<スプリングキャンプレポート> 特集ページはこちら
2月25日、東京の国立スポーツ科学センターで、第1次スプリングキャンプが行われた。3日目のこの日は、1・2日目にフィジカルテストを終えて次のステップとなる基礎を丁寧に行なった。
第1次合宿は27日まで行われる。

参加選手はこちら

写真:A代表組の練習の時、ジェリコHCの言葉をメモするアシスタントコーチ陣
2/25(金)
 まず円陣を組む。U-24の池内氏をHCに、山本AC・東野ACのメニューで進める。ポイントごとにジェリコ・パブリセビッチHCがアドバイスを送り、U-18の田中・久井氏も見学に訪れ各世代のコーチが勢ぞろいしていた。
  続いて小出トレーナーの指導のもとウォーミングアップを行なう。前列に集まった3・4年生が積極的に「ファイト」と声を出す。去年のスプリングキャンプを経験していない2年生の宮岡も大きな声を出していた。
  その後はインサイド12名とアウトサイド12名に分かれた。アウトサイドグループは東野ACのもとハンドリングとドリブルドリルから。「ペースアップ!」「前を向いて」と絶えず声が飛ぶ。
  次に体育館の両サイドのあるゴールを使ってランニングシュート。ミニコーンを3つ置き、ジグザクに走ってゴール前でコーチからパスをもらい、ワンドリしてからボールをお腹の周りで一回りさせてレイアップ。ジグザクランはアウトサイドキックとリバースターンの2種類で行なった。G組に石田・桜井・中川・伊藤拓・呉屋・石崎、F組に大屋・菊地・末廣・太田・川村・寒竹と分かれた。ワンドリからシュートの間に素早くハンドリングを入れなければならず、寒竹は最初戸惑っていたがすぐに感覚をつかんだ。この途中で、ジェリコHCから「ディフェンスにどちらに曲がるか知られれはいけないのだからまっすぐ行って向きを変えるように」「ディフェンスが来てからターンするイメージで」とアドバイスがあった。ミニコーンし かないが、そこにディフェンスがいるように意識す
<今日の練習メニュー(午前)>
9:30 集合、アップ
9:45 フットワーク
9:55 インサイド→ウエイト
アウトサイド→ハンドリング・ドリブル
10:05 ジグザクラン二ングシュート
10:15 ハーフコート1on1
10:25 ハーフコート2on2
10:40 2人組シューティング
10:45 アウトサイド→ウエイト
インサイド→ハンドリング・ドリブル
10:55 ゴール下シューティング
11:00 3人組リバウンド(サバイバル)
11:15 ハーフコート2on2
11:25 全員で2人組シューティング(10本
×5セット)
11:45 2人組ストレッチ
12:05 終了
ることを求められていた。
  続いてはハーフコートの1on1。まずオフェンスは20秒間ボールキープし、そこから1on1する。ディフェンスは自由にやらせないようにプレッシャーをかける。2人組は1回りごとに変えていったが、特に中川と桜井がペアになった時はルーズボールを追いかけてもう1つのグループの方まで来てしまうほど白熱していた。
  最後にトップと45度から2on2。まずはスクリーンなしでカッティングのみで行なう。石崎-中川ペアはさすがのパス交換でイージーシュートを作り出していた。続いてスクリーンありで行なったが、スイッチはなし。「自分のマークマンに責任を持とう」(池内HC)。まだ3日目のためコミュニケーションが取れないところもあった。
  シューティングでは「休みじゃないぞ!」と山本ACから声が飛ぶ。石崎はリリースの位置を高くするよう個別でシュート練習を行なった。
  ここでインサイド組が戻ってきて入れ替わりになった。同じようにハンドリングとドリブルドリルから。続いてゴール下シュートのシューティングを3種類行なう。竹内公がお手本になって説明があった。
  その後は3人組リバウンド。西塔・伊藤孝・大西・加々美・竹内公・濱田を4番グループ、町田・太田・菅谷・宮岡・荒尾・嶋田を5番グループとして分ける。コーチのシュートで始まり、ラインを割るまで3本取りで行なう。負けた選手は腕立てのペナルティ。シュートインの後も継続のため、ブロックや激しいプレッシャーの嵐となり、伊藤孝が「これ、きちー」と苦笑いする場面もあった。
  続いてアウトサイド組と同じく2on2。グループを若干変え、アウトサイド陣と同じルールで行なった。
  この後全員でシューティング。山本ACが「強いパス、いいミートを心掛けて」と繰り返した。
  最後に2人組でストレッチを行い、終了となった。

