<平成17年度関東実業団バスケットボールリーグ戦>

関実リーグ戦1部スタート!

4月9日から始まった関東実業団バスケットボールリーグ戦。6月4日からは1部リーグがスタートした。1次リーグでは8チームの総当りで行なわれ、続く2次リーグは1次リーグの上位4チームと下位4チームに分かれそれぞれ総当りで対戦する。最終日は7月18日(祝・月)代々木第二体育館で行なわれる。

日程・結果は関東実業団バスケットボール連盟(代々木第二体育館・駒澤体育館での有料ゲームの入場割引券あり)


写真:三井住友海上の新人#20辻内

関東実業団1部リーグのチーム(順位は昨年のリーグ戦の結果)
       
1−横河電機本社
2−日本無線
3−東京日産
4−曙ブレーキ工業
5−大倉三幸
6−三井住友銀行
7−三井住友海上
8−東京電力

6月4日(土)初日のこの日は東京都日野市にある東電学園体育館において昨年の1位−8位・2位−7位・3位−6位・4位−5位の4試合が行なわれた。


<ピックアップ・ゲーム>
TEAM
 



 
TEAM
69
13
1st
12
57
日本無線
9
2nd
10
三井住友海上
(2位)
26
3rd
13
(7位)
21
4th
22


後半オフェンスが機能した日本無線が、新人・辻内を擁する三井住友海上を第3ピリオドで一気に引き離し勝利

スターティングメンバー
日本無線:#10箱崎、#13小山、#15尾崎、#16樋渡、#18鈴木
三井住友海上:#5金崎、#7柏木、#11田邊、#12玉井、#20辻内

 昨年度のリーグ戦では横河電機本社にわずか7点差で敗れ連覇(2001年から3連覇)が途切れた日本無線はスタートのメンバーに新人2人を起用、新たなチームとしてスタートした。対する三井住友海上は昨年関東リーグ戦・インカレと2冠を取った慶應義塾大学の主力・辻内が加入し、こちらも新たなチームとして登場した。

 序盤どちらも硬さが見られなかなか攻めきらない展開が続く。ようやく得点が入ったのが開始から1分47秒の日本無線#15尾崎のフリースローだった。すぐに三井住友海上#20辻内に1on1から得点されるが、動きのよくなった日本無線は#13小山・#15尾崎と連続で得点しリードする。しかし、三井住友海上の#20辻内にディフェンスが集中するのを上手くつかれ#12玉井・#11田邊に連続シュートを許し、リードが広がらない。

日本無線#15尾崎

さらに第2ピリオド序盤では三井住友海上にトランジションゲームを仕掛けられ、15−19とリードされる。流れは完全には渡さないもののなかなか自分たちのゲームが展開できない日本無線だったが、第2ピリオド終盤に#4小原の3ポイントが決まると徐々に勢いがついてくる。残り1分2秒には今シーズンから日本無線に復帰した#6島田がゴール下でバスケットカウントを決め同点とし、第2ピリオドを終えた。

 後半に入りペースをつかんだ日本無線は#15尾崎・#13小山・#18鈴木と得点を重ね、一気にリードする。三井住友海上#12玉井の3ポイントシュートなどで粘られるも、硬さの取れた日本無線#18鈴木が速さを活かしてゲームを展開しリードをひろげていく。第4ピリオド中盤からベンチメンバーをコートに出した日本無線は三井住友海上に追い上げられるも逃げ切り、69−57でリーグ第1戦を勝利した。

<その他の対戦>

横河電機本社(1位) 83 − 79 東京電力(8位)

東京電力に終盤追い上げられるも横河電機本社なんとか逃げ切る
  横河電機本社は常にリードするも、#15小納をベンチに下げると東京電力に追い上げられ、東京電力#5阿部・#8涌井の速い攻撃と#6新井のシュートで点差を詰められてしまう。第4ピリオド中盤にその横河電機本社#15小納が接触で鼻を強打しベンチにさがるアクシデントがあったが、ここで横河電機本社#20田ヶ谷が勝負強さを発揮し、地力に勝る横河電機本社が東京電力の追い上げを振り切り、83−79で勝利した。
 リーグ戦初戦、昨年の優勝チーム横河電機本社は強さは見せたものの、#15小納のいない時間帯の不安定さも現れたゲームとなった。
 東京電力のガード陣#5阿部・#8涌井は昨年と変わらず早さが武器。ここに#6新井のアウトサイドシュートが決まると流れはよくなる。勢いのあるオフェンスは見ていて楽しい。

曙ブレーキ工業(4位) 75 − 101 大倉三幸(5位)

大倉三幸のオフェンス爆発 曙ブレーキ工業を100点ゲームで下す
  大倉三幸は新人の#16山本(早稲田大)をスタートPGに起用。2年目の#6木村実・#15遠藤、4年目の#5有田、5年目の#10奥と若い布陣。元々オフェンスに爆発力のある大倉三幸だが、PG山本の加入で速さもあわせ持ち勢いがつくと止められない。101−75と100点越えゲームで第1戦を勝利した。

