<第80回男子関東大学リーグ>
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“気持ち”次第で2連覇も見える春の覇者
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<戦力分析> ロスターはこちら |
3・4年生に経験も兼ね備えた実力者が集まる。パワフルな長澤が中を固め、ここ1番のリバウンドが強い波多野、日本代表にも選ばれた大宮がフォワードとなる贅沢な布陣。外にはいずれもシュート力・ディフェンス力のある中川和・小淵がおり、穴がない。また、ベンチには文字通りのオールラウンダー、197cmの伊藤が控え、他にも190cm台が井上・五十嵐と揃う。ガード陣ではシューターとして成長している4年生の末松(下写真左)や、小野・松本がおり、怪我の中川直もリーグ戦に間に合った。1年生では揃ってU-20代表に選ばれた浅野・田中にも経験を積んで欲しい。
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<HEAD COACH PHILOSOPHY> |
『シンプルに“勝て”』中原雄監督
リーグ開幕2日前。“バスケットを盛り上げたい、そのためには代表を応援しなくては”とU-18との練習試合を受け入れたが、あまり思うような試合は展開できなかった。 大きな声と、シンプルでわかりやすい言葉で専修大の個性溢れる選手達をまとめる中原監督は、試合後に長いミーティングを行った。 「今日はいいクスリになったでしょう。夏の練習の後でしんどいのはわかっている。でも気持ちが入っていればきちんと勝てるはずなんです。試合が終わった後に、あんなに長く話をすることはほとんどないですね。でも今日はしなければならなかった。気持ちがなければ結果はついてこないし、悪い時持ちこたえられない。“去年、楽にリーグで優勝できたか?”と言ってきたのに、スタートの5人、6・7人目くらいまでしか危機感を持ってやれませんでしたね。最近のスクリメージで、Aチームが控えチームに勝てない事が多かったので、控えチームで出ていた子は満足してしまったんでしょう。でもいざ5人のうち1人でも気持ちにスキや油断があったら勝てないんです。」 ゲームに出ていない子こそ見てほしい 「と言っても、今年は佐々木以下4年生がしっかりやろうという意識を持っているので、それを信じています。 2〜4年生は、自分が言っていることを少しずつわかってきてくれている。思い切り、楽しめ!と。でも“楽しむ”のは4年生がやっとわかってきたかな?というくらいですけどね。1年生はまだちょっと“お客さん意識”があるので、専修大の一員っていう誇りを持ってほしいですね。 一番見てほしい子はゲームに出ていない子達です。どれだけ死に物狂いでやっているか。いつも“練習で100出せないならやめれ”って言っています。100でやらないと、110、120となっていかないから。そうすると大体目の色変えてやりますよね。能力が低くても、なかなか出られなくても、やっている子はいる。うちの強さはそこなんです。スタートの相手をしているわけだから、その子たちが頑張れば競争が激しくなるし、頑張って近くまで上がってきた子には、何とかその頑張りを出す場を与えてあげたいなと思いますね。 それ以外はバスケットのことではそんなにわーわー言いません。型にはめるのは好きではないからです。バスケットは日々進化しているから、同じ発想ではダメだと思う。だからシンプルに“勝て”とだけ言って、管理はしません。でもコントロールはします。ただ、遅刻とか社会に出た時通用しないことはやるな、バスケットだけではだめだよとは言います。社会のルールをきちんと守れるなら、人間的な個性は生かしてあげたいと思っているからです。」 やることをやったから勝てる 「プレーでは、 うちの基本は“インサイドバスケット”です。と言っても、190cm台の選手はいても2mの選手はなかなかいない。だから、“インサイド”と言ってもポストに張り付かせてというのではなく、ゴールに一番近いところを基点に攻めるということです。ガードでもミスマッチならポストアップさせて攻めさせる。うちの選手はウエイトをしっかりやっていますから出来るんです。うちには“C”はいない。“G”と“F”で構成されているという考え方ですね。もちろん、長澤のようにパワーが持ち味の子はそれが生きるようにやらせますけどね。 リーグではもう先のことは考えません。まずその週、そして次の練習、と勢いをつなげていけるかどうか。そして練習でやったことをコートで出せるかどうかです。周りには“勝って当たり前”とか言われますけど、メンバーが揃ってるから勝つんじゃない。やることをやったから勝てるんです。しかも、やるのは選手。自分=コーチがすべきことは、メリハリをつけて学生の集中力を続けさせることと、やりやすい環境を作り、わかりやすく説明することだけなんです。」 |
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<CAPTAIN'S EYE> |
『勝つんじゃなく勝ちきる』 佐々木優一選手(172cm63kg/G/静岡学園高出身) |
