東京都女子ビッグマンクリニック
7月10日、新宿の落合第二中で、東京都中体連女子ビックマンクリニックが行われた。エンデバー制度の一環で、初めての試み。レベルを問わず都内の170cm以上の1・2年生女子を対象としており、将来性のある選手を幅広く発掘し、底辺の拡大を図ることが目的。
第1回目のこの日は、強化委員の指導の下、約2時間半にわたってじっくり基礎を行った。
9月、11月に第2回・第3回が行われる予定。

<メンバー(16名)>薄字の選手は不参加
氏名
所属
身長
市川千尋 新宿区立四谷中2 165
笛木光恵 大田区立糀谷中2 173
秋元彩 板橋区立赤塚第一中1 171
玉坂歩惟 足立区立粟島中2 172
小原智未 青梅市立霞台中2 171
花和律枝 葛飾区立水元中2 165
宮地江佳 葛飾区立水元中1 170
小沢美香 大田区立東蒲中2 170

氏名
所属
身長
阿部聖子 大田区立南六郷中2 170
荘亜梨子 大田区立南六郷中2 171
小林亜紀 新宿区立戸山中2 171
宮崎沙絵子 杉並区立東原中1 167
桜田尚美 港区立六本木中  
茅原沙樹 あきる野市立御堂中 171
中澤茜 国立市立国立第3中 173
宮竹静佳 国立市立国立第3中 165

7/10(土)
最初の集合で、「5列」と言われると、先頭を譲り合って後ずさりする参加者。まだ1・2年生、慣れない環境に戸惑いも見られる。最初の挨拶で、上田強化委員長より「今までは“大きい、いいね”で終わっていたけれど、将来はGの技術、さらにはスピードを要求されていくはず。全日本の可能性もあるという意識でやって欲しい」と期待の大きさを表す言葉が送られた。“台形のちっぽけな中にこだわらず、オールラウンドに出来る中でインサイドも出来る選手になって欲しい”というコンセプトのもと、こまめに休憩を取ってコンディションにも細心の注意を払いながら、基本の確認が行われた。

まずは体の使い方。「X脚の人が多い。それでは膝を怪我しやすい」ということで、足の親指側に体重をかけ、膝とつま先の向きが同じになるように意識しながら、ツイスト、ウォーキングと行っていく。意識して体を使うことに慣れておらず、たくさんのポイントに気をとられて膝が内側に入っていく選手にはすかさず3年生や強化委員が注意。オフェンスターン、ミニスクワットと行って、「これらは怪我の予防になるので時間を見つけてやってほしい」とアドバイス。

次にボール・ハンドリング。まずは頭の上から足の間まで全部で12箇所のボールキープ。続いて体の回りをまわすオーソドックスなものから

<今日の練習メニュー>
14:00 挨拶

14:10

怪我を防ぐ身体の使い方

14:30

ボール・ハンドリング

14:50

休憩

14:55

動きながらのドリブル

15:10

休憩

15:15

シェービングドリル

15:35

休憩

15:40

ワンハンド・シュート

15:55

休憩

16:00

インサイドドリル

16:20

復習TIME

16:25

クールダウン

16:40 終了
こねるようなものまで様々なハンドリング。この時もボールに集中して基本の体勢を忘れ、途中シコを踏ませる場面も。

その次は動きながらのドリブル。「本当は止まってのもやりたかっただけれど…」と学んでほしいことは盛りだくさんの様子。各種チェンジなど“変化をつけて抜く”ことをやっていき、首を傾げながらもあまり馴染みのないだろうドリブルに挑戦していた。

続いてシェービングドリル。ミート・ターン×前向き・後ろ向きで基本の4種類を行う。考えてしまってなかなか出来ない選手には、ここでも3年生・強化委員が1人ずつ一緒に動いて教えていた。最後にハイポストでのもらい方を付け足して、いよいよシュートへ。

女子の使用球が全て6号(これまで高校以上は7号の大きいボールだった)になったことをふまえ、ワンハンド・シュートを行う。きれいなアーチを描いてお手の物の選手もいれば、2年生などツーハンドシュートに慣れているためなかなかコツをつかめない選手もいたが、後で1人で出来る練習メニューを聞くなど熱心に行っていた。

そして最後は「チームに帰った時に出来るように」インサイドドリル。二手に分かれ、一方は体が流れないターンシュート、もう一方はローポストの面取りからウィークサイド攻め。その後ディフェンスの位置でターン、ステップなど徐々に応用させていった。

以上、約2時間半の密度の濃いメニュー。上田強化委員長の「今日やったことはいきなりは出来ないもの。チームに帰ったら休憩中など、2・3分でも時間を見つけて復習して欲しい。一番最初にやった“姿勢”が最後まで重要だったように、基本はとても大切だから」という言葉で締めくくられた。参加選手の1人は終了後、「ひとつのポジションだけでなく、色々教えてくれておもしろかった。学校では皆でまとまってだけれど、今日はじっくりできて勉強になった。」 と笑顔を見せた。

特に膝の向きを終始注意
ビックマンもハンドリングは大事
最後にはインサイドプレイも

<講師紹介>
はきはきと大きな声で、時に冗談を交えて選手の緊張をほぐしながらそれぞれのドリルを担当した強化委員を紹介する。担当以外でも常に目を配って、個々にアドバイスを与えていた。

練馬中・宮久保先生(怪我を防ぐ身体の使い方、ボール・ハンドリング担当)
「今年は背が高いだけでなく、体格のいい子が思ったより多いです。その素材を生かしつつ、技術を身に付けていってほしい。今日は皆頑張っていましたよ。たくさんのことがあって途中、疲れているかな?と思ったけれど、シュートになったら目が輝いた。こういった普段とは違う環境で目が輝いている子は伸びる。自信を持ってその輝きを伸ばしていって欲しいです。」

木曽中・山岸先生(動きながらのドリブル、インサイドドリル担当)

赤塚一中・村越先生(シェービングドリル担当)
「1・2年生とは言え、思ったより上手な子が多かったのでびっくりしました。将来が楽しみです。」

東原中・佐藤先生(インサイドドリル担当)
「体格に恵まれているだけではなく、運動能力も高い選手が多かったです。ただ大きい子特有の体の硬さ、特に股関節の硬さが見受けられました。体が硬いのは怪我のもとになるので、継続して取り組まなければならない課題ですね。」

落合二中・高橋先生(会場校)
「持っている素材は非常に良い。これからの伸びで全部決まってくるでしょう。それにはやはり、今日やった“基本”を大事にしてほしいですね。」

<助っ人3年生>

初めての試み、また参加者のレベルも様々ということもあって、3年生が助っ人として参加。中でも練馬中の5人は、終始笑顔で緊張気味の参加者に声を掛け、どのメニューでも良い手本となっていた。今日の感想は?

「皆大きかった…“えー、1・2年生!?”という感じで。自分達の時は緊張したけれど、今日は1・2年生が主役で気が楽だったこともあって、率直に楽しかったです!自然に顔が笑っちゃいました(笑)」

とても明るくて、バスケットを心から楽しんでいることが伝わってくる5人。高校、大学と進んでも、この笑顔を忘れないで欲しい。

<取材・文 北村美夏>
塾生コラムメインへ