<WJBL2004-05>
WJBLは、9月24日に、2004−05シーズンの開幕戦を行った。先シーズン優勝のJOMOは、日本航空に苦杯。前回3位の富士通は日立HTに競り勝った。

写真:ハーフタイムでの1コマ(Tシャツのプレゼント)



<WJBL 第1節>
9月24日(金) 会場:代々木第2体育館


             
 
85
14
1st
27
72
 
日本航空
25
2nd
16
JOMO
25
3rd
11
21
4th
18

スターティングメンバー
JOMO:#1大神・#4立川・#8田中・#10矢野・#11川畑
日本航空:#6堀部・#7薮内夏(夏)・#10柳本・#11矢代・#13根岸

第1クォーター、ジャンプボールは日本航空ボールに。しかし、ゴール手前で#7薮内夏がキャッチをミスし、相手ボールになる。そのままJOMO#8田中にドライブインされ、バスケットカウントを決められる。しかし、そこから日本航空は速い攻撃で#7薮内夏・#11矢代が決め、4-3と逆転する。その後どちらも2点ずつ追加し6-5としたところで、JOMO#10矢野に続けて3ポイントシュートを打たれるがはずれ、#11矢代のミドルシュートで8-5とする。しかし、そこからJOMO#8田中・#1大神にドライブで切り込まれてファールがかさみ、開始から4分でチームファールが5個となる。残り5分10秒、#6堀部に代えて今年2年目の#25加藤を入れると、ミドルシュートを決め追い上げるも、JOMOのPG#1大神にドライブからのアシストを決められ、#11川畑のゴール下・#10矢野の3ポイントシュートと続けて得点され残り3分30秒タイムアウトをとる。しかし、その後もJOMO#8田中のドライブを止められず、点差はさらにひらく。そこで、日本航空はディフェンスをゾーンに変える。するとJOMOのオフェンスのリズムを崩すことに成功。しかし、オフェンスではもたつき、ターンオーバーが続いてなかなか得点につながらない。結局、14-27と13点リードされて、第1クォーターを終える。


第2クォーター、引き続きディフェンスにゾーンを使う。JOMOにオフェンスのリズムを作らせず、オフェンスリバウンドからの得点を続ける。さらに#10柳本の3ポイントシュートも決まり、残り6分50秒にはディフェンスリバウンドからの速攻を最後は#3薮内敏が決め、23-27まで追い上げたところで、JOMOにタイムアウトをとらせる。その後JOMOにディフェンスを厳しくされ、スティールからの速攻を許すが、#11矢代のミドルシュートで追う。残り4分をきって、再び#11矢代のゴール下のバックシュートがきまり、31-31と同点とする。すぐにJOMO#1大神に3ポイントシュートを決められるが、#3薮内敏がポストプレーからバスケットカウント決めて離されない。ここから点の取り合いとなるが、最後にJOMO#8田中にスティールからの速攻を決められ、39-43とJOMOに4点リードされて前半を終える。

第3クォーター、開始からJOMOに5点連取され離されかけるも、この日24得点と活躍の#11矢代が連続で得点しついていく。そして残り5分40秒、#3薮内敏がオフェンスリバウンドからの得点、さらに#7薮内夏が1on1からバスケットカウントをとる。そのフリースローは外れるが、ここでもリバウンドを取り、#25加藤がゴール下を決めて51-50と逆転する。また、ディフェンスでは引き続きゾーンを使ってJOMOのドライブを使った攻撃を止め、外のシュートを多くさせて得点を許さない。この日好調の#11矢代・#25加藤を中心に攻め、さらに調子の戻ってきた#6堀部の1on1や3ポイントシュートも決まり、一気に62-54と点差を広げる。終了間際にはディフェンスリバウンドからの速攻を#25加藤が決め、64-54と日本航空が10点リードして第3クォーターを終える。