写真:ルーズに飛び込んだ#16山本と#5有田(大倉三幸)

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<<ザ・チーム>>〜紹介編・1〜

『速さを持った“ディフェンス”のチーム』日本無線 

昨年の成績:関東リーグ戦準優勝・全日本競技大会 2 回戦(ベスト 8 )・東京都選手権準優勝・関東選手権優勝・全日本選手権準優勝
関東では春季(リーグ戦)・秋季(トーナメント選手権)あわせて 11 回優勝の強豪チーム。関東では強さを発揮するが、全国大会ではここ 2 年 JR 東日本秋田に勝てず準優勝に終わっている。爆発的なオフェンス力は見られないが、堅実なディフェンスで流れを作る。

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  「うちには速さが足りない。」と中沢コーチが昨年語っていたが、その補強として今年トランジションが武器の青山学院大から PG 鈴木(# 18 )を獲得。さらに「走れてシュート力のある」明治大の樋渡(# 16 )も加え、新人 2 人がスタートメンバーとなった。オフェンスの中心は# 15 尾崎で 1on1 からのドライブやミドルシュート、さらにパスもさばけると攻撃パターンも多彩。インサイドの# 10 箱崎は勝負強さと上手さをあわせ持つ。ウイングの# 13 小山はシュート力と豊富な運動量でチームに流れを呼ぶ。

  ベンチメンバーは落ち着いたプレーでチームをまとめる CAP # 4 小原・強気で攻める# 7 篠原・インサイドでは今年からチームに復帰した# 6 島田・勝負どころの 3 ポイントシュートとオフェンスリバウンドが強い# 11 江川など人材は豊富。

  新人 2 選手をスタートにしたことで「若返った分、歯止めがきかない怖さがある。(中沢コーチ)」 PG に鈴木が入ることで速さは出るが、元々がディフェンスのチーム。「点の取り合いになっては勝てない」と中沢コーチ・小原キャプテンともにそう語る。 2 年ぶりの新人に期待する部分は大きいが、チームのスタイルである“ディフェンス重視”は変わらない。

 「うちは“地味”なんで」と中沢コーチは何度もそう笑いながら言う。“地味”なディフェンス重視のチームが速さと勝負強さをあわせ持つだろう今シーズン。若返った日本無線というチームの更なる成長が期待される。

チームキャプテンが語る『実業団バスケの魅力』

“一生懸命”日本無線 # 4 小原憲裕

「実業団の魅力は“一生懸命さ”です。みんな仕事をしながら、限られた時間の中で頑張って練習してやっていっています。そういうバスケットに対する“一生懸命さ”を多くの人たちに見てもらいたいですし、自分たちも少しでもいいプレーをしていきたいです。」

<<ザ・プレーヤー>>〜ルーキー編・1〜

『悩みながら成長する司令塔』−鈴木伸之・日本無線#18・桐朋学園高−青山学院大・PG

  日本無線に入っての公式戦初戦は硬さがあった。「相手がどんなチームなのかもわからないし、この関実というリーグもわからない」という不安がプレーに表れた。大学の時のように十分なアップができず、前半は身体が動かなかった。後半に入りようやく彼らしい速さと積極的なオフェンスが見られるようになり、チームのリズムもよくなった。

  新人でPGとしてスタートで出ることに「プレッシャーはないです。」と語る。しかし「まだチーム自体の状態がよくわかっていないんです。昨年までのチームを見たことがなかったし、聞いていることだけではやはり十分ではないです。これからやっていくうちに判っていくしかないのでしょうがね。」とPGとしてチームを把握しきれない不安をのぞかせる。さらに彼を戸惑わせたのが実際にチームに入って感じた“年齢差”だった。「30代の人とかいて、それは思っていた以上に体力とか違っていて…今までそういう環境でやったことがないので、どうやっていっていいのかわからないところがあります。」

  チームについてたずねると笑顔で答える。「みんないい人ばかりで、いろいろ話してくれるし、雰囲気もいいです。」と。しかし「このチームがどうして強いのか、まだ自分にはよくわからないんですよね。」と苦笑いに変わる。他のチームの方が強く感じて、「自分たちは勝てるのだろうか」と思ってしまうのだ。

  大学卒業後バスケットボールを続けることを選んだ彼は「もっともっと自分自身がうまくなりたい。」という強い思いを持つ。また昨年までのPGが引退(今シーズンはアシスタントコーチ)し、「自分が入って負けるようになったとは言われたくない。」とも思う。

  だから彼は練習中誰よりも積極的にチームメイトに声をかけ、コート上では誰よりも多く声を出す。1年目だからと遠慮してはいられない。チームを把握し、チームを勝利に導き、そしてなにより彼自身がさらに成長するために、限られた時間の中で懸命にプレーする。

<取材・文 渡辺美香>

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