常にコミュニケーションをはかるコーチ陣

ランニングでも4年生が先に立ち引っ張る
2/25(金)
 17時からの午後練習の前に1部の選手のみ練習があった。メンバーは西塔・桜井・太田・菅谷・竹内公・川村に、中川和が加わった。
  まずA代表ACの東野コーチのアップからスタート。続いて恒例のドリブル鬼ごっこ。人数が少ないため、最初はハーフコートで、続いてオールコートで行なう。
  その後はミニコーンを使ってドリブルチェンジからのレイアップ(菅谷は別メニューで筋トレなど)。これは1つずつ課題を加えたり変えたりして長時間行なった。基本はトップと45度の間の3Pラインのコーン(=ディフェンス)でレッグスルーして方向転換→逆サイドのハイポストのコー
<今日の練習メニュー(3部練組)>
15:00 集合、アップ
15:15 ドリブル鬼ごっこ(ハーフ、オール)
15:20 ドリブルチェンジからのレイアップ
  ハーフコート3on3(21点先取)
  2人組シューティング
16:35 終了
ンでフロントチェンジ→レイアップ。まずは「強いドリブル、シュートまでを速く」して、いかにディフェンスにサインを出さずにバランスよく切り替えるかを注意して行なった。特にハイポストのクロスオーバーで無駄足を踏んでしまったり、外側の足に体重を乗せきれず、できるまでやり直す場面が多く見られた。次は台形の真ん中にもう1つコーン(=ヘルプに出たディフェンス)を増やす。チェンジした後にボールを前に出さないこと、最高点でボールを放つこともアドバイスされる。3つ目は全てのコーンを全体的に上にあげ、ゴールまでの距離が遠くなった分レイアップの前にボールをお腹の周りでひとまわりさせるハンドリングが加わる。桜井、竹内公はそれでもダンクに持っていき能力の高さを見せた。4つ目はそのまま左右逆に。順番がすぐにまわってくるが、少しでもスピードが落ちると「遅いよ」と声が飛ぶ。5つ目はヘルプディフェンスの前でもフロントチェンジが加わる。狭いなかで3回チェンジするため、「アクセントをつけよう」とのアドバイス。6つ目はシュートの時、右から行くが空中でゴール下をくぐって(=センターのブロックをかわして)バックシュートに。「最後全力でいかないとダメだ」と容赦がない。
  その後はさらに21点先取の3on3。交替選手もいないなかで奮闘し、「できがよかったから早めに終わりにする」と昨日より早めに終わった。菅谷はビッグマンドリルを続けた。

<ジェリコ語録>
「何故コーンの間を通るの?それは人だよ」 (チェンジする際実戦のイメージを忘れてしまっている選手に対して)

志願して参加した中川(左から2人目)

恒例の鬼ごっこ

ドリブルシュート1つも細かくチェック

課題が少しずつ複雑になっていった
<インタビュー>
西塔佳郎選手

(3部練は)きつかったですよ(笑)。バスケット人生のなかでベスト5に入るくらい。(桜井)良太曰く“今までのなかで一番きつい”練習でした。ほとんど休憩もないし、前後のスプリングキャンプとはプレッシャーが違いますね。
(2回目ですが、去年と違うところはありますか)去年は呼ばれて、行って、ただ練習という感じだったけれど、今年はA代表の事前練習だという目的意識を持ってやりたいと思っています。それでもさりげなく怒られるんですけどね…(笑)。でも自分だけがやっているつもりではまだまだだめということですよね。自分は怒られて伸びるタイプだと思うので、頑張ります!」

