<平成16年度関東実業団バスケットボール選手権大会>
<平成16年度関東実業団バスケットボール選手権大会> |
11月14日(日)は川崎市の東芝小向体育館で男子準々決勝の4試合が行われた。 黒田電気(東京8位)は大倉三幸(東京1位)にゲーム終盤追い上げにあうも逃げ切り、東京大会でのリベンジを果たした。また、3回戦で千葉バジャーズ(千葉1位)を敗ったクラヤ三星堂(東京10位)は三井住友銀行(東京5位)を終始リードする展開で勝利し、この大会の台風の目となっている。日本無線(東京2位)はロースコアな展開ながら三井住友海上(東京6位)に逃げ切り、横河電機本社(東京4位)は東京日産(東京3位)に30点以上の差をつけて勝利した。 また、女子は13日(土)に同じく東芝小向体育館で準々決勝を行い、鷺宮製作所(埼玉1位)、丸紅(東京1位)、クラヤ三星堂(東京2位)、三井住友銀行(東京3位)とシードチームが順当勝ちした。 準決勝は男子が黒田電気(東京8位)vs横河電機本社(東京4位)・クラヤ三星堂(東京10位)vs日本無線(東京2位)、女子が鷺宮製作所(埼玉1位)vs三井住友銀行(東京3位)・クラヤ三星堂(東京2位)vs丸紅(東京1位)の対戦で、11月21日(日)平塚市総合体育館で行われる。 写真:大倉三幸#16木村と黒田電気#11村岸 |
<平成16年度関東実業団バスケットボール選手権大会> 11月14日(日) 会場:東芝小向体育館
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スターティングメンバー 大倉三幸:#5有田、#6奥、#7近森、#15遠藤、#16木村 黒田電気:#4鈴木、#5屋良、#10新原、#11村岸、#14堀 第1クォーターまずは大倉三幸#7近森のミドルシュートから始まる。その後、黒田電気#14堀の連続得点で黒田電気がリードするが、残り7分大倉三幸#5有田の3ポイントシュートが決まり、流れが傾く。6−11とリードされた黒田電気は残り6分28秒にタイムアウトを取ると、#5屋良がドライブインでディフェンスを崩し流れを作る。残り4分55秒には10−11と1点差にまで追いつくが決め手に欠く黒田電気は残り3分56秒に#7藤本をコートに入れる。その#7藤本がゴール下やローポストで積極的に攻め2分の間に4ゴール決め、残り1分53秒には19−13とリードする。またディフェンスを強化し大倉三幸にチームオフェンスを組ませず、最後の4分間をフリースローの3得点のみに抑え、23−16と黒田電気がリードして第1クォーターを終える。 第2クォーター、黒田電気は最初こそ#4鈴木のゴール下で得点するが、そこから大倉三幸に連続得点される。さらに大倉三幸#8清水に3ポイントシュート、#5有田にゴール下シュートと連続して決められ、27−25と2点差に詰められる。しかし残り7分17秒、黒田電気#11村岸がディフェンスのチェックを物ともせず3ポイントシュートをバスケットカウントで決めると流れは黒田電気に。#7藤本・#4鈴木がゴール下を支配しオフェンスリバウンドを決めると、残り5分13秒には37−27と10点差とする。 |
復帰2戦目の黒田電気#7藤本 |
その後も#4鈴木・#7藤本のインサイド陣が粘るも、大倉三幸#15遠藤を止められず、なかなか点差がひらかない。残り2分28秒黒田電気がタイムアウトを取ると、そこから黒田電気#14堀がミドルシュート、3ポイントシュートと連続して決め、再び流れは黒田電気になる。残り18秒に黒田電気#14堀の放った3ポイントシュートは外れるものの、#4鈴木がオフェンスリバウンドを取りバスケットカウントを決め、51−38と黒田電気が13点リードして前半を終える。 第3クォーターに入っても黒田電気のペースは変わらない。さらに残り5分19秒にはこれまで大倉三幸のオフェンスの中心となっていた#15遠藤を4個目のファールでベンチに下げさせると、徐々に黒田電気がリードをひろげ、77−59として第3クォーターを終える。 第4クォーター開始直後大倉三幸のプレスディフェンスに黒田電気はパスが出せなくなりターンオーバーをとられるとすぐにタイムアウトを取る。その後ペースを戻した黒田電気もディフェンスをタイトにし、スチールからの速攻を連続してきめ、84−63と点差を21点として大倉三幸にタイムアウトを取らせる。しかし、残り6分をきったところで大倉三幸にゾーンディフェンスをされると、黒田電気のオフェンスのリズムが悪くなる。その間に大倉三幸#15遠藤の連続得点で徐々に追い上げられ、さらに大倉三幸#16木村にも連続3ポイントシュートを決められ99−85と詰められると、ゲームは大倉三幸のペースとなる。残り2分9秒には大倉三幸#15遠藤がオフェンスリバウンドをバスケットカウントでねじ込むと、続けて#5有田の3ポイントシュート、#6奥のスチールからの得点で99−93と一気に6点差にされる。しかし、1分28秒大倉三幸#15遠藤を、さらに残り1分4秒には3ポイントシュートを量産していた#16木村を5ファールでベンチに下げさせ、得点源を欠く大倉三幸に追い上げの力がなくなり、105-96と黒田電気が9点差で勝利し、東京都大会でのリベンジを果たしてのベスト4進出となった。 |
