<第80回男子関東大学リーグ戦>
<第80回男子関東大学リーグ戦> |
第80回男子関東大学リーグ戦は2・3日、代々木第2体育館で、1部の第4週目行った。試合の合間にはOB戦が行われ、特に早稲田-専修戦は残り1秒で早稲田が逆転する展開に暖かい拍手が送られた。 |
<第80回男子関東大学リーグ戦 4週目> 10月2、3日(土、日) 会場:代々木第2体育館
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(10/2分) |
試合を決めるシュートを放った 慶應大#11辻内 |
点されるも単発で防ぎ流れを渡さない。慶應#18竹内のブザービーターも決まり15点リードする。 第3クォーターは再び点を取り合う展開となる。日大#9呉屋・#7蒲谷に3ポイントシュートを決められるも、慶應も要所で#4志村が3ポイントシュートを決めリードを保つ。残り3分をきって日大に速攻を許し追い上げられそうになるが、#18竹内のオフェンスリバウンドからのシュートが決まり流れを断ち切る。最後はベンチメンバーの1人#12松本がシュートを決め、リードを保って終える。 第4クォーター序盤、日大#7蒲谷・#9呉屋に積極的に1on1を仕掛けられ、ペースをつくられる。ここで日大#5太田から4つ目のファールを奪い日大の流れを切るが、残り4分55秒に日大#9呉屋に3ポイントシュートを決められ82-76と6点差にまで詰められてしまう。その直後に日大#5太田がファールアウトするとペースを引き寄せかけるが、日大に粘られ残り2分から#9呉屋・#11城間の連続3ポイントシュートで86-82と追い上げられる。しかしここで#10辻内が日大の流れを切るミドルシュートを決めると、結局そのまま逃げ切った。 |
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慶應大・佐々木ヘッドコーチ 「もっとしっかり点差をつけないといけないのにできなかったですね。今週授業が始まり練習が少し短くなったので、体力的な問題も否定できません。 今日のディフェンスのポイントとしては、まず呉屋、城間と蒲谷の3ポイントを警戒して、ディフェンスをしつこくやるように指示しました。呉屋には結構やられましたね。インサイドは太田君が本当に上手くなっているので、“大事に”守るように言いました。今日はリバウンドもよく取られていたので、明日はまた違うやり方でやりますよ。あと、辻内が蒲谷のディフェンスにかなり神経を使わされて負担がかかっていましたが、最後の大切なシュートを決めるという仕事をしてくれました。 途中追い上げられたのは、自分たちのオフェンスがついついハーフコートでゆっくりセットして…みたいな形になってしまって、本来のオフェンスができなかったからです。控えの関は練習ですごく頑張っているので、彼なら多少のミスはあっても皆も許せます。これからも使っていきますよ。 優勝に向けてのプレッシャーは今はないですね。最終戦で決まるとかいうことになれば、違ってくるかもしれませんが、10何年ぶりの1部で、我々は常に“チャレンジャー”です。」 慶應大・石田選手 「調子は…普通ですね。最後の決めなくてはいけないシュートを落としたので、ちょっとダメでした。日大ということで特にプレッシャーがあったわけではありませんが、チームのタイプが似ているので、負けられないなっていう感じです。リーグ優勝というのは考えていないでのプレッシャーはないですね。リーグは負けても、次につながればいいし、大切なのはインカレだと思っていますから。だから、日大みたいな強いチームに苦手意識を持たないでやれるということが重要だと思いました。うちは春に比べると、ディフェンスがよくなりました。あの頃はまだ5人がバラバラになっている時もあったのですが、今はチームディフェンスができています。そこがいいのでしょうね。うちは能力的にはそれほど高くないので、向かっていくつもりでやっています。」 慶應大・辻内選手 「蒲谷のディフェンスは大変でした。結構やられましたが、15〜16点くらいで抑えられたのは自分的にはいいとしてます。オフェンスに関してはマークされるのはわかっていました。今日は他のみんながよく点を取ってくれたので、自分はディフェンスに集中できました。うちは5人全員が点が取れるのが強みですね。」 |
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<EDITOR'S VOICE>
慶應大は序盤から5人全員が意欲的にゴールを狙うことで、日大のディフェンスを崩すことができた。#10辻内・#18竹内はディフェンス面の負担が大きかった(それぞれ蒲谷・太田とマッチアップ)が、オフェンスでも積極的に絡み日大の焦りを誘った。また、このチームの貴重なベンチメンバーである#6関が徐々にオフェンスに絡めるようになっており、ある程度の時間はキープできるメドがたってきたように思う。さすがに後半は勢いが若干落ちる傾向があるが、#4志村がキャプテンシーを発揮しなんとかゲームを維持できている。“優勝”に対するプレッシャーは今はないそうだが、これから徐々に大きくなってくるその可能性に精神的な影響が出てくるのかどうか興味深いところだ。 日大は全体的に決して悪くはないだけに、修正が難しい試合内容だった。第2クォーター一気に離されたところで粘れていたら、後半はチャンスがあっただろう。ディフェンスの粘り強さが必要なゲームだった。 (渡辺美香) |