第4クォーターに入って、JOMOは動きのあるオフェンスで対抗してくるが、パスエリアが狭くなったところをつき、日本航空がスティールするなど、なかなかJOMOにオフェンスを組み立てさせない。7分50秒には#6堀部の3ポイントシュートが決まり、71-54としたところでJOMOにタイムアウトを取らせる。その後JOMO#1大神に3ポイントシュートを決められるが、ミスマッチをついた#7薮内夏のポストプレーが決まり、流れを渡さない。その後、JOMO#4立川に3ポイントシュートを決められ、さらに残り6分18秒には24秒オーバータイムをとられ、タイムアウトを取る。だが、その後もJOMOの厳しいプレスディフェンスになかなかオフェンスが機能しなくなる。しかし、残り4分35秒、JOMOのキャプテン#10矢野の個人ファールが4個になると、JOMOのディフェンスのリズムが悪くなる。それを機にディフェンスリバウンドやスティールからの速攻がよく決まり、リードを広げる。残り24.5秒にはJOMO#10矢野が5ファールでベンチに下がる。残り7.7秒、JOMO最後の攻撃で24秒ギリギリに#8田中のドライブにファールをしてしまい、フリースロー2本を決められるが、その後ボールをキープし、85-72で日本航空が開幕戦をJOMOに対しての初勝利で飾った。


24得点の活躍日本航空#11矢代

勝利に貢献日本航空#25加藤

前半引っ張ったJOMO#8田中

日本航空 李監督
「試合前にJOMOに対して、3人(大山・浜口・楠田)が抜けてチームが安定していないだろう、という予想をしていましたが、それが思ったとおりでした。今日の勝利は“まとまっていないチーム”が相手だったので、これからのゲームはもっと大変です。しっかり練習をして向かわないと、勝てないでしょう。
10年以上もチームでやってきた選手たちが急に3人も抜けて、特に浜口選手くらいチームの勝利に貢献できる選手はいませんから、はっきり言って、そのおかげで勝てたと言ってもいいでしょう。この3人の選手が抜けて、その埋め合わせをしていくのは、相当時間がかかると思います。
今日のゾーンディフェンスは、JOMOの選手たちは小さくて、うちより速いので、マンツーマンで止められなかった時用にゾーンを準備していました。できればマンツーマンでいきたかったのですが、勝つためには仕方がないです。使ってみて、“ゾーンに弱いチームだな”と思いましたね。これからも使っていきますよ。相手の弱点ですからね。
今日は加藤(五月#24)と(#3薮内)敏美さんに助けられました。敏美さんはリバウンドやディフェンスが強いので、センターとして、いい働きをしてくれてます。
あと、矢代(直美#11)はここ2年くらい、本当になかなか十分な働きをしてくれてなかったのですが、今日は思い通り…ほどではないですが、半分くらいはやってくれたので、それが勝利よりもうれしいです。」

日本航空 キャプテン #7 薮内夏美
「点数的には勝っていますが、たくさんのミスや欠点がでました。なので、喜びたいですけれど、素直には喜べないです。JOMOは去年に比べると、浜口さんが抜けて、高さがなくなった分、リバウンドが取れなくなって、セカンドシュートが減りましたね。
オリンピックから帰ってすぐに、チームで韓国遠征にいきました。自分たちがチームにいなかった間も、残っていたみんなは頑張って練習してきていたので、みんなに負けないようにしなくてはという思いで練習してきました。うちは合わせのプレーが重要なので、急に2人が帰ってきて、チームに入って、それで合わなくなったと言われないように頑張りました。でも、今日の試合で欠点がいっぱいあったので、もっともっと練習しないといけないです。
オリンピックを経験して、決勝のアメリカ戦を観戦していて、あのボールに対する意識というか、喰らいつきの精神がすごいって思いました。自分もああいうプレーがしたいって思いました。」

#11 矢代直美
「先ほど薮内も言ったとおり、うちは合わせが基本なので、チーム練習が十分できていない気がして、毎日毎日とても不安でした。昨日もまだ不安なままでしたが、今日は“やるしかない!”と思って試合に臨みました。でも、もっと時間が必要です。
薮内敏美とのインサイドのコンビプレーは、彼女は身体能力がとても高いので、自分がパスミスをしても取ってくれるし、ディフェンスのカバーもしっかりやってくれるので、とても助かります。
オリンピックに行って、日本が海外で戦うにあたって、やはり“身長の低さ”というものを痛感しました。なので、もっともっと走る部分に磨きをかけていかないといけないと思いました。」