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黒田電気・高木彰コーチ 「最後のところで相手のプレスに上手くボールが運べなくなりました。20点以上のリードで安心したというか、油断したというか、そういうものがあったのでしょう。結果としては勝ちましたが、今日の試合では1人1人が課題をしっかり感じて次につなげていかないといけないです。」 黒田電気・#4鈴木選手 「チームの状態はいですね。毎回テーマを持ってやっていますが、今日もそれはある程度できていました。前回の東京大会では大倉三幸に外から気持ちよくシュートを決められてリズムを作られてしまいましたから、今日は外のシュートをしっかり止めていくことを気をつけてやりました。まだ特に中間距離のリバウンドが上手く取れていないです。そういう修正点をこれからしっかり強化していかないといけないですね。」 黒田電気・#7藤本選手 「まだ100%ではないですが、今日はよくできました。でも体力が一番きついですね。元々ない方なので(笑)。最後はちょっと追い上げられましたが負ける気はしませんでした。課題も見えたし、そういう意味でもいいゲームだったと思います。」 大倉三幸・松下豊A・コーチ 「どっちが勝ってもおかしくないゲームでしたね。前回の東京大会ではうちがよくて、今日は黒田電気さんの方がよかった。うちも96点入れてますから決して悪かったわけではないですし、持てる力はある程度発揮できていたと思います。しかし、インサイドがうちは他よりも(身長が)低いのでそういう意味で#15遠藤などがファールトラブルになるのはとてもきついです。そうならないようにもっとフォワード陣が頑張らないといけないですね。なので今日は向こうの#4鈴木や#7藤本といったインサイドの選手に好きにやられてしまったところがあります。まだ全国大会がありますから、これからそれに向けて頑張っていきますよ。」 |
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<EDITOR'S VOICE> 黒田電気は最初ディフェンスの足が止まりがちで自分たちのリズムが作れなかったが、#5屋良・#7藤本らベテラン陣がチームを引っ張り、流れを作ることができた。そこに#14堀・#11村岸という得点原が上手く絡みリードをひろげることができた。しかし、最終クォーター大倉三幸がオールコートでのプレス・ディフェンスやゾーン・ディフェンスとディフェンスに変化を入れてくると対応が上手くできずリズムを崩す。ここでベンチも慌ててバタバタすることなくやるべきことを伝え、コートでそれができていたことで最後まで粘りのあるゲームを展開することができた。次の横河電機本社との準決勝に向けてもいい課題の出たゲームとなったのではないだろうか。 大倉三幸は#15遠藤・#16木村と今年の新人がチームのオフェンスを引っ張っていたが、ファールがかさみ、そのためチームとしてもいい形で展開できなかったことが残念だ。流れが悪くなった時、個人技頼みになることでファールも増えたように思えた。個人的な感想として#16木村が大学時代に比べてかなり安定したプレーになっていたことが印象に残った。アウトサイドにはいい選手がいるので、インサイドとのバランスよくなれば本当に強くなるチームのように感じた。 |
<平成16年度関東実業団バスケットボール選手権大会> 11月14日(日) 会場:東芝小向体育館
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ベテランらしいプレーのクラヤ三星堂#4小井出 |
第3クォーターに入ると、クラヤ三星堂は序盤はそのまま勢いよく展開できていたが、残り3分半をきってから三井住友銀行#6吉岡に3ポイントシュートを決められ流れは傾く。さらに残り51秒にも同じく三井住友銀行#6吉岡に3ポイントシュートを決められ59−45とされると、クラヤ三星堂はターンオーバーがでて、なかなかリズムが掴めなくなる。最後の1分半を無得点で抑えられたクラヤ三星堂は59−47と点差を縮められて第3クォーターを終える。
