8月12日、国立スポーツ科学センターで、男子日本代表強化試合が行われた。10、11日に戦ったユーロン・ディノスと戦い、今シーズンのA代表の活動を終えた。
参加選手(13名):網野、五十嵐、伊藤、柏木、柏倉、西塔、桜井、菅谷、竹内公、竹内譲、仲村、古田、渡邊
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<男子日本代表強化試合>
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8月12日、国立スポーツ科学センターで、男子日本代表強化試合が行われた。10、11日に戦ったユーロン・ディノスと戦い、今シーズンのA代表の活動を終えた。 |
<男子代表強化試合> 8月12日(木)15:00ティップオフ 会場:国立スポーツ科学センター
スターティングメンバー 日本:#4柏倉・#6桜井・#8柏木・#10竹内公・#15竹内譲 ユーロン:#3チェンシンアン・#4チェンウェンティン・#6リィショウリン・#8チョウ ホン ユ・#9チュー チ イ 第1クォーター、#15竹内譲、ユーロン#3らが互いに3ポイントシュートを決め合う。すると、開始2分ほどで、日本はタイムアウトを取る。#6桜井の、ユーロンのエース#3へのディフェンスが原因で、すぐに#11網野と交代となる。その後は#4柏倉、#8柏木を中心に激しいディフェンスを展開し、ユーロンに1on1を決められてしまう場面もあったが、23-18とリードして終える。 第2クォーター立ち上がりが互いにシュートミスが目立つが、#11網野、#6桜井の積極的オフェンスで31-22としてタイムアウトを取らせる。この後しばらく得点が止まるが、#14伊藤がゴール下のポジション争いで身体を張り、フリースローを得る。ユーロン#4にダンクを許すなど、若い選手で構成したためのディフェンスミスも見られたが、徐々に差を広げ43-29で折り返す。 第3クォーター、ラインクロスやキャッチミスなどを犯してしまうが、残り5分、#14伊藤のバスケットカウントで50-33とする。ここで#17菅谷を投入すると、果敢にゴールに向かうが、ユーロン#4に阻まれてしまう。だが#6桜井が1on1を仕掛けていくなど持ち味を発揮し、残り2分40秒57-35として再びユーロンにタイムアウトを取らせる。この後#5西塔から#17への合わせもあり59-37とリードを広げる。 しかし第4クォーター、ミスからの速攻で、残り6分一気に59-47まで詰められてしまう。日本は#14伊藤、#16竹内譲がゴール下で得点するが、ユーロン#8、#12に3ポイントシュートを決められ、残り4分63-53とわからなくなる。だが#8柏木のパスカットからの速攻で残り2分70-55と追いつかせない。さらに#8柏木の連続ポイントで差を広げ、75-57で最終日を飾った。 |
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徐々に積極的なプレーを見せた(左から)竹内譲、桜井、菅谷の学生組 |
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<インタビュー> 柏木選手 キリンカップでは調子を落としていたが、この国際試合では徐々に持ち味を発揮していった。 「欧州遠征を終えて日本に帰ってから、調子が上がらなくて苦しみましたが、それも今は良い経験だったと思います。こうして最後に徐々に調子が上がって出来たので、それはそれで良かったです。ヨーロッパでは無我夢中でやっていたので良かったのですが、帰ってからは自分の中でやれる、という自信がなくて、それでプレーにも迷いが出てしまって大変でした。でも、それでもHCがチャンスを与え続けてくれたので、自分でやらないとと思えました。どこかで気持ちを切り替えないといけないと常にずっと考えているうちに、試合などを通して自然にプレー出来るようになりました。 」 桜井選手 開始直後、いきなり怒鳴られて交代。だが、その後の出場機会では積極的なプレーを見せた。 「いつもあんな感じで怒られているんで。入りでもっと集中してディフェンスしないとだめでしたね。昨日、アシストなどが決まったのはたまたまです(笑)」 |
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PICK UP! 一番下のユーロンの集合写真で、足を投げ出して座っている#6リィショウリン選手は、20歳にしてスタートガードを務めています。年齢に似つかわしくない落ち着き、リーダーシップ、そして運動量。11日の公式戦では、両チーム通じて唯一の40分フル出場でした。と思うと、タイムアウト明けのスローインで、まだ日本選手が出てきていない時に“今投げちゃうからボール貸して!”と審判にジェスチャーして、審判を笑わせる陽気な一面も見せていました。 そのリィ選手が、同じく20歳の#4チェン選手と一緒にインタビューに答えてくれました。 「日本代表チームは、ディフェンスがとてもハードで強かったです。ジョーンズカップで戦ったU-24と比べても、オフェンス・ディフェンスともにプレーがアグレッシブでした。我々はすでに6ヶ月シーズンを過ごし、ようやくオフとなるところで、今はとても疲れています。昨日の試合前は、本当に疲れていて、辛いものがありましたが、昨日の試合は我々も頑張ってプレーする事ができたし、少しは良いところも日本の皆さんに見せることができた出来たと思います。」 |