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(10/3分) |
勝負所で決めた慶應#4志村 |
ると代わって入った#6関が約1分のプレータイムの中でリバウンドに奮闘し、関に代わって戻った#5石田がロングシュートを決め勢いに乗る。この後互いにプレッシャーが激しくシュートが落ちるが、最後にセットプレーから#17酒井がブザービーターとなるジャンプシュートを決めて41-35とリードして折り返す。 第3クォーターも互いに思うようなオフェンスを展開させない中、日大#12菊地にロングシュートを決められてしまうが、24秒クロックぎりぎりで#4志村が3ポイントシュートを決める。さらに#10辻内のロングシュートで48-39とすると、日大#4日下から3ファール目を奪うなどチームファールのフリースローで点差をキープする。このあと慶應大もファールがかさみディフェンスの時間が続くが、残り5分またもや#4志村の3ポイントシュートで55-45と10点差をつける。日大のタイムアウトの後、日大#4日下のロングシュート、#9呉屋の3ポイントシュートで55-50と詰められるが、残り2分30秒日大#4日下から4つ目のファールを奪いオフェンスの核を下げさせる。チームファールのフリースローを#17酒井が2投決める以外は互いにフィールドゴールを許さず、残り1分を切る。日大#9呉屋にアーリーからロングシュートを決められるが、#4志村がブザービーターで3ポイントシュートを決め60-52で最終クォーターへ。 第4クォーターも守り合う展開。残り6分日大#4日下の3ポイントシュートで64-58となった後互いに得点がとまり、#4志村も4ファールと日大#4日下と同じ状況になる。残り3分日大#12菊地に体を張ってのリバウンドシュートを決められ、#4志村がカットインで得たフリースローを1投決めるも日大#11城間のバックシュートで残り2分30秒65-62とついにワンゴール差となる。さらに#18竹内のポストに日大#11城間が寄ってヘルドボールになるが慶応ボールで救われ、#5石田がボールサイドカットからゴール下シュートにつなげる。さらに日大#7蒲谷の#5太田とのピックロールからの3ポイントシュートは外れるが、そのリバウンドを取った#18竹内のロングパスが#7蒲谷にカットされ気が抜けない。日大#5太田に裏パスが入るが、#11城間へのパスが乱れ#5石田の速攻につながり、残り1分10秒フリースローを決めて67-62と5点差で日大のタイムアウトとなる。あけた後、#17酒井の3ポイントシュートはブロックされるがルーズボールが#18竹内に渡り、ミドルシュートをねじ込む。残り1分をきって日大#11城間のフリーの3ポイントシュートは外れ、#5太田のリバウンドタップもリングを嫌われる。それを#17酒井の速攻につなげてファールをもらい、2投決めて71-62と試合を決める。最後の日大の3ポイントシュートも外れ、2連勝となった。 |
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慶應大・#5石田選手 「今週は1番ポイントとなる週でした。日大には春は勝ったけれど、うまくてバランスが良く今までよりずっと強い相手だっただけにこうして2勝できて嬉しいです。日大はウイングが強いのでそれを抑える事と、スクリーンの対応が他と違うところを気をつけて臨みました。オフェンスではうまくパスが回らなかったし、自分も調子が悪くシュート数が少なかったです。チームのリズムを考えるともっと攻める回数を増やす場面を作らないといけませんでしたね。でもディフェンスで貢献できたので自分の中ではよかったです。 1部でやってみてたくさん課題も見つかっているけれど、成長もできています。これからもスピードのあるバスケットを展開していきたいですね。」 |
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<EDITOR'S VOICE>
慶應大は、“日大のウイングを守る”というチームの約束をきっちりやり遂げ、普段はカットイン・3ポイントシュートと手がつけられない日大#7蒲谷・#11城間に最後まで仕事をさせなかった。攻めても#5石田が自分へのマークが厳しいと見るやアシストにまわって周りを生かした。勝負所では#4志村がシュートを決め、日大の勝ちへの気持ちすらかき消してしまうほどの勢いに乗った。 日大は、日下のファールトラブルや、簡単なバイオレーション・ミスで流れをつかめずに終わってしまった。#12菊地・#9呉屋の奮闘があったが、序盤で#7蒲谷の元気がなくチームを一気に盛り上げる3ポイントシュートが不発に終わり、終盤の勝負所でも#11城間のインサイドプレイが見られなかった。試合を通して決まってほしいところでの3ポイントシュートが決まらず、後半何度も追い上げるがリードを奪うことはできなかった。 (北村美夏) |