第4クォーターは最初どちらも攻めあぐね、なかなか点が入らない。しかし、残り8分半にクラヤ三星堂#13篠崎がミドルシュートを決めると、すぐに三井住友銀行にも3ポイントシュートが出て、61−50となる。ここでクラヤ三星堂#8才ノ元が3ポイントシュートを決めるとクラヤ三星堂に勢いが戻る。オフェンスリバウンドに速攻と連続得点し、三井住友銀行の焦りを誘う。さらに残り6分2秒には三井住友銀行#4清水が5ファールでベンチに下がる。残り3分からは点の取り合いとなるが、点差は変わらない。最後は三井住友銀行のディフェンスが集中を欠き、クラヤ三星堂が連続得点し、86−67でクラヤ三星堂が勝利し、ベスト4入りを果たした。 |
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クラヤ三星堂・吉野健児コーチ 「まさに“台風の目”ですね。今回関東実業団リーグ1部の真ん中あたりのチームということで、どこまで通用するかを見てみたいという気持ちがありました。うちは常にチャレンジャーですからね。#8才ノ元はSリーグの経験者というだけでなく人間としてもとても確立されていて、まだ加入して間もないですが、今はチームの柱になってくれています。うちのスタートのPGは#18ですが、彼はスキルはあるのですがそのため時に1人でやってしまうことがあります。5人でやるバスケットをきちんとやっていくように言っているのですが、まだなかなかですね。それで今日も#4を交代で入れました。彼は昨年までスタートのPGで年齢が高いということもあって今は控えになっていますが、とてもいい能力を持っています。今日もいい働きをしてくれました。しかし、今日の試合自体はもっと点差をつけられてもいいものだったし、まだまだ修正課題が多いです。次は日本無線とでしょうが(まだ第2試合はゲーム中)向こうはとても上手いバスケットをしてくるので、正直勝算があるとは思っていません。最後の練習で今日の課題をどこまで修正できるかが重要でしょうね。」 クラヤ三星堂・#8才ノ元選手 「縁があってこのチームによんでもらって今はまだ2ヶ月くらいですが、みんながまとまってきていますね。今までは能力はあるけど、それをどう使えばいいのかわからないという感じだったようですが、今はそれが上手くいってます。このチームに入って実業団でやるようになって楽しいですよ。日本リーグでは外国人選手がゲームではチームの中心になってしまうことが多くて、日本人選手が自分たちでやる場面があまりなくて、そういう意味でこちらは面白いですね。もっと中学・高校生には実業団の試合を見てもらいたいです。日本リーグよりずっと参考になるものがあると思いますね。本当にこのチームに入ってよかったって思いますよ。全日本選手権もとても楽しみです!」 |
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<EDITOR'S VOICE>
クラヤ三星堂は若手とベテランのバランスがよく、勢いとリズムが上手くゲームに活かされているように見える。東京大会10位という成績は試合の時間の変更による連絡ミスによる不戦敗であり、実際の力とは違う部分もあるとは思われるが、それにしても昨年までベスト8に入っていなかった(ここ2年全国大会にも出ていない)チームとは思えない勢いと上手さを持っている。チームの安定という意味ではやはり#8才ノ元の加入が大きいのかもしれない。 三井住友銀行はディフェンスが後手になり、オフェンスも噛み合わず、自分たちのリズムを作ることができなかった。相手の勢いを止めるにはまず“得点”ではなく、“ディフェンス”が必要だったように思う。 |
<平成16年度関東実業団バスケットボール選手権大会> 11月14日(日) 会場:東芝小向体育館
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確率よくシュートを決めた日本無線#15尾崎 |
第3クォーターに入ってもどちらも決め手を欠くオフェンスでなかなか得点が伸びない。その中でも日本無線#15尾崎がオフェンスリバウンドを決めチームを引っ張り、#18小山や#11江川の得点につなげ、徐々にリードをひろげていく。守ってはこのクォーター三井住友海上の得点を単発の8点に抑え、28−44とリードをひろげ第3クォーターを終える。
第4クォーターに入ると、三井住友海上の積極的なオフェンスに流れは傾く。残り3分13秒に三井住友海上#12玉井に3ポイントシュートのファールからのフリースローを3本とも決められ、さらにその#12玉井に3ポイントシュートを、#8河野にフリースローを決められ、残り2分20秒には57−47と点差を詰められる。その後どちらも点を取り合い、残り1分1秒に日本無線#8小原がフリースローを1本決め60−51となると、その後どちらもターンオーバーが続き得点できずそのままタイムアップとなり、日本無線がロースコアのゲームを制し、ベスト4を決める。 |
