<第54回関東大学バスケットボール選手権大会>

第54回関東大学バスケットボール選手権大会(通称トーナメント)は27日に準々決勝、28・29日に準決勝、3位決定戦、決勝を代々木第2体育館で行った(ボックス・レポート→関東学連公式サイト)。
優勝-4位のチームを紹介する。

優勝 法政大(25年ぶり5回目)
準優勝 日本大
3位 東海大
4位 専修大
最優秀選手賞(写真)
敢闘賞
優秀選手賞(写真)
 
 
 
 
得点王
3ポイント王
 
リバウンド王
アシスト王
山田 謙治(法政大学#4)
菊地 祥平(日本大学#10)
小川 伸也(法政大学#5)
町田 洋介(法政大学#7)
呉屋 貴教(日本大学#9)
石崎 巧(東海大学#6)
大宮 宏正(専修大学#6)
菊地 祥平(日本大学#10) 96得点
高崎 陽平(法政大学#16) 13本
菊地 祥平(日本大学#10) 13本
大宮 宏正(専修大学#6) 58本  18-40 (OR-DR)
小川 伸也(法政大学#5) 22本

優勝:法政大
<準々決勝>
TEAM
 



 
TEAM
 
72
18
1st
24
84
 
早稲田大
20
2nd
25
法政大
 
12
3rd
19
 
22
4th
16

<準決勝>
TEAM
 



 
TEAM
 
58
13
1st
20
70
 
専修大
14
2nd
18
法政大
 
12
3rd
9
 
19
4th
23

<決勝>
TEAM
 



 
TEAM
 
73
13
1st
19
80
 
日本大
17
2nd
19
法政大
 
25
3rd
19
 
18
4th
23

大事なところでは必ず決めた
頼もしい#4山田

選手紹介前の円陣
  優勝が決まった直後、佐藤崇行コーチは「振り返ってみると結構あっけなく勝てた気がして、もちろん満足感はあるが嬉しいというより勝ってしまって良かったのかな?という戸惑いの気持ち」と語った。スタッフを含めたチームワークで様々な状況を乗り越えていった。(5
月29日インタビュー)

ちょっとしたことがかみあっていって大きな力に
 「バスケット的にはまだ大まかで、基本的なことをきちんとやったくらいです。ただそのちょっとしたことが大きくなるんですよね。ディフェンスのローテーションのタイミングなどにしても」

  昨年、とくにリーグでは逆にその小さな差が大きくなることで持っている力を出し切れないこともあった。 
「2年間見てきているのでこっちの思うようにパスが回ったりディフェンスができるようになってきました。こっちが詰まるとそれに対応させていって、本当はそれだけでは勝てないはずなのですがこちらの想定が大きく外れる事が起こらないまま勝ってしまったという感じです」

 と言っても、もちろん大会前は「5連勝前提という話をしていました」。
その結果の、「相手がどこかわからないけれど何をされても対処できる。すごく困った事態、何かやらなきゃってことなく終わり、お互い計算ミスはなかった」という優勝なのだ。
「ちょっとしたことが大きな差になるのがチームというもの。こちらが2点取るがそれが逆にミスから相手のチャンスになるかバスケットこういうことが多いのでそこを強調していました」

  しかしそのタイミングやスペースの取り方はすぐにできるものではない。
「最上級生になってそれがわかってきました。もちろん去年から頭ではわかっていたのですが、言うのと伝えてコート
でやらせるのとは違います。今、NBAやNCAAの色々な情報が入ってくるけれど、簡単にはできないですよね」

  それを実現したのは“コミュニケーション”だ。
「最後はコートで選手がきちっとできるようにするのがコーチの仕事です。バスケットは特に教えること、考え方を教えることが必要です。選手のクリエイティブな部分に任せるところは任せ、彼らがバスケットのことを集中して考えているのでそれを尊重しながら、こっちはいい味付けをする。だからベースとなる練習メニューはすごく大事ですね。繰り返しとスポット練習を通して選手は考える事が出来る。そうなるように作っています。ポイントが薄れている時は指摘したりして。彼らは今までも厳しいところでやってきてプライドも持っているし、そこは1番問題ないです」

 それでも決勝は接戦になったが、法政大にはエースに対する信頼があった。
「最後山田で振り切りましたね。たいしたもんです。自分のやり場所を知っている。4年生がうまくまとまってミーティングもしているし、風通しよくやれたと思います」

