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＜第54回関東大学バスケットボール選手権大会＞

第54回関東大学バスケットボール選手権大会（通称トーナメント）は26日、代々木第2体育館他で6回戦が行われた(全ての結果は→関東学連公式サイト)。
この日でベスト8が全て出揃った。
ベスト8：法政、東海、青学、専修、明治、早稲田、筑波、日大

＜第54回関東大学バスケットボール選手権大会＞
5月26日(木）会場：代々木第2体育館

TEAM						TEAM
	66	23	1st	24	95
国士舘大		13	2nd	14		早稲田大
		14	3rd	25
		16	4th	32

スターティングメンバー
国士舘大：＃4山口、＃7陳、＃15小松、＃16柴田、＃17秋澤
早稲田大：＃4菅原、＃5高木、＃6押野、＃9高島、＃13田上

落としても打ち続け3Qに当たり
を持ってきた早稲田大＃5高木

国士舘大は早稲田大＃5高木の
前半3ファールをきっかけにできず

広い視野からパスを供給した
早稲田大＃20太田

リバウンド・ルーズボールのセンスを
発揮した国士舘大＃21寺嶋

国士舘大・小倉一訓監督『あの3分、そこに尽きますね』
「普段どおりに入れて、前半は10点差以内でいけました。勝っても負けても5点離れるか離れないかだと思っていましたから予定通りですね。

(そこから大きく離されてしまったのは)やっぱり第3クォーターの出だしでしょう。ととん、と決められて、バスケット負けというよりも気合い負けです。ボールを持ってプレーしている時に迷うのは気合いが入っていない証拠ですよ。守っていても、オフェンスで気持ち・緊張感が足りなかった。昨日は第3クォーターにうちがどーんといって勝ちましたが、今日は逆になりましたね。あの場面で10点先に入れたもん勝ちということです。

(前半はゾーンが効いたのでは)うまくいきました。でもディフェンスリバウンドが取れなった。あれを取ってブレイクにつながれば、バスケットはリズムですから5分で10点、15点入れる事が出来る。

慶應に勝てたので早稲田にも、と思ったのですがあの3分、そこに尽きますね。勝ちでも負けでもあの場面をどう乗り切るかでした。

(1年生も臆さずプレーしていた)いいガード・フォワードが入ったし、新人戦がまた楽しみです。北陸からきた＃20立花大介・＃21寺嶋徹

大きな声、身振りでチームを鼓舞した

スタッフ陣の選手の体への気遣いも特筆もの

はえらいうまいね。立花はガードとしては1年生だしまだ慣れないところがあるけれど、練習を重ねれば合ってくるでしょう。寺嶋はあの身長(182cm)なのにポジションを取るのがうまいからリバウンドが取れる。伊達に経験していないですね。僕から見てもうまいですよ。格が違います。これからチームを背負っていく存在になりますね。

これからさらに強くなって､今度は8つ(ベスト8)を狙いたいですね｡」

観て損なし！③後編～受け継がれるもの・国士舘大

　「去年から成長してるって実感しているんですよ」と＃4山口憲昭キャプテン(写真上)は笑みをこぼした。

　総勢70人、中でも下級生中心のエントリーメンバーを引っ張る存在感がある。だが本人曰く、「僕というより4年生が皆しっかりしているので、自分はどうこうとかは言っていません。実はバスケット人生で初キャプテンなんですよ。だから不安もあったのですが、みんながカバーしてくれて今のチームができました」。

　試合前の国士舘大のメンバーは、とてもいい顔をしていた。これから始まる試合が楽しみでしょうがないといった感じだった。
「昨日で自信がついたこともありますね。ほとんどのメンバーは高校でも上のレベルでやっていたというわけではないし、3部ということで気持の面で1部の慶應、早稲田とは違うところがある。でもそれを克服するために、大会前に1部のチームと練習試合をいっぱいやってもらったんですよ。その経験をこの早稲田戦、昨日の慶應戦で出せたと思います。」

　前半は2点ビハインドと慶應戦をなぞるような展開。だが、後半立ち上がりにチャージを受けた。

「3Qは出だしで突き放そうとしていたんです。でもきっちり守られて焦ってしまいました。出鼻をくじかれて気持ちも落ちてしまって。それを立て直す力はなかったです。後半リズムを1回も取れなかったところに僕らの弱い部分が出ていました。でもそこを改善すれば、上と対等にやれるんだなって思いました。」

　チャレンジは最後の1秒まで続いた。残り1分をきっての早稲田のフリースロー時、レーンに並ぶ＃21寺嶋は言った。「まだだよ、まだいけるよ」。応援も続いた。
「雰囲気も良かったし練習も1番やってきました。皆でウエイトとか自主練も含めて。足りないところを積み上げて、いいチームになってきました」。
　
　また、こうも言う。「今までやってきたことが、向こうと僕らは違うんですよね。フットワークにしても僕らは1からやらないといけない。そういう基本を土台から積み上げて戦えるようになるんです。去年から成長してるって実感しているんですよ。教えたり練習したりしたらまだうまくなるなって思う選手もたくさんいるし、先が楽しみです。」

　自身は名門・福岡大大濠高出身。だがおごったり手を抜いたりしない。それはきっと、彼が常に“僕ら”を主語にして考えているからだろう。
「僕らはあと半年しかバスケット人生が残っていませんが、その間でどうにか下級生に気持ちの面を引き継いでいきたいです。それ以外の時には遊んだっていいけれど、やる時はしっかりバスケットに集中して、学生だから学校にもちゃんと行って、とメリハリをつけてやるのがいいですよね」
　その真面目さも憎めないキャプテンと彼を支える4年生から､今後チームを担う下級生へ､国士館魂が受け継がれる｡