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『前へならえ』慶應大・#4志村雄彦選手(4年・PG) 「今日は苦しいところもあり、そこで自分が声を出さないと崩れてしまうと思って声をかけました。プレーでは、苦しいところでシュートを決められたのでそういう意味では今日は良かったです。あとはもうちょっとターンオーバーを減らせればいいかな」 よどみなく、きっぱりとした口調で志村は言った。 「今週2つ勝ててよかったしほっとしています。いつもそうだけれど、自分の中で気持ちを盛り上げて出だしから走れるようにと思って臨みました。ここまでの成績は、やっぱり練習からしっかりやってきたのが出ていますね」 積み重ねてきたものが当然のように出ているだけ。頑張っている人だけが使える言葉だ。 「シュートは好きですけどうちには打つべき人がいるので、Gとしていいパスをすることを心がけています。自分は苦しいところで決められればいいかな。そういうところでパスが |
来た時?“来たー!”って思って打ってますよ(笑)。決まれば応援がドカンとなるでしょ。応援の力は大きいです。僕達は部員全員が同じ時間に同じコートで練習しているから、会えば声を掛け合うし頑張っているところも見ている。なのにコートに立てない人達がああして応援してくれているので、マネージャーやスタッフも含めてそういう人たちに僕達は応えないといけないですよね。」 今の慶應の勢いを作っているのはプレーと応援の相乗効果だ。その一体感は普段の練習から生まれている。部員全員での練習は1面のコートに人が溢れんばかりになるが、その中でもすぐに見つけられるのがこの志村だ。フットワークでもディフェンスドリルでもいつも真ん中の一番前。そして体をめいいっぱい使っている。ディフェンス練習最後の“3分間ハンズアップ(3分間ハンズアップのままコーチの指す方向にステップスライド)”で、1人、また1人と自分に負けていく中で、最初から最後までスピードも声もステップの強さもただ1人変わらない。 「手を抜かないためにその場所でやっています。去年からそうだし、キャプテンだからではない。声と背中で練習の大切さを伝えられたらと思います」 真ん中の一番前。そこが志村の定位置だ。 「あとは怪我なくやれればと思います。“公式戦4年間皆勤出場”がかかっているので。毎日の試合で少しでも気を抜いたら、終わりです。」 |
<第80回男子関東大学リーグ戦 4週目> 10月2、3日(土、日) 会場:代々木第2体育館
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(10/2分) |
インサイドを守りきった法政#8高久 |
高久がオフェンスリバウンドから得点し同点とする。さらに#8高久・#11末廣が決め、60-57となんとかリードを保つ。 第4クォーター序盤はターンオーバーが続くが大東もシュートが入らず、どちらもなかなか得点が伸びない。残り7分、大東の司令塔・#4月野が4ファールとなると流れが傾きかける。その後大東のアウトサイドのディフェンスが甘くなったのを見逃さず、法政#4山田・#11末廣が続けて3ポイントシュートを決め69-60とし、残り5分25秒大東にタイムアウトを取らせる。その後もファールがかさむ大東にディフェンスを機能させず、#11末廣の3ポイントシュート・#7亀井のミドルシュートと得点を重ね、残り3分76-62として再び大東にタイムアウトを取らせる。その後もファールトラブルの大東をチームとして機能させず、最後の1分は主力を全員下げる余裕をみせてこのクォーターを7失点で乗り切り、このリーグ2勝目をあげた。 |
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法政大・高久選手 「追い上げられた時は“やばいな”と思いましたよ。うちの場合10点リードは全然セーフティじゃないので。今日の勝因はディフェンスですね。インサイドの大きい選手をなるべく外でプレーさせるようにして、外から打たせてリバウンドを取るようにしました。今日はファールが少なかったのですが、町田さんが怪我をしてるので、自分が出られなくなるわけにはいかないという責任感みたいなものがありました。怪我をしている選手を出させるわけにはいきませんから。コーチからも40分出るつもりでやれと言われてました。去年は他のチームのセンター陣がすごい選手ばかりでなかなか思うようにできず、気持ちが持たなかったりしましたが今年は新人戦等でもある程度やれるという自信がついて、気持ち的に集中してできるようになりました。」 