  互いの力を信じ合い、引き出しあっての1冠。
「まだやることはあります。シーズンを通したチーム作りの途中なので、それはそれでやっていきます。強さの具体的な内容は簡単ではないので」
 さらに前進を続ける王者に待ったをかけるチームは現れるか。

#7町田がプレーの幅を広げたのが大きかった

#6亀井はプレータイムこそ多くないが、
ベンチでも常に笑顔でチームを支えていた


スタンドを飛び出し
#17高久に走り寄る末廣

強心臓ぶりを見せた
ルーキー#22佐々木

#16高崎は持ち味を
最大限に発揮した

#5小川は緩急どちらも
OKのゲームメイク

準優勝:日本大
<準々決勝>
TEAM
 



 
TEAM
 
65
11
1st
14
88
 
青学大
14
2nd
27
日本大
 
21
3rd
28
 
19
4th
19

<準決勝>
TEAM
 



 
TEAM
 
68
18
1st
18
71
 
東海大
15
2nd
10
日本大
 
16
3rd
22
 
19
4th
21

<決勝>
TEAM
 



 
TEAM
 
73
13
1st
19
80
 
日本大
17
2nd
19
法政大
 
25
3rd
19
 
18
4th
23

成長著しい#5太田
 青学大、東海大と前評判の高いチームを連破した。最高の状態で決勝を迎える川島淳一監督、キーマン#9呉屋選手に聞いた。(5月28日インタビュー)

史上最悪、でも優勝が狙えるチーム

 まず、川島HCに終わったばかりの準決勝・東海戦について振り返ってもらった。
「昨日(青学戦)良くて今日。お互いに決勝に行きたい気持ちが強く、案の定接戦になりましたね。
ディフェンスはインサイドで少しやられましたが、外の3ポイントシュートは打たれなかった。ディフェンスの頑張りが見られましたね。
ただオフェンスは“俺が、俺が”が始まって3人だけになってしまいましたけどね。もちろん脅威でしょうが、強い相手だとそれだけでは勝てません。#7藤原とかがからんでくればうちの形で
#9呉屋、#10菊地の脅威のウイングコンビ
すよね。藤原に関しては最初は消極的だったけれど、周りが我慢強くパスして使ってくれたのが良かったね」

 京王杯などの交流戦では、#5太田がA代表合宿で、#9呉屋が負傷であまり出られず、結果も良くなかった。しかし、今大会は先に名前の出た藤原に加え、#6八井・#11小野寺がそれぞれのプレータイムできっちり仕事を果たした。
「大会前は史上最悪のチームでした。3人(呉屋、菊地、太田)だけで攻めて他は何もやらない、これでは負けるよと選手達にも言っていました。1・2回戦はディフェンスも良くなかったですが、ちょっとした工夫をしたらオフェンスで皆でや

強気かつ冷静なゲーム
メイクが魅力の#6八井


#7藤原は要所で
3ポイントシュートを沈めた
れるようになったし、それで勝ってお互いを信じ出しましたね」

大会を通じても成長している。
「ガードが落ち着いてきましたね。それから2番(SGポジション)もしっかりした蒲谷(正之・05年卒)みたいなイメ ージになってきたら相手はこわいはず。こちらも信じてパスが出せるようになれば…そうさせないといけない。あと張(弸・2年)などベンチの選手も能力は高いので、彼らが良くなっていけば(上を)狙えるチーム構成が整います」

  では、翌日の決勝戦はどうだろうか。
「明日は五分五分ですね。どちらの方が本当に勝ちたいか。うちは“史上最悪”って言われたのがかえって意地になっていると思いますよ」
 このように、川島HCが強調した“気持ち”を、#9呉屋も東海戦(準決勝)の勝因にあげた。「気持ちで負けなかったこと、皆が集中できていたことが良かったですね」。
 特に呉屋と#10菊地のひるむことを知らないプレーは各チーム手を焼いている。
「でも今日は(東海大#6)石崎につかれてパスがもらえず、ちょっとイライラしてしまってシュートも入らなかったです。だからその分ディフェンスで抑えよう、ルーズボールを頑張ってというのを心掛けました」
 “史上最悪”と言われたチームの見違えるような快進撃には、立役者の呉屋自身も「どうして変われたのか?それはこっちが教えてほしいくらい(笑)」と戸惑いものぞかせるが、2つの伏線がちゃんとあった。
「“最悪”って言われた次の日にOBの方々が練習に来てくれて、ゲームをやったんです。そうしたらそのあと岡村憲司さん(95年卒)に“頑張れば優勝できるチーム”と言って頂いて、自信になりました」
 1つは外から。そしてもう1つは自分達がもう1度まとまろうとしたことだった。
「ある時はかみ合わなくて落ちましたが、そこで4年生を中心に粘ろう、前向きに頑張ろう!となったのが今日につながりました」

