<第80回男子関東大学リーグ

東海大学(2部A)
代表経験者多数、最後の敵は自身
創部 1960年
平均身長/体重 cm/kg
構成 4年11名、3年12名、2年14名、1年
12名
2004年度成績 関東トーナメント準優勝
関東大学新人戦ベスト32
2003年度成績 関東トーナメントベスト16
関東大学新人戦準優勝
関東大学リーグ2部優勝→入れ替え
戦の末2部残留
インカレ5位
オールジャパンベスト16
公式ページ http://www.tokai-seagulls.com/



<戦力分析> ロスターはこちら
 どのポジションも競争が激しい。アウトサイドは、U-24に選ばれたたった2人の2年生のうちの1人である石崎、リーダーシップを取れる入野稲葉、そしてシュート力のある内海。期待したいのは調子を上げてきている阿部池田も怪我から復帰した。インサイドは、吉留西堂の上級生の頑張りがカギ。A代表の竹内はゴール下に対する意識が高くなった。1on1が魅力の松山も新人戦で成長。井上は怪我が微妙だが、身体能力が高くシュートエリアが広い。1年生では、負けず嫌いでシュート力のある西垣、ディフェンス力のある小林、U-20代表
インサイド ★★★★☆
アウトサイド ★★★☆☆
サイズ ★★★★★
★★★★☆
意気込み ★★★★★
淵上に注目したい。

<HEAD COACH PHILOSOPHY>
『全力で戦う』 陸川章監督

9月8日、リーグの初週を無事連勝で終え、練習も活気があった。昨年は圧倒的な強さで2部を制しながら入れ替え戦で法政大に敗れ、涙をのんだ。1部昇格にかける思いは、間違いなく1番強い。

「1週目は、1戦目の入り方は集中していてとても良かったですね。でもそこで大きく勝った事で、2試合目は一生懸命だったけれどバラバラなバスケットになってしまった。その点については月曜日にミーティングをやって、どう戦うのかもう1度確認しました。相手に関係なく、全力でやろう、と。選手の口から自然にそう出ましたね。試合で100%出すには、練習で120%出さないといけない。
でも、“全力でやる”といってもただがむしゃらにやるのではなく、何をやるのかまでわかっていないといけない。自分の仕事はこれだ、と。全体では、ディフェンスは”PLAY HARD”と言っています。どこに追い込むとか、どちらは抜かせないとかチームのルールを頑張ってやる。逆にオフェンスは、”PLAY SMART”。今、ターンオーバーが多いので、それは課題ですね。自分もSMARTに指示を出さないと(笑)。その2つのメリハリをつけることが大事です
ね。」

これだけやった!と思える夏
「トーナメント(延長の末ベスト8に進めず)、新人戦(準優勝)の敗戦は…、甘くないという事が良くわかったし、自分が一番力不足だったということです。選手たちに“全力で”と言うからには、まず自分がやらないといけないですね。命をかけるくらいで。大会の後は、弱いところを強化というか、とことんというか、“これだけやってきたじゃないか”というくらいやってきました。ロサンゼルス合宿(8月末)から帰って来たときは疲労もピークにあり少し落ちましたけれど、これから上がっていくでしょう。
チーム事情は、各大会の代表に選ばれたり、怪我人がいたり、とありましたが、ネガティブにはとらえていません。それぞれの代表にいった選手は成長して帰ってきたし、怪我人は怪我をしていないところを鍛えられる上に今まで出られなかった子が出られる。竹内譲次(2年・203cm)は、特に気持ち・技術の面でA代表でもまれてきました。 今後更に誰も抑えられない選手になって欲しい。代表の予定が変わって、 ロサンゼルス合宿を一緒に乗り越えられたのは良かったですね。 それまでいなかったといっても、全日本でしっかりやってきているので十分。怪我人では、池田などやっと復帰した選手もいますが、同じポジションの選手がみんな虎視眈々とそのポジションを狙っていて、楽しみです。松山など新人戦で伸びた選手もいるので、それも楽しみです。その中でも、1年生の小林などディフェンスを頑張れる選手は、プレータイムを伸ばしていっていますね。」

