<スプリングキャンプレポート〜第2次・前編>
大学生を対象とした男子第2次スプリングキャンプが、3月2日から3月7日まで、東京の国立スポーツ科学センターで行われている。 怪我などの選手を除く35名が参加し、ジェリコ・パブリセヴィッチ男子日本代表ヘッドコーチおよび学生コーチ陣による指導を受けている様子をレポートした。
                                                 参加選手はこちら

3/2(火)
全40選手中35名が集まって第2次スプリングキャンプがスタートした。大学生の中でもビッグマンを集めているため、ジョグ程度でも床が揺れる。アップでは、オフシーズン明けのため苦しそうな顔が見られた。

その後、ジェリコHCが1人ずつ名前を呼んでメンバーを2つのグループに分けた(ここでは1つをEチーム、もう1つをLチームと呼ぶ)。Lチームは、4階のウエイトルームでの基本的なマシントレーニングへ。

一方のEチームは、さらに2つに分けられてオールコートでリレーを行った。ドリブルシュートで1周するもの、足の周りを通すハンドリング、さらにその後ろ向き。ドリブルシュートでは、竹内(譲)のボールコントロールが怪しく苦笑いしている。ハンドリングでは、ガード陣はお手のもの。熊谷(渡)は、普通に走っているのとほとんど変わらない。宮永は、ボールを少々足にぶつけても決して下に落とさない。
次はガード・フォワードとセンターの2列になって、リバウンドからの速攻2メン。一回りするごとに「リバウンドは最高点で」「パスはスペースへ出てから」「強く速いパスを」「シューターは全速力で」と細かく基本の確認をする。最後の1周ではダンクを次々と叩き込んでいく。

<今日の練習メニュー>
15:00 集合
16:00
16:05 アップ
16:35 2組分け(今後E/Lチームと呼ぶ)
16:40 E→オールコートでハンドリング競争
   リバウンドから2メン 
L→ウエイトトレーニング
17:30
 
 
E→ウエイトトレーニング
L→オールコートでハンドリング競争
   リバウンドから2メン
18:30 ポジションごとにシューティング
18:50 補強(腹筋10回×10種)
18:55 まとめ
19:00 終了

その後EチームとLチームを入れ替えて同じメニューを行った。LチームもEチームと同じような注意をされている。「バスケットはタイミングが大事」。特にパスにいくつもの指示が出された。

次の全員での2人組シューティングでは、「ミートとパスをしっかりすること」を強調。40名いるが、ジェリコHCは1人たりとも見落とさない。途中で熊谷(渡)を指名して皆の前で打たせる場面も。「今1人で打たせたらきちんとミートしていたが、さっき後ろでやっていたのは気に入らなかった」。

最後に腹筋10種類を10回ずつの補強。真ん中で1人が見本となって進める。10種類目が終わると、皆そのまま大の字に脱力し、初日にしてかなり消耗していた。

<ジェリコHC語録1>
「レイアップがはずれるのは集中力が足りないからです。それは勝ちたい気持ちが生みます。その気持ちはスポーツマンに必要なものです。」

3/3(水)
午前は、ポジションごとの2人組になって、6つのリングに分かれてシューティング。前日に引き続き基本の確認をする。いずれもミートとパスに重点がおかれていた。3人組で左右の0度から交互に打つパターンも。ジェリコHCは6つのリングを回ったり、各グループを1つのリングに呼んだりして、1人ずつチェック。打った後、無駄なステップを踏んだり、シュートをずっと眺めてしまったりする選手には直すようアドバイスしていた。

午後はひたすらサーキットトレーニング。全12種目を回していく。2ラウンド目はインターバルが1分から30秒に減らされた。

その後はスクリメージ(ハーフコートでの5on5)が行われたが、サーキットで腕が消耗しているため、選手の1部はパスやボールの扱いがおかしくなってしまう場面も。

翌日は午後に、審判員も呼んできちんとした形式でゲームが行われる。
<今日の練習メニュー>
09:30 E→アップ開始
10:00 E→2人組シューティング
10:30 L→アップ開始
11:00 E→ウエイトトレーニング
L→シューティング
11:30 L→ウエイトトレーニング
12:00
終了(→食事→昼寝など)
16:00 サーキット(12種目3分/1分休み、
3分/30秒休み)
17:30 スクリメージ
18:50 補強
19:00 終了
<ジェリコHC語録2>
「当たり前の事を言っているが、選手は慣れていない。なので、個人技術強化のためにこのキャンプを組んだのです。」

3/4(木)
午前中はスクリメージ。最初の組み合わせの10人以外は2人組のシューティングを行った。頻繁に選手を入れ替え、様々な組み合わせを試す。「戦術を決めていない中で何をしたいのか」「ノーマークでシュートを打つ」「スクリーンを使う」「スイッチはしない」「リバウンドはスクリーンアウトをしっかりして高くジャンプする」「ファールでも笛がならない限りファールではないのだからプレーを止めるな」「状況を見てパス、シュートすること」「ガードは早くボールがもらえるように考えること」とたくさんの指示を出す。そして、1つの選手の1つのプレーにも一度止めてから指示を出していく。