決勝では1Qに#10菊地が負傷交代に

  川島監督によると、春先に1ヶ月ほどの長期合宿を組むという。「そこで4年生は自覚が出ますね」。迎えた決勝では1歩及ばなかったが、中外ともまさに互角の戦いだった。4年生のリーダーシップのもと、“優勝が狙える”力を目に見える形で示した。

3位:東海大
<準々決勝>
TEAM
 



 
TEAM
 
54
12
1st
19
69
 
筑波大
4
2nd
15
東海大
 
17
3rd
17
 
21
4th
18

<準決勝>
TEAM
 



 
TEAM
 
68
18
1st
18
71
 
東海大
15
2nd
10
日本大
 
16
3rd
22
 
19
4th
21

<3位決定戦>
TEAM
 



 
TEAM
 
62
7
1st
19
73
 
専修大
10
2nd
14
東海大
 
29
3rd
19
 
16
4th
21

#4西堂は1on1に磨きが
かかり、ディフェンス・声でも
チームを引っ張る大黒柱に

劣勢でも粘れる力がついてきた

初の3位入賞に、盾をさわるメンバー
忍耐強く成長、自分達で立て直せるように
  昨年度は、良いものを持ちながら終盤に競ると力尽きるという印象があった。だが、今年はそれがだいぶ薄れた。陸川章HCは言う。
「我慢強く、忍耐強くなってきました。バスケットというのはリズムの取り合いです。うちのリズムがいい時は何も問題ない。それが相手にいった時、今年はズルズルとならなくなった。皆で修正しよう!というのが出ていて、その辺りの力がついてきましたね」

 厳しい組み合わせのブロックに入ったことも、
「いい練習できるぞ!という感じです。強いところが相手で嬉しいし楽しいですね。1試合1試合1試合、みんな集中してやっています」
 と前向きにとらえる。
 6回戦の拓殖大との接戦を制しても気を緩めることなく、準々決勝の筑波戦では
「今日のテーマは“強気”でした。拓殖大とやった時、逃げのプレーが見られたので、オフェンスではリングに向かうことを心掛けました。そこでミスをしても、ディフェンスもアグレッシブに当たれたので失点が少ないでしょう」
 と大会中にも成長している。

譲次が一生懸命頑張っているから私達も頑張る
 主力の3年生センター・竹内譲次が、日本代表の東アジア予選(中
国、5/26〜30)メンバーに選出され出場できなかったが、そのハンデを忘れさせるくらいのプレーをコートに立った選手それぞれが見せた。
「大会前、譲次と、李相佰杯の合宿中は#6石崎(巧・3年・PG)もいない状況で、サラダリーグ・練習試合をたくさんできたのでゲーム慣れしました。その中で色々なメンバーが試合に出られるようになりました。1人1人が自覚を持てたのが逆に良かったところですね。譲次だって離れていても一生懸命頑張っているのはわかっています。だから私達も彼がいなくても頑張る!となりました」

  このポジティブさが、チームの印象が変わったように感じさせるのだろう。
「成長しましたね。話し合ったり、工夫をしたりディフェンスで集中したりして、自分達で立て直せるようになりました」

#8井上には竹内譲次とは
また違った存在感がある

日大#10菊地と打ち合いを
演じた#7内海
 とコートの選手達の頼もしさに目を細める。
「でも、これからです。ベスト4に入るにはまた強い相手と戦うので、忍耐力が必要ですね。
この大会は挑戦者だし、先のことより今!そんな話を、チームにも言っています」(5/27インタビュー)

 このインタビューの後、準決勝で日大に惜敗する。
「(日大#9)呉屋君にマッチアップするのは#6石崎しかいないと思いました。(日大#10)菊地くんは、#4西堂が拓殖大戦で加々美(裕也・#6)君に対していいディフェンスをしていましたがファールの事が心配だったので、#9池田をつけました。
クロスゲームになって、フリースロー1本、イージーシュートの大切さをつくづく思いました。終盤もう少しショウアップすれば良かったですが、できなかったのは僕のミスです」(陸川HC)