とです。ベンチからは、チームの状況・試合の流れ・1人1人のプレーなど、中では見えないこともしっかり見える。それを声に出して伝えていきたいですね。やっぱりチーム状態が悪くなった時にいかに立て直せるかで勝負は決まりますから。」 優勝の味を知っている強み 「リーグでは、1年生は何もかも初めてな分、どんどんチャレンジしてもらいたいですね。最初は練習でも気を使っているくらいでしたが、今は徐々に向かっていく子が出てきているから、どんどん増えて欲しい。挑戦して失敗しても、それをフォローできる先輩がいますからね。 |
2年生以上は、リーグ優勝を経験しています。特に3年生はメンタルが成長して、プレーも良くなってきていると思います。4年生は、10人いるんですが、なんだかんだと中心になってくる。今まで、それぞれいい個性を持ってやってきたことを出し切りたいでしね。目標は優勝です。それもただ勝つんじゃなく勝ちきりたい。そのために必要なのはセルフコントロールですね。レフェリーのコールだって、相手は審判じゃないのに、気にして崩れるのはダメチームのすること。それよりも自分達のプレーをすれば負けないはずなんです。相手や先を考えるより目の前の試合を全力でやろうと思っているから、いつどことやるとか頭に入れていないんですよ(笑)。 優勝に向けての有利な要素もありますよ。1つは春を取っていること。特に、3・4年生は一昨年のインカレ、去年のリーグ、そして今年のトーナメントと全てで優勝を経験しています。だから、“どうしたら優勝できるのか”を、それぞれが感じ取っていると思います。特に優勝の味を知っているのは大きいですよね。この経験は、自分達を信じて戦う上で大きな自信になると思いますよ。」 |
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<PICK UP!> |
『ディフェンスで流れを引き寄せたい』 伊藤孝志(3年) 197cmでインサイドもアウトサイドもできる。リーグ最強のシックスマンながら、能力を考えるともっと活躍しても良い選手だ。 |
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「ヘッドコーチからもう“スタートでは使わない”って言われています。でも試合に出られるならどっちでもいいかなって思うので気にしていません。ポジションは、特に決まっていないです。スタートの3〜5番(F〜C)の調子の悪い時とか、オフェンスにアクセントをつけたい時が出番ですね。アクセントというのは、プレスディフェンスで流れを引き寄せる。ディフェンスは得意です。リーグでは、大事な場面で相手のエースを止めて、流れを持ってこられるようなディフェンスをしたいですね。 」 と言っても話を聞いた開幕2日前の時点でも、 「まだ実感はあまりないんです。でも勢いはついて |
きていますよ。全部勝たないと意味がないので。リーグは1戦1戦が大事だから、盛りあげていきたいですね。あとは足をひっぱらないように(笑)。周りが見ていておもしろいようなバスケットをやっていきたいと思います。気楽にね(笑)」 |
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『インサイド修行中』 田中佑弥(1年) 「自分でいいんですか?」と本人は気付いていないのかもしれないが、1年生の中でもセンスが光るのがこの田中。“アップのパフォーマンスと中原HCが好きで”来た専修大でプレーの幅を広げ、アジアヤングメンに出場するU-20代表にも浅野崇史とともに選出された。 「でも最初は全然ダメでした。フォーメーションを覚え切れなかったりして、HCにもたくさん怒られています(笑)。最近は慣れてきたのかわからないんですけど、うまくなってきたんじゃないかなって思います。今、フォワードでもミスマッチを生かせるように、1年目はインサイドということでやっていますが、もとはインサイドではないので最初はセンタープレイが全然出来なかった。でもJ(波多野和也・4年のニックネーム)さんとかに教えてもらって出来るようになりました。最初はちょっと、Jさんには聞きづらかったんですけど(笑)、聞いたらホントに丁寧に教えてくれますよ。チーム全体でも、最初はやっぱりすごい人ばかりでなんとなくなじめなかったのですが、3ヶ月位してやっとなじみました。」 |
交代してもチーム力が落ちないように 「頑張りたいのはディフェンス。声もまだ小さいって言われてしまうので出していきたい。オフェンスは、どんどん向かっていけ!とだけ言われているので逃げないこと。それから、Jさんのバックアップということで、リバウンドを意識しています。リーグは長い上に、皆うちをつぶしにくる。そしたらJさんの疲れもたまってくると思うんです。それを少しでもフォローして、貢献できたらなって思います。Jさんと代わっても、チーム力が落ちないようにしたい。超える日?が来るのはまだまだ先です(笑)。 目標は全勝優勝です。それも全部圧勝で! 」 |
<取材日 2004年9月9日>
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<取材・文 北村美夏> |