのはやはり難しかった。いつもチームの流れが悪いときに出る声が出ない。また、渡邊とマッチアップしたときは力強い踏み込みにはじかれ、ディフェンスが後手になってしまって「柏木、ディフェンス!」とジェリコHCに言われることも。しかし、それでも集中力を切らさずやり遂げたのは柏木の持ち味だ。いくつか鮮やかなアシストを通して、ジェリコHCお決まりの「ブラボー」を引き出す場面もあった。「朝が早くてつらい(笑)」という新しい生活に慣れ、バスケットに多くの集中を割けるようになれば堂々としたゲームメイクが見られるかもしれない。

菅谷・桜井は、所属が関東の大学ではないということもあり、驚きをもって迎えられていた。
菅谷は、キャプテンの古田に「いやー大きいですよ。僕(199cm)が並んだって大きいですよ(笑)」と言わしめた。最初こそ、スプリグキャンプの時と同じく談笑する他のメンバーから1人離れてストレッチしていたが、スクリメージでは最初から気後れすることなく「スクリーン」と声を出し、積極的にシュートを狙っていた。精神的に1回りタフになったという感がある。後は、お膳立てしてもらっていたゴール下シュートの確実性を上げ、ファールにならないディフェンスを身に付けていきたい。

桜井は、2メンではダンクで身体能力の高さを見せ、スクリメージではミドルシュートを次々に決めてみせた。古田キャプテンも「初めて見たが、とても身体能力が高くてJBLでも通用するのではないかと思う。いいシューターだな、と思いましたよ」。しかし、こうも続けた。「でもハーフコートだし、1時間くらいしか見ていないから、まだ何とも言えません」。本人も言うように、「今日はボールを回してもらって打たせてもらっただけ。頑張りどころはこれから」である。
ユニバも掛け持っており決して楽ではない1年となるが、「去年のインカレの時、(山田)大治さんとか1人違うっていうか、余裕がありましたよね。自分もそんな風になれていればいいな、と思います。」と楽しみの方を強く感じている。

彼らの成長は、日本のバスケットボールの未来に欠かせない。今日、その最初の1歩が刻まれた。

<取材・文 北村美夏>
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