法政大・末廣選手 「今日は初心に戻るような気持ちで臨みました。流れが悪くなるとみんなでしっかり声を出すようにしました。新人戦では多くの3ポイントシュートを決められたのですが、リーグはやはり全然違います。なかなか打たせてもらえないです。でも、少しずつ自分のペースでできるようになりました。やはり先週の1勝は気持ち的に大きかったですね。昨年も連敗が続きましたから勝てて楽になったし、自信もつきました。今年のチームは昨年のような爆発力はないので、今日のようにとにかくディフェンスをしっかりやって相手を押さえて、そこから自分たちがペースを作っていくようにしていかないといけないです。」 |
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<EDITOR'S VOICE>
法政は先週の試合でスタートのセンター#9町田を怪我で欠き、インサイドは苦しい布陣となった。しかしその穴を#8高久が埋めた。先週の日大との2戦目や先の新人戦などでは、活躍しながらも後半序盤でファールアウトしチームが失速するというパターンだったが、この日は無駄なファールが全くなく実に上手くセルフコントロールができていた。もし彼がいつもの試合のようにファールアウトしていれば、結果は全く違っていたかもしれない。アウトサイドにいいシューターのいる法政にとって、インサイドがいかに働けるかが重要な鍵となる。また、ここ数試合を見ていると、法政のディフェンスの足が実によく動いている。“勝利のためにやるべきこと”が見えてきているように感じた。 逆に大東はチームオフェンスが機能していないように感じる。中にも外にもいい選手がいるが、それがつながっていない。チームとしてのポイントが見えにくいゲームだった。 (渡辺美香) |
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(10/3分) |
攻め続け30得点の法政#4山田 |
第3クォーター立ち上がりは決め合う展開となる。#11末廣が1on1・3ポイントシュートと活躍し、#5小川のカットインから#8高久への合わせも決まるなど流れに乗る。ディフェンスも大東大のオフェンスを分断し54-47と一気に逆転して、残り6分15秒大東大のタイムアウトとなる。大東大を#10高橋・#6孟の単発シュートに抑え、攻めては#8高久がインサイドで確実に加点し残り3分50秒60-51とリードを保つ。そのあと大東大のミスに付き合ってしまい差を広げられないが、残り1分から#8高久のゴール下、さらに大東大#5西塔の4ファール目を奪っての#10高崎のフリースローで67-53とする。 第4クォーターは#8高久の3ポイントシュートでスタートするが、大東大#6孟に返される。さらに大東大#12名本のミドルシュートと#16金城の1on1からのバスケットカウントを許してしまい、70-60となって残り8分30秒タイムアウトを取る。ワンスローは外れ#10高崎がリバウンドを取るが、大東大#5西塔のパスカットから#12名本のロングシュートにつなげられまたたく間に1桁差となる。だが速攻で得た#7亀井のフリースロー、さらに#4山田の3ポイントシュートで76-64と点差を戻し、残り5分40秒タイムアウトを取らせる。だが大東大#12名本のロングシュート・アシストで78-68と再び10点差となり、残り4分40秒タイムアウトとなる。この後#4山田が3ポイントシュートを決めるが、大東大#12名本のファールを受けながらのロングシュート・#5西塔の3ポイントシュートで残り3分81-73と振り切れない。ファールによるフリースローで加点するが、大東大#12名本のロングシュート、#17樋口の3ポイントシュートで残り40秒86-81とされる。だがファールゲームのフリースローをきっちり決め、91-85で苦しい戦いをものにした。 |
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法政大・#5小川選手 「今日は“入替戦だと思って死ぬ気でやれ”とコーチに言われていたこともありまとまっていました。チームのやろうとしていることが統一されていた。勝負所はヤマ(#4山田)に任せるのもうまくいっています。自分は言われたことをきっちりやるだけですね。今まではセットオフェンスにこだわりすぎているところもあったけれど、今日はトランジッションの速いバスケットに持っていって、インサイドの選手がうまく合わせてくれました。 専修戦(2週目・大差で2連敗)のあとチームで話し合いをして、お互い本当に思っていることを言い合いスタートは手厳しいことも言われました。でもそれが日大戦の勝利、今日の2連勝につながっています。それから1・2年生のガードがつないでくれていることも大きいですね。自分とヤマだけではリズムが悪い時乗り切れないので。 心配していた末廣(#11・2年)の調子も戻ったし、苦しい時もまとまっていい感じでできています。 」 |