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<代表活動を終えて> #4柏倉選手 「充実していました。自分の役割を果たすことが出来たと思います。もちろん長く出られればベストですが…。自分の課題が明確になったので、JBLのシーズンまでに直していきたいです。」 #5西塔選手 「課題が山積みです。これから来年のスプリングキャンプまでに、それをしっかり克服できるよう、自主練したいと思います。」 #6桜井選手 「良くやったなー。と思います。」 #8柏木選手 「長かったです。海外遠征で多く試合が出来たり、色々な経験を積む事が出来ました。でもこれからまた、長いJBLのシーズンが始まるので、出られるかわかりませんが頑張りたいと思います。」 #10竹内公輔選手 「やっと終わった…って感じです(笑)。大学のチームを結構離れていたので、今はそれが心配ですね。今年は代表では、自分らしいプレーはあまり出来なかったので、当たり負けないようフィジカルを強化し、もう少しシュートの確率をあげておきたいです。」 #11網野選手 「勝敗、またチーム的にはいい感じで良かったです。自分的には、課題が見えたので直していきたいですね。具体的にはシュートの確率、それからディフェンス面ですね。来年に向けては、身体をもう1度作って当たりに強くなることと、2番ポジションにあがれるようにボールハンドリングをやっておきたいです。」 #14伊藤選手 「大会がない分、トレーニングの中で試合をこなしてきたのでしんどかったですね。長く感じました。HCからは、オフェンス面で注意される事が多かったので、JBLで修正して戻って来たいと思います。」 #15竹内譲選手 「いい勉強になりました。気持ちの持ち方、バスケットに対する考え方を、改めて直してもらえて、特に精神面で勉強になりました。プレーはまだ出来ていない部分が多いですね。大学でも継続できるかは自分次第だと思います。まずはディフェンスを頑張りたいです。」 ジェリコ・パブリセビッチHC 「このシーズンに関して、私は非常に満足していますし、非常に素晴らしいものになったと思ってます。私たちは20試合をこなし、そのうち16試合を勝ちました。そして、ゲームスタイルを変えることに成功しました。また、精神的なもの、「最後まで戦いきる」というものを得る事ができました。それは厳しい練習の成果でもあるし、選手たち自身の“成長したい”という気持ちの表れでもあります。キリンカップでイギリス代表に3連勝しました。その後、オーストラリアのチャンピオンに勝ちました。これは大きな勝利です。オーストラリアのチームはまさか負けるとは全く思っていなかったと思います。そして台湾のチームにも余裕でプレーができました。今日は若い選手たちに試合を経験するチャンスを与えました。そして、何人かは素晴らしいプレーをしました。竹内兄弟をはじめ、柏木・桜井という、素晴らしい選手を 得る事ができました。特に竹内兄弟は私が予想していたよりは早くクオリティーの高いプレーをするようになりました。特に譲次はそうです。それらのことから、私は非常に満足していますし、今シーズンが成功であったと言えると思います。次のシーズンまでに選手達にやらなければいけないことを、1人1人に伝えます。そして、彼らはそれを、それぞれの場所に帰ってもやり続けないといけないのです。私は8月30日にはコーチを対象としたクリニックを行います。その後、少しゆっくりと準備をして、冬の期間にはコートに戻り、学生やJBLなどの試合を見て、またJABBAと話し合い、その後のキャンプのメンバーなどを決めていきます。」 東野智弥AC 「勉強になりました。自分にとっても、チームにとっても。チームがステップアップしているのが見えました。2006年までの1歩1歩を踏めています。JBLのチームにいた時も大変で、色々学ぶことはありましたが、こちらに来ても勉強できたし、自分でも頑張りました。」 楠本賢通訳 「良いシーズンでした。いつもHCの言葉をきちんと伝えている自信があります。」 貝塚宗義MG 「長かったです。色々ありましたね。去年より、“チーム”としてまとまってきているのを実感できたシーズンでした。」 |
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〈7〉『120日』 「この結果の後ろには、120日に渡る合宿があります」とジェリコ・パブリセビッチヘッドコーチは言った。 4月から毎週のように行なわれた合宿。学生は週末のみの参加となったが、今年から始まったスプリングキャンプと1ヶ月間に渡る欧州遠征に参加した。社会人選手も怪我や事情などで辞退が相次いだとはいえ、プログラムに参加した選手は確実に進化した。 「これだけやっているのだから、成長して当たり前。(ジェリココーチ)」「こんな世界があるんだなぁと思った(選手)」 経験が選手を変えるのだ。 能力はあっても経験を積まなければ、経験を積んだ選手にいずれは追い抜かれる。もちろん、参加した選手たちがこれほどの伸びを見せることがこの2年で証明されたのだから、能力のある選手がきちんとセレクションされればもっと伸びるだろう。だが一口に能力と言っても、運動能力や身長、ボールを扱う技術だけでは足りない。コーチが良く口にする“アンビション”、バスケットができる感謝の気持ちと代表への誇りを持っていなければならない。 その2つをあわせ持っているのが今のこの12人なのだ。ジェリココーチは120日間最大限に自分の仕事を果たしてくれたし、メンバーはこれからも前を向いて走っていく。 |
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ユーロン・ディノス |
<取材 渡辺美香・北村美夏/構成 北村美夏>
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