順天堂大＃4石垣

＜第54回関東大学バスケットボール選手権大会＞
5月26日(木）会場：代々木第2体育館

TEAM						TEAM
	56	22	1st	26	90
順天堂大		14	2nd	14		日本大
		12	3rd	27
		8	4th	23

スターティングメンバー
順天堂大：＃4石垣、＃6柳沢、＃13長嶺、＃14加藤、＃19北村
日本大：＃4秋元、＃5太田、＃6八井、＃9呉屋、＃10菊地

観て損なし！④～思いきり良く！順天堂大

　順天堂大が立ち上がりから仕掛けた。バックコートから当たり、インサイドにボールが入ればトラップ。ターンオーバーからあっという間に速攻に持ち込み、開始わずか1分7秒で206cmの日大＃5太田をベンチへ追いやった。

「例年通り小さいチームなので、前半のようにディフェンスプレッシャーから速い展開に持ち込むというのがどんなチームに対しても持っているコンセプトです。
中でも日大は＃5太田選手が大きく1対1をやられるときついので、ゾーンで守って、リバウンドからブレイクへ転じるというスタイルでスタートしました。ディフェンスが最初効いていたのは確かです｣(順天堂大・中村剛コーチ､以下同)｡

　その言葉通り、前半は36-40で折り返す。しかし、「1番ネックだったのは3Qのはじめです」。

「選手にしてみたらやれるんじゃないかと自信のある状態で、ベンチも私もそうでした。いいディフェンスだったと思います。でもブザービーターでリバウンドを取られるという場面があって、糸が切れました。あ

の前と後では明らかに違いましたね。ディフェンスが消極的になって3分間ノーゴール、その間に相手に加点された。あそこが敗因です。あの時点ではまだ戦える状況だったのでディフェンスをマンツーマンのオールコートプレスにしましたが、つながるものの後手に回ったので得点が伸びず、守ってもしんどい状態になってしまいました。
気が抜けたんでしょうね。最後まで追い掛ける気持ちを持ち続けられなかったのが、点差が広がっていく部分で出ていました」。後半は20-50と30点差がついた。

　だが、春の時点でここまでできたことで見えてくるものもあった。
「今年は君塚(大輔・昨年の＃4)のような1om1のオフェンス能力に長けた選手がいないので、去年以上にチームオフェンス・チームディフェンスをしないと勝てない！と春(シーズンイン)から言い続けてきました。そういう意味で、日大という大きなチームに対して負けはしたけれどこういう展開が出来たことで、これから可能性出てくるのではないでしょうか。

＃6柳沢

＃19北村

ディフェンスの対応能力がだんだんついてきていて、大きい相手でも物怖じせずできるようになったのは個人のスキルが上がったということでしょう。後は得点ですね」

　順天堂大のオフェンスと言えば、外のシュートを次々と決めてみせることができるのが最大の特長だ。
「確かに周りから“シューター軍団”と言われて(笑)、3ポイントは攻撃の幅が広げますが、アウトナンバーで2ポイントも確実に取るのがセットの中でも課題です。特に打つシュチュエーション、セレクションをしっかりする。打つだけではなく、打てる状況を作るのがチームとしての課題です」。

　また、この試合では思いきりの良いカットインも多く見られた。
「スペースの取り方は良くなってきていますね。理解できてきています。でもずっと一定なんですね。ドリブルだったらドリブルだけ、パスだったらパスだけ。コントラストをつけられるようになりたいですね」。

　一方、先に名前の出た君塚卒業後のインサイドはどうか。
「経験のなかった選手ばかりですが、＃6柳沢はこの大会を通じて大きく成長しましたし活躍してくれました。リーグ戦までにしっかり1つずつ1つずつ解決できれば戦えます。あと、出番は少なかったのですが＃9宮岡の技術的なレベルアップも期待しています。柳沢1枚では勝負できませんからね。今回は元の主力でもある＃5加藤と＃7高田の怪我があったのですが、他の若い選手を使う機会が出来ました。新チームの開拓という良さがありましたね」

　若い選手と言えば、今年も“順天らしい”アグレッシブなルーキーが入った。
「＃19北村(欣也、洛南)は後半出ずっぱりでその分疲れてしまってミスが出ましたが、チーム戦術に対する理解がはやくスタートに起用しました。2番として十分できる主力メンバーですね。それから今日は出番が少なかったのですが、＃20綿貫(史宏、八千代)は3ポイントなどシュート力が高いし、あの身長(184cm)ですからリバウンド力もすごくあります」

　と、ここまでチームのことを把握している中村コーチ自身は、なんとまだ20代だという。情熱と、年齢に似合わぬ落ち着きがにじみ出る。

「監督がチャンスをくれたことに感謝しています。光栄ですね。いい経験になっています。1・2部でも先輩コーチばかりですが、その分思い切りの良さや、良い点を学んだり等自分もこれから発見していきたいと思っています。ただ、いつでも選手に対してはいつも一生懸命でいたいですね。それはコーチを続ける以上大切なことだと思いますし、そういう心を決して忘れないでやりたいです」

　順天堂大は異色のチームだが、ヒールではない。むしろその思いきりの良さがすがすがしくも感じられるのは、きっとこの中村コーチが日々向き合っているからだろう。