法政大・#11末廣選手 「2戦勝ててほっとしました。自分の中ではディフェンスをしっかりやってできればリバウンドにも絡もうと思って臨んだけれど、そちらはあまり絡めなかったです。 今までずっと調子が悪くて何をやってもうまくいかなかったけれど、昨日の試合から考えて打ってもしょうがない、ガムシャラにいこうと思いました。 チームは先週くらいからまとまってきました。1から話し合ってディフェンスをちゃんとやっていこうと決めて、リズムが出てきました。今は自分も流れの中でシュートが打てているので、チームの流れもいいということなのかなと思います。 この後も決して勝てないところはないので、1戦1戦を大事に戦って1つでも勝ちを増やしたいです。」 |
大東大・#12名本選手 「最悪のパターンですね。 コートに入る時は、とりあえず審判に文句を言わないようにと言われたのでそれを心掛けたくらいです。調子も普通でした。シュートもあれは点差が離れていて思いきっていっただけでたまたま。4Qじゃなく、3Qに活躍できると良かったんですけどね。 コートに入ると、さっきまでベンチで盛り上げていたのに中はテンションが低いなと感じました。それを直さないといけない。ガードとしては声を出していこうとしているけれど、声を出せない雰囲気だし出しても周りがついてこないから出せなくなって…という悪循環が今の状況ですね。 ここまでは危機感がなかったということだと思う。来週からは変わるでしょう。これからは1戦も落とせないからトーナメントのつもりでやります。とりあえずまとまらないと…今は勝ちたい以前の問題なので、チーム1人1人の目標を1つにしていきたいです。」 |
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<EDITOR'S VOICE>
法政大の#5小川、#14山田健らガード陣数名が坊主頭で登場。“別にそんな気合でというわけではなく、後輩何人かで先輩の家に行った時に、ノリで”(#5小川)とのこと。4年生が気を利かして、元気付けたのだろう。チーム状況は決して良くないが、#8高久が#9町田の、#10高崎が#11末廣の代役以上の働きで貢献。#5小川・#7亀井が声を出し続け、要所で#4山田が決めるという法政らしいゲームで接戦を制した。 大東大は、交代した選手がコートで流れを変えられなかった。#12名本のシュートで差を詰めたが、逆転にまで持ち込むチーム力=一体感がなかった。厳しい試合の経験豊富な#4月野・#5西塔ら4年生がもっとリーダーシップを表現して欲しい。これで2勝6敗と苦しくなった。 (北村美夏) |
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『3番目の風格』法政大・#8高久順選手(2年・PF) 法政のスタートを務めるのは、5番ポジションが#9町田(3年)、4番ポジションは#7亀井(3年)だ。#8高久はその2人のファールがかさんだ時、リズムが悪い時に出てくるいわばインサイドで“3番目の男”。だが、器用でディフェンスを見ながら中でも外でも攻められ、激しく体がぶつかるゴール下でも逃げず、何よりチームのために声を出すことができる。 「今まで1勝しかしていなくてずっと下位でしたが、これから同じくらいのレベルの相手との対戦が続き星を落とせない中で今週2連勝できたことは嬉しいです。日大戦で1勝できたことでいけるんじゃないかと思えるようになったし、それからこの1週間はBチームの人たちが練習の時大東大のオフェンスのパターンを覚えてやってくれたことが大きいです。ディフェンスが本当に良くなりました。この2戦は、ディフェンスで我慢したからこその結果ですね。チームの雰囲気は良く、リズムが良くなってきました。皆で声を掛け合うなどコミュニケーションができています。これからは、まず1戦1戦たたかうことが大事ですね。相手がどうより、自分達がディフェンスを頑張るだけです。」 |
#9町田を先週の怪我で欠く中、オフェンスのリズムが悪い時にはゴール下で堅実に2点を重ね、終盤の苦しいところでも冷静にペイント内を守り切った。卒業後JBL入りした山田(日大→トヨタ自動車)・勝又(大東大→OSG)らなみいるセンター陣と戦った昨年の経験、トーナメントと新人戦ともに大会最終日まで厳しい戦いを乗り越えた今年の経験が、町田の穴を埋める以上の働きにつながった。 「そうですか?そう言ってもらえると、嬉しいです。」 そしてこの試合でも自信をつけただろう。その自信は、やがて“風格”になる可能性を秘めている。 |