集大成となる4年目

「4年生は試合に出る出ないに関わらず精神的なリーダーです。教えたり、渇をいれたり。自分が入ったときの1年生でもあるんです。這い上がってきた同志なんですよね。3年生は、上級生のリーダーシップを受け継ぐ準備の年。のびのびやって飛躍して欲しいです。今の2年生はチームの主力となっています。プレーではもっとメリハリをつけられるよう、それから、仲間のパワーを自分のパワーにする勉強をして欲しいですね。中でも、ガードの石崎は、コートリーダーになってもらわなくてはいけない。チームリーダーとは別に。もちろん大変なことですが、学年は関係ない。もっと考えていることを練習から出していけるといいですね。最近は少しずつ出せてきていますよ。1年生は元気の源。声とハッスルプレーを見ているよ!と言っています。
中でも2年生は、関東トーナメントに続き、新人戦でも悔しい思いをしている学年です。新人戦後は本当にがっくりきていました。1週間のオフの後、1人1人と個人面接をしました。すると、チームとして良かったこと、もっとこうすればよかったということ、自分自身の反省を聞くことができて、選手たちはわかっているな、と感じました。あれからみんな違います。負けは終わりではありませんが、でも繰り返してはいけないのです。」

3週目へ向け“戦う集団”へ

「リーグのヤマは3週目です。拓殖・明治・青学と続く中盤に山がくる。拓殖大はインカレ3位だし、青学大は春のトーナメントで準優勝。そこまでに、やらないといけないことをきっちりとやっておきたいですね。まず、相手に対してどうついてどう守るか。そして自分達の強いところで勝負出来るか。うちの強みはインサイドの大きさと、ディフェンスです。自分達はチャレンジャーです。ハングリーさを出して、“チーム”となってぶつかっていきたいです。
そのために、“戦う集団になれ”と言っています。チームの“和”を持って戦うといっても、仲良しではダメ。もちろん、こんなに人数がいれば合う人もいるだろうし、気の会わない人もいる。それは集団生活では普通のことです。“和”があるチームというのは、戦うとき仲間を見捨てないんです。
バスケットはたえず変わっていくものです。 だから理想も変わっていく。もちろん自分の理想には当てはめません、でも近づいているという不思議な感じです。今、練習もまとまってきています。”PLAY HARD””PLAY SMART”“PLAY TOGETHER”で、持っているプレーも気持ちも出し切りたいと思います。 」

<CAPTAIN'S EYE>

『口で言うよりやる』 入野貴幸選手(177cm70kg/PG/東海大三高出身)

 副キャプテンの稲葉とともに、東海大系列高出身。ポジションは同じ、誕生日も2日違いという2人だ。しかし、稲葉がプレーで語る“静”だとしたら、入野は積極的に声を出してメニューの先頭に立つ“動”のキャプテンである。

「チームの雰囲気はよくなってきましたね。練習で手を抜いている人はいません。出来ていない部分である、抜かせる方向やヘルプなどの“チームディフェンス”をどの試合でも出来るように、という雰囲気です。少しずつ機能し始めていますよ。合宿の成果が出始めたのかなと思います。あとは集中が切れる時間をなくさないといけないですね。1人でも切れてるなと気付いたら「集中!」って言い合ったりして、気を抜かないようにしないといけませんね。
やっぱりディフェンスは大事です。自分は得意ですよ!今、チームもディフェンスで流れを変えよう、ということが浸透してきました。相手に関係なく、いつも全員でやる。そして、全力でやる。そうじゃないと、大事なときに出せませんからね。
そうすれば、終盤まで浮き沈みなくいけると思うんです。波に揺れる船じゃなくて、潜水艦みたいに安定していって、最後にすいーっと上がればいいなって思います。」

“キャプテン”にはとらわれない
「下級生は、コートに入ったときにいい意味で“下級生”という雰囲気がないのがいいですよね。もちろん、まとめるのは大変ですよ(笑)。でも、まとめることに気をとられるとうまくいかないと思うので、逆に無理にまとめようとはしていません。キャプテンであっても、1人の選手として試合に出たいという気持ちも大切にしたい。そう考えると、自分は本当に出るかでないかのボーダーにいる選手だと思うから、全体ももちろんですがその場にかけてやってもいいかなと。気負いせず、手を抜かず、挑戦し続ければ自ずととまとまると思うので、その点はちょっと気楽です。
自分は今までのキャプテンと比べると、割とまぁいいじゃん、ってタイプなんですよ。練習ではもちろん集中して一生懸命やりますよ。その上で、オフはオフ、とメリハリをつける。うちのチームは縦も横も仲が良いのが特長で、普段はのほほんとしていますが、その雰囲気でも、きちんとやることはやる、となっていればいいんじゃないかな、と思います。自
分も口で“一生懸命”と言うだけじゃなくて、実際にやります。
キャプテンとしてのでき具合ですか?それは周りの人が評価することですけど…目標が達成できたときに、100点ってことになるんじゃないですかね。」