JOMO #1 大神選手
「ディフェンスでブレイク(速攻)を出されてしまったり、リバウンドが取れなかったりと、基本的なミスが多かったです。リョウ(#10矢野良子・CAP)やラック(#11川畑)からディフェンスをとの指示が出ていましたが、5人全員で戻るっていうことができていませんでした。
オリンピックのため練習が不十分な点は、日本航空の薮内さんや矢代さんも同じなので、この3週間の中で、どこまでチームがよくなるかということを考えてやってきました。走る練習を中心にやって、雰囲気はよかったし、開幕に向けて盛り上がっていたので、とても悔しいです。ボールのサイズが変わったことは特に問題はありませんでした。それが敗因ではありません。
今日はPGとして、ゲームコントロールする余裕がなかったです。特に相手がゾーンディフェンスを始めてからは、動きが上手くリードできなくて、他の4人が同じ動きをしてしまったりしました。それで第2クォーターで一気に点差が縮まってしまいました。もっとしっかり声を出さないといけないです。」



 今まで日本の女子バスケットボール界を引っ張ってきた大山・浜口・楠田の3選手が引退後の始めての試合。やはり、彼女らの抜けた穴は大きかったか。特に強力なインサイドプレーヤーであった浜口の不在は、JOMOのオフェンスの核とリバウンド力を低下させた。それは日本航空がゾーンディフェンスを使った時、明らかに出た。インサイドにボールを入れられないJOMOは、外でボールをまわすだけで、ディフェンスを振ることも、崩すこともできない。無理に突っ込めばターンオーバー、外のシュートは入らず、リバウンドは取れない…さらには多くの速攻を出される状態になってしまった。1年目の諏訪も試してみたが、現状では通用しなかった。このゲームを見て、これからのJOMO対策にゾーンを用いるチームも多くなるだろう。
 日本航空は1人1人が自分の仕事を意識できていた点が、集中力にもつながったように見えた。また、ベンチメンバーである#3薮内敏と#25加藤の活躍がチームを引っ張った。薮内敏はリバウンドというだけでなく、ファイトあふれるプレーでチームを鼓舞していた。さらにはこの日24得点の矢代が果敢にゴール下を攻めた。パワーで押すインサイドプレイヤーではないが、対するJOMOは浜口がいないとそれほどパワープレーはしてこないので、気持ち的にもやりやすかったのか。オリンピックではほとんどプレータイムがなく、会見では「昨日まで不安だった」と言っていたが、コートに立てることをとても楽しんでいるようにも見えた。
 開幕は今年もJOMOがシャンソンに敗れるという形で始まった。昨年はしかしその後JOMOの独走となったが、今年はどうなるか。明日は代々木第2体育館で今シーズンの優勝候補NO.1とささやかれているシャンソンが登場する。

(渡辺美香)

<オープニングセレモニー>
試合開始前にオリンピック代表セレモニーが行われた。
代表選手が全員そろい、麻生会長からの言葉と、キャプテン大山選手のコメントがあった。
「目標の決勝リーグにはいけませんでしたが、頑張ることができました。これもみなさんの応援のおかげです。」
このオリンピックを最後に現役を引退した、大山・浜口・楠田の3選手に麻生会長から花束の贈呈が行われた。

その後すぐにオープニングセレモニーへ。ダンスパフォーマンスの後は日本航空から順に1人1人選手の紹介が行われた。暗い会場の中、センターサークルにライトが当り、一人ひとりそこに立ち挨拶する。ポーズを決める選手、深々とお辞儀をする選手、ボールパフォーマンスを見せる選手と皆とりどりに観衆に応えていた。その後、JOMOの優勝杯(JABBA杯:矢野、ならびにWJBL杯:川畑)の返還を行い、国歌斉唱をして、セレモニーは終了した。セレモニー終了時には両チームからサインボールやTシャツのプレゼントが選手たちの手で客席に投げられた。


花束の贈呈


<WJBL 第1節>
9月24〜26日(金〜日) 会場:代々木第2体育館


<Wリーグ>
             
 
64
26
1st
18
61
 
富士通
16
2nd
10
日立HT
11
3rd
15
11
4th
18

             
 
79
31
1st
13
62
 
シャンソン化粧品
6
2nd
13
三菱電機
20
3rd
20
22
4th
16

             
 
91
30
1st
14
58
 
トヨタ
18
2nd
20
デンソー
29
3rd
14
14
4th
10

<W1リーグ>
             
 
73
21
1st
16
41
 
東京海上日動
18
2nd
8
荏原
20
3rd
13
14
4th
4

             
 
60
18
1st
20
73
甲府
12
2nd
9
アイシンAW
7
3rd
18
23
4th
26

<取材・文 渡辺美香/構成 北村美夏>