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『NEVER GIVE UP』 大東大・#4月野功大選手(4年・PG/CAP) 「自分達でやろうろしていたことがわかっていたのに、持続してできなかったことがくやしい。バック(ディフェンスに帰ること)はできていたけれど、そこからスクランブル(ランダムにマッチアップ)で守る時に声が出ていなくて相手1人に2人がいってしまったり、オフェンスでも速攻のミスなど全部細かいところ。負けが続いていて元気がないこともあるけれど、昨日追いついた後や、今日もリードしていたのにミスで離されてしまいました。勝負どころでのもうひと踏ん張りが課題です。自分も3Q時のノーマークをもう少し入れていれば全然違ったと思います…。」 わかっているのにできないもどかしさ。試合直後にロッカールームの前の廊下で座り込んでいた姿からも、試合終盤1秒でもはやくボールを運んでシュートにつなげようとしていた姿からも、月野のもどかしさはにじみでていた。 試合では大東が流れをつかめそうな場面もあったが、法政にくらいつかれるとあっさり |
と押し切られた。コートで5人が集まってもその場だけ。勢いを作るはずのベンチの声も聞こえてこない。月野のゆがむ表情ばかりが必死だった。 「とにかく、今は気持ちの切り替えが大事ですね。みんなでやって、ベンチも全員が意識して盛り上げたい。もう後は気持ちの問題。1人1人が違うことをやっていたら勝てないので、チームで勝つことを皆が思ってやらないといけないですね。とりあえず1つ勝てば変わってくると思うから…、来週です。」 それでも月野はあきらめていない。 |
<第80回男子関東大学リーグ戦 4週目> 10月2、3日(土、日) 会場:代々木第2体育館
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(10/2分) |
#6中川和に代わりスタートを務めた 専修大#8小野 |
第4クォーターは一気に専修のペースとなる。リバウンドを支配し、インサイドで得点を重ねる。また焦る早稲田にチームオフェンスを組ませず、ドライブインには2人・3人とシュートブロックに跳び得点させない。完全にゲームを掌握して、このクォーター早稲田を開始から7分以上無得点に抑え78-68で逆転勝利した。
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専修大・中原ヘッドコーチ 「今日中川和がプレーしなかったのは“大事をとって”といった感じです。必要があればいつでも出せるようにはしていました。ずっとリードされていて、中川和を使うのは簡単でしたが今日は小野や松本がよくやってくれていたのでそのままでやりました。ベンチにいることも中川和にとってはいい経験になるでしょう。しかし、今日のゲームで改めてガードの大切さを感じましたね。今日のフロアリーダーは小淵ですね。彼には毎日の練習でも常にプレッシャーをかけています。自分がPGだったのでPGには非常に厳しいですよ。 前半は負けていましたが、ハーフタイムではとにかく思い切ってやるということと、気持ちを切り替えてやることを伝えました。相手にやられたことでガクッときていると、ディフェンスに帰るのが遅れてしまったり、ピックアップの動きが遅くなったりしますから。 J(波多野)は、夏にアメリカにトライアウトを受けに行って、かなり“くやしい”という気持ちをもって帰ってきたんです。そういう思いが今の彼のプレーに出てきていると思いますね。」 |
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<EDITOR'S VOICE>
専修は#6中川和が故障のためプレーしなかったことで、中-外を結ぶラインが組み立てられず前半は全くチームとして機能しなかった。しかし、後半自分たちの役割を再確認すると個々の動きに無駄がなくなった。第4クォーターには完全にリバウンドを支配し、そこからセカンドチャンス・サードチャンスを得ることでオフェンスを広げることができたとともに、相手の焦りを誘うこともできた。#8小野・#20松本の控えのガード選手がチームとして機能したことは、今後のチームにとって大きな収穫になったかもしれない。 早稲田は相手が波に乗れない間にもう少し離すことができていれば逃げ切れたかもしれない。序盤、相手のリズムの悪さに付き合ってしまっていた感がある。第4クォーターは完全に浮き足立っていた。シュートブロックに秀でた選手の多いインサイドに真っ向勝負で突っ込んでいっても、なかなか得点はできない。自分たちのリズムでゲーム展開できることが必要だろう。 (渡辺美香) |