勝ってはじめて強い
「リーグでのライバルは…自分自身でしょう。リーグは長いから、中盤・終盤もモチベーションを維持し続ける必要がある。1部昇格を決めるまでいかに継続して出来るかですよね。うちは相手どうこうじゃないと思うんですよ。チームを見てみても、能力がある選手はたくさんいます。でも勝ってない。ということは強くないってことなんです。強いって言われているだけで、自分達は全然思っていません。優勝してはじめて強いとなる。今までは関係なく今年は今年と、勝ちをもぎ取る執念を持ってチャレンジしたいです。チームにいる全ての仲間、特に応援に回った人も含めてチーム一丸でやれれば、いいリーグになるんじゃないかなと思います。」

<PICK UP!>
『挑戦者として』 稲葉弘法(4年)

  春のトーナメントでは、口をめいいっぱいあけて叫んでいる姿が印象的だった稲葉。しかし、一度コートを出るととたんに声は小さくなる。だがそれでも、存在感は大きいままだった。
 
「東海大が色々注目されるのは、素直に嬉しいですよ。でも僕達はチャンピオンじゃない。トーナメントだってベスト8に入っていない。挑戦者なんです。みんなもそれは肝に銘じています。
今、その勝てなかった悔しさを返そう!という気持ちです。これがスタートだと思って、いい練習が出来てリーグに入れました。やっぱり1週目・2週目という出だしの入り方は大事ですね。そして、やらないといけないことをやれるか、しかも継続できるか。反省は必ず出てくるけれど、負けたときだけではなく、勝ったときにもおごらずに見つけるられるか。今チームのそれぞれがミーティングで色々いいことを言ってくれるので、全ては無理でも少しずついい方向に持って行きたいですね。
それから、皆が役割を理解してコートに立つ事も必要ですね。じぶんも何故今コートに出されているのかを考えて、チームのプラスになるような選手になりたい
です。シュートは結構得意なので、インサイドに相手が寄ったときに、ノーマークのシュートを確率良く決めたいですね。そのためには練習で試合を意識してやる。試合で出せることは練習したことだけだし、そのやってきたことを信じてコートに立ちたいですね。」

頑張る背中を見て欲しい
「2年生は見ていて本当に一生懸命に取り組んでいるなと思います。同じポジションの石崎は練習に最初に来て終わった後は最後までシューティングしている。そういう姿を見ると、刺激にもなるし、負けたくないとも思いますね。
自分にしても入野(貴幸・4年)にしても、小さいんですよ。だから1年生の時からずっと“声を出して盛り上げて引っ張っていかないとダメだ、出来ないとガードとして使えない”って嫌になるほど言われてきた。自分達はそれを認められてきたからここにいるわけだし、もう当たり前のようになっていますね。
それからディフェンスも。陸川さんに教わるようになって、ディフェンス第一のチームになりました。自分はあんまり得意ではないのですが、出来ないとコートに立てないのはわかっていたし、ディフェンスの重要さもわかりました。今度はそれを後輩に伝えていきたいですね。やっぱりガードっていうポジションは一番前でディフェンスするわけだから、頑張っている背中を見てもらって、流れを変えられればと思います。
自分達の代の新人戦では、自分がキャプテンで入野が副キャプテンでした。入野は素直に思っていることをぶつけられるやつです。今の自分は、言わないといけない事がわかっているからこそ、かげからサポートできる。下級生が多い
中でまとめたり、流れが悪い時に集めてリーダーシップを発揮したりとか。自分らしくやっていけたらなと思います。」

リーグ戦は負けられない
「リーグは星取りとか考えません。1戦1戦同じモチベーションで臨む。その週頑張って、リフレッシュ。そしてまた次の週頑張って…と積み重ねていきたい。長いリーグの中には、波はやっぱりあると思います。落ちている時に、どれだけチームが1つになれるか。今まで、悔しい経験をしてきたけれど、負けた後に気付くのでは遅い。もちろん気付くこと自体は大切ですよ。でもその前に気付いて準備しないと。
リーグ戦は負けられない試合なんです。1部にあがるために、夏につらい練習を乗り越えてきたし、陸川さんにもここまで本当にお世話になった。どんな状況でも、出た時は一生懸命役割を果たしたい。コートに立てない人もいるし、感謝の気持ちを忘れずに、皆で1部昇格を勝ち取りたいです。 」
<取材日 2004年9月8日>

<取材・文 北村美夏>