ここで「オオヤ!」とHCが呼ぶ。交代する選手ではなく、そのもっと先を指差した。「シューティングをだらだらやるならやらなくてよい」。練習終了を告げた(大屋は午前練後謝りに。)。

午後は、4グループに分かれ、審判員も呼んでより実戦に近い状態でゲームを行った。「ディフェンスはダッシュで戻ること。オフェンスは状況を見てパ
ス、シュートセレクションをしっかりし、スクリーンを使って、フリーで打てる状況をつくること。最後に、審判に文句をいわないこと。」 主に午前中の練習で何度も口にしたことを再度確認した。

<今日の練習メニュー>
09:30 E→アップ開始
10:00 E→スクリメージ(交代する選手は
シューティング)
10:30 L→アップ開始
11:00 E→ウエイトトレーニング
L→スクリメージ
11:30 E→ストレッチ
L→ウエイトトレーニング
12:00
終了(→食事→昼寝など)
16:00 アップ
16:25 ゲーム(A対B、C対D)
18:40 補強
18:45 まとめ
18:50 終了

まずは、チームA(池田、石田剛規、太田、大宮、大屋、竹内公輔、中川、中村)と、チームB(朝山、石崎、石田晃章、加々美、蒲谷、熊谷尚之、西塔、佐藤、田中)の対戦。

第1クォーターは、Aの中川−大宮の専修大ラインがゴールを量産。対するBは佐藤のインサイドの1on1頼みになってしまう。石崎のカットイン、朝山の4点プレイなどで何とかA23−14Bとする。
インターバル中、山本先生がBに「狭くなっているからガードがつくれ」とアドバイス。朝山も田中に、「センター行きにくかったらスクリーンすればいいから」。「リバウンドだけ。セカンドシュートだけっすよ。」と西塔。
第2クォーターはBの朝山がうまく雰囲気をつくり、中盤には2点差まで詰める。しかし後半BのミスをAが速攻に結び付けて再び差が開き、前半をA39−31Bとする。
2分のインターバルですぐに第3クォーターへ。 Aは中川が起点となり10点前後の差をキープするが、残り1分をきってからBは加々美の3Pなどで追い上げ、A66−61Bとする。
最終クォーター、Aの大宮がスリーポイントシュートを決めてA73−66BとBの勢いを止めたかにみえたが、Bはインサイドで粘ってついに残り2分台田中のシュートでA79−80Bと逆転する。しかしAの中川がすかさずスリーポイントシュートを返し、Aがわずかに1点リードで1分をきる。C、Dチームもアップをしながらちらちら目をやる中、同点でノータイムに。そのまま終了かと思われた時、Bの石田がファールを得る。残り時間0でのフリースローは2本目をきっちり決めてA86−87Bと土壇場で勝敗が入れ替わった。

次は、チームC(鵜沢、柏木、熊谷渡、菅谷、瀬戸山、野口、早川、町田、山田)とチームD(板倉、大西、桜井、竹内譲次、長澤、御手洗、宮永、吉田)。

序盤は接戦で第1クォーターはC16−17D。しかし第2クォーター、Dが桜井、竹内譲の速攻などで残り5分C26−39Dと一気に差を付ける。守ってもCの中心山田をD板倉がうまく抑えて流れをキープし、前半をC32−46Dで終える。
後半、Cの瀬戸山がシュートを沈めていくが、Dの板倉が入れ返し、第3クォーター半分を過ぎても10点差から縮まらない。しかし、Cは瀬戸山に代わって入った柏木がボールをうまくさばき、菅谷のシュートで残り3分C50−53Dとする。ここでDの板倉が交代するとさらに差を詰め、このクォーターC56−58Dとする。
しかし反撃もここまで。第4クォーター、Dは長澤がマッチアップの菅谷をうまくかいくぐってゴール、ファールを奪う。さらに桜井の速攻もあり、残り6分台C69−58Dと再び離れる。Cは山田がいい形でシュートに持っていくが、リングに嫌われてしまい、終了間際にスリーポイントシュート2本を決めるが遅く、最後はCの長澤が決めてC81−75Dという結果になった。

「いつもと違う雰囲気、ゲームという形式の中で、どんな反応をするかを見たかった」というジェリコHC。ゲーム後の感想は、「皆まじめにいいプレーをしてくれて、満足している。」

<ジェリコHC語録3>
「自分が戦うという気持ちを、コートで出せるようになって欲しい。やる気がなければ私達スタッフは何も出来ないのです。」

リレーのペナルティー
目を配るジェリコHC
ジャンプボール

<今日のメニュー・番外編>
「環境はとてもよい(ジェリコHC)。」という国立スポーツ科学センター。食事は、自分で好きなものを取るバイキング方式。摂取カロリーごとにモデルが示されている(写真は3月3日のもの)。気になるお味のほうは、「おいしいっすよ!〈柏木真介選手〉」。

2000〜3000kcal

3000〜4000kcal

4000〜5000kcal

<取材・文 北村美夏>
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