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(10/3分) スターティングメンバー 専修大:#8小野・#10波多野・#12伊藤・#13大宮・#15小淵 早稲田大:#13菅原・#14高木・#17田上・#19風間・#22近森 第1クォーター、専修大は早稲田大のミスを#15小淵のバスケットカウントや3ポイントシュートなどほぼ全得点を稼ぐ活躍につなげ、12-5と先行する。早稲田大#17田上のゴール下・#22近森の速攻を許すも外のシュートを落とさせ、残り4分10秒#10波多野のゴールしたシュートで19-9と早々に10点差としてタイムアウトを取らせる。その後も#10波多野・#13大宮のブロックショットなどでフィールドゴールを許さず、残り2分24-13とリードを守る。だがそれから早稲田大に速攻を続けて決められ26-19で終える。 第2クォーターは早稲田ボールから始まり、#17田上にインサイドの1on1を決められる。その後リバウンドを粘るが決められず、早稲田大#19風間の3ポイントシュートで残り8分26-24と詰められる。その後は早稲田大#14高木のゴール下シュートで28-28と同点にされるが#13大宮が裏パスから決め返すなどワンゴール差の攻防となる。だがインサイドで確実に得点を重ね、残り5分には35-28とリードを戻す。早稲田大のシュートミスをことごとく速攻につなげ、残り4分30秒37-28でタイムうアウトを取らせる。さらにインサイドで早稲田大からファールを得てバスケットカウントやフリースローを量産し、43-40で折り返す。 |
高さを生かしてシュートを決めた 専修#13大宮 |
第3クォーター、ジャンプボールから早稲田大#14高木に簡単にレイアップを許すが、#13大宮の速攻で49-34とする。だが#19風間・#14高木の3ポイントシュートで追い上げられ、残り6分には#10波多野を4ファールをベンチに下げざるを得なくなる。ここで早稲田大#22近森にインサイドでフリースローを続けて与え残り4分35秒51-45とされると、リバウンドも思うように取れず点が伸びなくなる。#13大宮と早稲田大#17田上・#22近森がインサイドで点を取り合うが、残り1分25秒早稲田大#17田上のブロックショットから#14高木の速攻につなげられ56-51となったところでタイムアウトを取る。この後フリースローを2投とも落とし、早稲田大#22近森に1on1を決められワンゴール差となるが、#15小淵が終了間際に決め返して何とか58-53とする。 第4クォーター、#22五十嵐を基点に攻め64-55とリードを広げ、残り7分30秒69-57としてタイムアウトを取らせる。そのあと早稲田大#19風間に3ポイントシュートを決められるも#22五十嵐が決め返し、そのまま10点前後の差をキープしていく。残り4分30秒#13大宮が4ファールとなると#10波多野が戻り、早稲田大#14高木が3ポイントシュートを落としたリバウンドを支配する。残り1分35秒には#15小淵の1on1で76-68としタイムアウトをとらせる。だがぎりぎりの早稲田大の攻撃を止め、最後は#10波多野がフックシュートを決めて1戦目と同じ78-68で勝利した。 |
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専修大・中原ヘッドコーチ 「昨日はちょっとやられそうでしたが、よく勝ちました。選手が勝手に早稲田みたいなチームを苦手に思っているところがあって。でもこういう展開になることは予想していました。高木・田上くんに190cm台の選手をつかせるわけですから、外のディフェンスが苦しくなります。でも今後のために勉強させたかったし、勝ったことで選手の自信にもなったと思います。 チーム状況としてはスタート2人とベンチのキーメンバーが怪我・病み上がりできついはきついです。その選手で練習してきているわけですからね。でも選手達の“負けたくない!”という気持ちが強かった。普通はPGが違ってインサイドが変わったら崩れてもおかしくないですが、代わりのメンバーが練習で競り合いをしている分もってくれました。 来週は長澤が太田は俺が抑えたるって思っていると思うので、やってもらうつもりです。中川和は足首を少しひねったので今週は様子を見ますが、心の強い子なので気持ちは大丈夫でしょう。 」 |
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<EDITOR'S VOICE>
専修大は、#15小淵の活躍で先行すると、心理的に早稲田より少しだけ余裕を持って試合を展開できた。プレッシャーからシュートが落ちても#10波多野・#12伊藤のリバウンドからチャンスを広げ、外からも#13大宮らが効果的に加点した。#9長澤・#6中川和を怪我で欠く中、#22五十嵐らベンチプレイヤーがしっかりとつないだ。 早稲田大は、何度離されてもくらいつく粘りを見せた。だが、勢いに乗りかけた時の速攻のミスが痛かった。こちらも怪我人が多いなか、#17田上・#19風間・#23前川らがこの接戦を経験をしたことは大きい。だが、“がむしゃらに頑張るだけ”だった3人に対し、#14高木の不調が気にかかる。 ただ4週目を経て、だんだんやろうとしていることが浸透しているように見える。ここまでの悔しさをかみ締めている#14高木・#22近森のスタート組や、戦列を離れていた#15高島らの巻き返しが期待される。 (北村美夏) |