 だが、最終日はしっかり勝って東海大最高成績の3位入賞を果たす。
「試合前、“今まで何をやってきた?”と言ったら、#7池田が“思い出したくない”って(笑)。それだけのことをやってきました。大会中は#4西堂が体を張ってリバウンドを取るなどディフェンスをまとめ、オフェンスでは#6石崎が中心となって頑張ってくれましたね。優勝できなかったのは残念ですが、いい経験になったと思います。課題も見えたし、夏にじっくり作ります」 (5/29インタビュー)
ルーキーの中でベンチ入りしたのはこの#20西村と#22中濱の2人。
陸川HCは、1年生のことを尋ねると「まだ時間がかかるかなとい う感じですね」と言いつつも、顔には父親のような満面の笑み。
「今日(筑波戦)のエントリーは2人でしたが、他にも楽しみな選手がいっぱいいます。慌てず、焦らず(笑)。
新人戦はかなりいいゲームが期待できますよ!」


日大に敗れた瞬間、天を仰いだ
石崎の表情は微かな笑みだった

1人1人が責任を持って守るということをやってきました
  東海大は、この選手なしには語れない。3年生ながら陸川HCに“オフェンスのリーダー”と信頼されている#6石崎巧に話を聞いた。(5/27インタビュー)

 まず、追い上げを振り切った拓大戦。
「うちのインサイドが向こうのフォワードにつかないといけなかった分、ああいう結果になりました。でもそれでも、春から、チームでヘルプしてごまかすのではなくまず1人1人が責任を持って守るということをやってきていて、それをやれました。点は多少取られましたが、今までよりレベルの高いディフェンスができるようになったし、総合的に得点が取れて勝てました」

 その内容を踏まえてか、筑波戦では40分を通して相手の良さを消すディフェンスを展開した。
「インサイドが今日はこっちが有利だったのでミスマッチをついていって、前半で思った通りの展開に持っていけたので後は楽にやれました」

 そのポイントに挙げられたインサイドだが、先にも書いた竹内譲次の欠場はチームメイトにとってはどうだったのだろうか。
「その分を全員でカバーしていこう、と。西堂さんや井上だけに任せるのでなく、みんなでインサイドの弱い部分を埋めようと努力しました。それは結果として、つながっています。」

 相手にリズムがいっている時にも耐えられるようになったのも、この“変化”とつながっている。
「1on1のディフェンスをしっかりしてきました。流れに影響する中途半端なディフェンスをなくして、個人個人で流れを断ち切れるように。後、得点の部分では自分がどれだけ点を取れるか意識しています。何かしてきっかけを作って、得点に結びつけるのがうまくいっています。」

 さて、1番最初に、彼は“ごまかす”という言葉を使った。“中途半端”とも。それは、こ
れまでを否定しているのではなく、現状に満足せず、さらに上を目指すからこその表現なのだ。

  この春、きっかけがあったという。
「スプリングキャンプで、先輩ガードの方達はやっぱり1on1がしっかりできているからこそチームをコントロールできる、勝ちにつながっていると感じました」。
 ということは、チームの機運ではなく、彼の提案が始まりになっていたのか。
「…まぁ、そう、ですね(笑)。 吸収した良いことはチームの皆に伝えようと思ったんです。」それに対して快く受け入れ

残り12秒、日大#9呉屋からボールを奪うが、
日大#4秋元にファールで止められる
るのが東海大の成長につながっている。「上も文句言わずやってくれて、本当に助かりますね。」 と笑顔を見せた。

  次の準決勝に勝つと、東海大としては初の決勝となる。
「チームとしての力、自分達が持っているものは、今はここに残っているチームの中であまり強いっていう状況ではないけれど、その中でも自分達の勝てる部分を見つけて強調していければと思います。それで弱い部分をカバーしていくことが出来れば今日(筑波戦)みたいな展開に出来るし、結果もついてくると思います。」