中川和之選手
オフ明けの他のメンバーに対し、顔つきも1回り絞れて体のキレも1人違っている。
(またここに戻ってきてどうですか)こういういい環境、いい体育館やいいコーチ・トレーナーがいる中で練習できるだけで幸せだなというのがまずありますね。(戻るか戻らな

西塔選手

中川選手


小出トレーナー
いか迷いましたか?)いえ、もう僕は戻って参加するつもりでした。先のことはどうなるかわからないんですけど、このキャンプもセレクションという目的もあるだろうし参加してもいいか聞いたら育成という目的だからOKと言われて、じゃあもうお願いします、と。(再渡米をふまえてどういうことに気をつけてやりたいですか)もう本当にうまくなりたいというので帰ってきたので、どういう環境でも精一杯やりたい。正直去年まではやらされてという感じでしたが今年はカモン!って感じですよ(笑)。きついのはもちろんいやですけど、こんなチャンスないじゃないですか。きちんとトレーニングしたいので、3部練も志願して入れてもらいました。そういう気持ちは向こうで学んで、成長してきたことですね。」

小出敦也トレーナー
今キャンプからトレーナーが4人体制に。今回そのチーフを務める小出トレーナー(慶應大男子部)に聞いた。今回は栄養やトレーニングなど講義も取り入れているという。
「今日はじめてウエイトの時間を取れたのですが、疲労回復も含めた基礎ですね。昨日もJISSの講習会があって1から教えてもらってたんですよ。この世代は基本的に体が出来ていないんですよね。世界と比べても体作りをやっていないので、国際大会だと当たり負けしてしまう。去年U-24に帯同していて自分も再確認したので、今回基礎をベースにこれができるとバスケットにこう活きるよ、というように選手が目的意識をもってできるようにしています。今回は1・2日目にフィジカルテストをやったのも、それでデータを出して自分の位置や何が足りないかをわかってもらえればという意図です。このメンバーの中での位置がわかったら、今度は韓国やアメリカの選手が同じテストをやった数値と比べてみる。国内ではスキルがあればシュートまでもっていけてしまうのですが、やはり世界を目指さないとですからね。基礎ができていない選手が多いのでそれを中心に、“このレベルを求めているんだよ”と何度も伝えて意識改革が出来ればと思います。」

川村卓也選手
高校生組ながら3部練にも参加しジェリコHCから人一倍声がかかる。慣れない環境が疲労を助長していただろうが、徐々に大学生とも笑顔で会話をするようになってきた。
(3日目を迎えましたが)かなりきてます(笑)。(呼ばれた時はどう思いましたか?)まぁ、わくわくしてここまでは来ましたが、まさかこんな“地獄”が待っているとはという感
じですね。練習量も全然違いますし、細かいところまでやってくれるとは思っていなかったんですよ。そこが高校とは違っていて、基本が出来ていないとついていけないのでめちゃ苦労していますね。(基本というのは)ミニバスとか中学で習うこと、スタンスやステップをしっかりできていないと自分はできないので…足もぱんぱんですよ、もう。(やはり大学生は違いますか)全然違いますね。想像以上に体の当たりが違います。ジャンプ力もあるし背の低い人でもこんなにダンクできるなんてという感じです。スピードも違うし、体の使い方も上手いので対処に戸惑っています。(でも今シーズン(スーパーリーグのOSGに入団)の良いトレーニングになっているのでは?)はい、OSGの監督にもそう言われて来たので何とか次につなげたいと思います。」

川村選手(1番右)
<取材・文 北村美夏>
塾生コラムメインへ
S−moveメインへ