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『いつかのための試練』早稲田大・#14高木賢伸選手(3年・SG) 「課題がいっぱい見つかった試合でした。」 うつむき、しばらくの沈黙の後にしぼり出した。 「昨日も今日も自分達のペースに持って来れたのに、最後は個人技でやられてしまった。勝負を分けたのは要所でのシュートです。自分が良くなかった。意識しすぎて手投げになったので次からは気をつけたい」 高木は今試練を味わっている。もともとスタートを務める5人のうち4年生はキャプテンの木村だけだった。そのうえ同学年の高島・久保が怪我で離脱、司令塔も菅原の調子が良くなく下級生が務める状態。1度崩れてしまうと、離れていった波をもう1度持ってくることができない。 「デイフェンスは悪くなかった。でも今日は昨日よりボックス内でやられました。メンバー |
が昨日と少し違うのも多少はありますが、昨日は3・4・5番がきちんとボックスアウトしたからリバウンドも取れたのに、逆に“昨日は取れた”という意識から今日はガードも含めておろそかになってしまった。 オフェンスでも点差を詰めた時もっと勢いに乗って一気に行かないとだめだった。相手も対応してきたし、こっちも“大事に”となって思い切りがなくなってしまいました。」 オフェンスの負担は他の選手よりはるかに重い。相手もそれがわかって厳しいマークをしてくるし、他のポジションがプレッシャーに負けて高木のシュートまでつなげられなかったり打たされてしまったりという場面も多くある。さらにSGにはエースが多くディフェンスでも気を抜けない。だがそれでも、高木の役をできるのはやはり高木しかいない。 「ディフェンスは良くなってきたのでそのイメージを忘れずにやりたい。うちはディフェンスができてオフェンスができるっていうチームだから。そのためには中の5人がもっと頑張らないといけないですね。怪我人のことは言ってもしょうがない。今日も自分だけ止めればいいってことはないと思うけれど、そうやって守られていたとしても本当にそれで止められてしまった。その中でも、やらないといけない」 ジャンプシュートを決めた後、高木は一瞬、下を向く。そのシュートが今は気休めにしかならない。でも体はすぐにディフェンスの体勢を取って、まっすぐ前を向く。きっと、その美しいシュートがいつか大きな試合を決めるシュートになるための今、なのだ。 |
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『苦しくても』早稲田大・#22近森裕佳選手(1年・PF) 「はい、はい!」ボールを呼ぶ声が響く。1年生ながらスタートを務め、プレータイムも長い。村山の抜けたインサイドで1部校のセンターを相手にしなければならず、ものおじしている暇は与えられていない。 「専修のインサイドは高校や大学の全日本に選ばれたことのある人ばかりで、わかっていたけれど“強いな”という印象でした。でもそこまでやれなくもない。逆にあっちはなめくれている分こっちが一生懸命やれば通用する。でも、疲れた時は相手の能力の方が上でした。追い上げていって逆転できなかったのもそう。すごく悔しいし、チームの課題です」 くやしい。その気持ちが近森を大きくしている。 「この2戦は、オフェンスではスペースを取ることや流れの中からカットインやシュートをすることを心掛けました。止まった状態から1on1だと相手が高くてブロックされてしまう |
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ので、横の動きやスピードでカバーするためです。 でき具合は…波に乗ったときはできたけれど、試合のリズムの中で自分達がうまくいかない時間帯が来たときに踏ん張る力をつけないといけないですね。昨日の4Qや今日も5分間くらい無得点だった時があったけれど、そこでの打開策がなかった。」 この日の敗戦で通算1勝7敗。順位に関係の大きい試合はこの後に控えているとしても、1つでも負ければ入替戦が迫ってくるのは変わりない。 「勝てていないことが今ずっともどかしい。 昨日も今日も競ったし、日大・日体・大東戦の2試合目も勝てたのにもったいない試合をしてしまいました。今本当に苦しい。どういう方法でもいいから、あと6つ勝つことを考えていきたい」 勝ちたい。その気持ちが近森を大きくしている。 「リーグは負けても続いて、そこは高校と違うから気持ちの切り替えは難しい。でも初めてのリーグといっても、初週の日大戦の最初に少し緊張したくらいです。早稲田の代表として出させてもらっているから、勝手なことををやらずにとにかく倉石HCの言うこと、チームでやろうとしていることを理解してやるだけです。」 やる、と言ったら本当にやってくる。その2つの気持ちが目に見えてわかる選手だから、逆境でもコートに立ち続けていられる。 |
<第80回男子関東大学リーグ戦 4週目> 10月2、3日(土、日) 会場:代々木第2体育館
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<取材・文 北村美夏> |