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<EDITOR'S VOICE>
このゲームはどちらもいまひとつオフェンスにリズムがなく、得点が伸びなかった。その中で日本無線#15尾崎の得点がゲームを決めたように思う。日本無線はその#15尾崎がキーとなりゲームを進めることができたが、三井住友海上のほうはそのキーとなるプレーヤーが不在となり、決め手に欠く展開となってしまった。 |
<平成16年度関東実業団バスケットボール選手権大会> 11月14日(日) 会場:東芝小向体育館
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スターティングメンバー 横河電機本社:#6飯島、#9瀧川、#12小野、#15小納、#20田ヶ谷 東京日産:#10上原、#11吉武、#12朝永、#13矢治、#14樋渡 第1クォーター序盤は東京日産のペースとなる。東京日産#10上原の3ポイントシュートや#12朝永のローポストでの得点で2−7とリードされる。しかし残り7分37秒、横河電機本社#15小納がドライブインでバスケットカウントとフリースローを決めると、続けて#12小野がミドルジュートを決め、7−7と同点とする。さらに勢いに乗る横河電機本社は#20田ヶ谷のオフェンスリバウンドや3ポイントシュート、#6飯島のミドルシュートで一気に引き離し、残り4分には20−9とリードする。その後東京日産#14樋渡に連続得点されるが、横河電機本社も#12小野のインサイドなどで得点し、31−20と11点リードして第1クォーターを終える。 第2クォーターも横河電機本社#20田ヶ谷のミドルシュートから始まり、流れは横河電機本社に。残り8分28秒には横河電機本社#10阿部の3ポイントシュートが決まり38−20とリードをひろげ、東京日産にタイムアウトを取らせる。しかしそこから東京日産に積極的に1on1で攻められ40−29と追い上げられ、さらに#16高橋の1on1からの連続得点で45−35と10点差にされる。ここで横河電機本社#15小納がドライブで東京日産のディフェンスを崩し連続得点すると、東京日産に傾いた流れを引き戻す。 |
オフェンス能力の高さが光る横河電機本社#20田ヶ谷 |
その後は交互に得点を重ねる展開となるが、最後は横河電機本社#15小納のオフェンスリバウンドが終了間際に決まり、58−42で横河電機本社がリードをひろげ前半を終える。 第3クォーター勢いに乗る横河電機本社は#6飯島のゴール下での得点や#12小野の3ポイントシュートでリードをひろげ、残り8分41秒に東京日産にタイムアウトを取らせる。その後東京日産にトランジションの速いゲームを展開され、連続得点を許し流れが傾く。残り6分7秒横河電機本社#15小納がドライブインでファールを受け、負傷でベンチに下がり代わりの#16植村がフリースローを2本とも決める。その後も東京日産#13矢治に3ポイントシュートを決め、さらに東京日産にゾーンディフェンスをされるが、横河電機本社#20田ヶ谷が強気のオフェンスを展開し3ポイントシュートやミドルシュートを決めリードをひろげる。勢いのついた横河電機本社はさらに#20田ヶ谷のバスケットカウントやゴール下、#6飯島の速攻やミドルシュートで得点を重ね、最後には#10阿部が3ポイントシュートを決め、92−62と大きくリードして第3クォーターを終える。 第4クォーターは点の取り合いとなるが、東京日産に付け入る隙を与えず、112-78で横河電機本社が勝利しベスト4を決めた。 |
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<EDITOR'S VOICE> 横河電機本社はオフェンスの要#20田ヶ谷が中・外と攻め、相手に的を絞らせない。さらに流れが悪くなると、#15小納がドライブで相手ディフェンスを崩していく。そのため“悪い時間帯”が非常に少なく、気がつくと大きくリードしているといった印象がある。 東京日産もリズムのいいオフェンスを展開できる時間帯もあるが、それがディフェンスから崩されていった。やはり“ディフェンスから”やっていくことが必要に思う。 |
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<平成16年度関東実業団バスケットボール選手権大会> 11月13日(土) 会場:東芝小向体育館
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<取材・文 渡辺美香> |