  この翌日、優勝の1歩手前で日大に惜敗する。終了のブザーの瞬間、石崎は苦笑いか満足か、色々な意味ととれる笑みを浮かべた。
彼の、彼らの道は続く。

4位:専修大
<準々決勝>
TEAM
 



 
TEAM
 
47
7
1st
16
71
 
明治大
14
2nd
18
専修大
 
13
3rd
19
 
13
4th
18

<準決勝>
TEAM
 



 
TEAM
 
58
13
1st
20
70
 
専修大
14
2nd
18
法政大
 
12
3rd
9
 
19
4th
23

<3位決定戦>
TEAM
 



 
TEAM
 
62
7
1st
19
73
 
専修大
10
2nd
14
東海大
 
29
3rd
19
 
16
4th
21

中外で貴重な働きをした
#5伊藤
法政戦は彼のファール
トラブルが響いた

ハーフタイムに言葉を交わす#4小淵と
#5伊藤。各試合でこういった場面が見られた
 「誰でも運べて、シュート率良くというチーム作りは一貫してやっています」と専修大の中原雄HC。昨年主力を務めた選手が多く卒業し、「経験不足のチーム」という今年のチームは、ふさわしい形を模索しているところだ。(5月28日インタビュー)

時間はかかっても、自分達で考えられる選手になってほしい
 まず、「生粋のインサイドはいないので、誰もがポストアップを意識する中でバックアップ含め、明日・リーグに向けてどうするか手探りですね。色んなプレーをさせている中で、インサイドのうまいプレイヤーが今、何人かというところです。
#14横村にしても#16浅野にしても、高校の時はインサイドをやって
きているのでオフェンスはどうにかなるんです。ディフェンスがポイントですね。ウイングにもつかないといけないので頭を使うんですよ。#5伊藤とかはまれなので、4年のフォワードも含めて試合を通して経験し、練習でもガード・フォワードと1on1をやらせていきたいです」

 アウトサイドの方は、スタートを務めていた喜多川が初戦となる5回戦・国際武道大戦で負傷も、そのアクシデントを4年生が埋めた。
「#7阿部は、なかなか出番がなかったけれど3年間我慢して、何をすべきか考えながら一生懸命やってきました。#8浪上も状況によっては使っていきます。 ここに来た事がない4年生は後から出る人の気持ちが分かるんですよね。今出られない下級生もその姿から感じとってくれると嬉しいです」
 しかし準決勝の法政戦ではチームでカバーし切れなかった。
「今日1番足りなかった部分は精神的な強さ。法政みたいな経験のあるチームだとあかららさまに出る。ハーフタイムに“負けていいの?”と言ったら“NO”と答えるので“じゃやれ”と。対して法政は去年と同じメンバーで、特にガード2人は1年からずっと出ている。やっぱりガードですよね。ファールをもらう技術や点を取る力もないとこういう競った中で勝てない。うちも我慢して話しながら考えさせ、教えていきます。経験を5人のうち3人は持っていても、後の2人とベンチにはまだまだなく、これから積んでいかないといけない」
 だが、経験については「心配していない」という。
「ここで終わりじゃないし、やっていけばいいんです。ただ悪い状況で使うのは好きではないので、練習でいい時に使ったりと気を使っています」

  むしろ「試合の経験はつくけれど、気持ちはそうじゃない」と言う。「負けても得るものあるけれど、気持ちが入っていないと」。そのためには常に「考える」ことが必要だ。

「オフェンスについてはほとんど言わないですね。クリエイティブにやらせたいので。シンプルに、もっている力が活きることだけ言います。1つミスしようが僕の顔色は伺わなくていい。次にどうしたらいいかというのを自分で考えられるようになってほしい。そうじゃないと上に行ってもやっていけないから。ただ、さっきも言ったように悪い状況では使いません。だから交代はありえる。そして何も言わずにまた“行け!”って言うんです。その時にベンチで考えていたやつは準備ができているんです」

 このようにまさに発展途上の中で、ベスト4に残ったことは「今後の自信につながる」と言う。「何もなくて負けるのが1番良くない。関東で4つに常に入っている状況なら、負けても勝っても見えてくる部分があります。どうしてプレータイムがもらえないのか?などベンチでも見えてくるはず。ただ、優勝は甘くない」

 明日の東海戦は、さらなる経験を積む上でも、大会をしめくくる意味でも大事な試合になる。
「さっきこの大会で負けグセつけるのやめよう、と言いました。悲観的になることはない、ただ明日切り替えないと。相手も同じ条件ですからね。自分達がやってきたことがどれだけでるか、今日1番足りなかった部分をどれだけ修復できるか、1番やらないといけないことをどれだけ明日できるか。同じことをやっているようではこのチームはつらい。1からではなく0から。1人変わればチームはかなり変わるんです」
 根気強く成長を待ちたい。

#6大宮を生かしきれず

精一杯プレーした#16浅野

#23飯田がインサイドに名乗り

チャンスをつかんだ#7阿部

<取材・文 北村美夏>

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