アメリカ大学野球事情 

アメリカの大学野球の説明の前に、まずは学生スポーツの仕組みについて簡単に説明しましょう。

アメリカの学生スポーツは季節によって行う競技がかわります。
新学年がはじまる9月からから11月までを秋季。
12月から3月を冬季。4月から6月までを春季。
このように3つにわけて、その季節ごとに部活もかわります。
秋季ではサッカーやアメフト。冬季ではバスケットやアイスホッケー。
春季に野球をやります。ですから、センスのある選手は各部活で優秀な成績を残して
NBA(バスケット),MLB(野球),NHL(アイスホッケー),NFL(アメフト)のアメリカ4大スポーツの複数団体からドラフトされる時もあります。(例えば、NBAとMLBなど)

オマハへ行こう

アメリカの大学野球は金属バットを使います。日米大学野球では木のバットを使いますが、うまく対応できるのでしょうか?
全米一を決めるカレッジワールドシリーズ(日本でいう全国大学野球選手権)は1947年ミシガン州カラマズーではじまりました。1964年からネブラスカ州オマハで行われるようになり、アメリカ大学野球の選手たちにとっては「オマハへ行こう」が合言葉になっています。試合は全て全米中継され、2万4000人収容のスタンドも常に超満員です。いうならば「アメリカの甲子園」といったところでしょうか。

ダブルイリミネーション方式
アメリカの大学野球では、単なる総当り方式ではなく「ダブルイリミネーション方式」というものを採用しています。
簡単に説明すると、以下のような方式です。
* * * * * * * * * *
あ、い、う、えの4チームがあるとする。

A試合 あ−い
B試合 う−え
C試合 A試合の勝者−B試合の勝者
D試合 A試合の敗者−B試合の敗者(この試合の敗者は、敗退)

つまり2度負けたら「おしまい」ということ。
この後、

E試合 C試合の敗者−D試合の勝者(この試合の敗者も「2敗」になるので敗退)
F試合 C試合の勝者−E試合の勝者

C試合
の勝者はここまで0敗だが、E試合の勝者は1敗している。(A、B、Cのいずれかの試合で)
よってF試合C試合の勝者が勝てば、E試合の勝者は2敗になり敗退が決定するが、E試合の勝者が勝てばC試合の勝者と1敗で並ぶ。その場合、もう一度戦って敗者を決める。
こうして、1チームが勝ち抜くのが「ダブルイリミネーション方式(2回負けたらおしまい方式)」です。

カレッジワールドシリーズ(全米大学野球選手権)への道のり
まず、全米からシーズンの成績が優秀な上位64大学が選ばれます。
その64チームが4チームづつ16の地域にわけられダブルイリミネーション方式でそれぞれ1校が勝ち抜けます。
各地域を勝ち抜いた16チームが、今度は2チームづつ8つのペアに分けられて、そこでベストオブ3(2戦先勝)方式の対戦を行う。そうして勝ち抜いた8チームがカレッジワールドシリーズへの出場権を獲得する。 カレッジワールドシリーズは、4チームづつ2つのブロックに分けてダブルイリミネーション方式で戦い、勝ち残った2チームが決勝に進出します。
決勝はベストオブ3で行い、ようやくチャンピオンが決定します。

今年の決勝はテキサス大学とカリフォルニア州立大学フルトン校の間で行われ、フルトン校が連勝して全米一に輝きました。

日米大学野球のアメリカ代表チームは、CWSに出場したチームの選手を中心に選ばれます。

プチ知識
先日、阪神と契約したトレイ・ホッジス投手(以前ヤクルトにいたホッジス投手の弟)は2000年のCWSでルイジアナ州立大学のエースとして活躍。MVPを獲得しています。

日米大学野球、日本代表はこちら


S-move編集部 京都純典
 愛知県岡崎市出身。父の仕事の都合で、中学3年から高校卒業までアメリカ・ニューヨーク州で過ごす。 和洋、プロアマ問わない、根っからの野球好き。中日ドラゴンズの日本一を願ってやまない「福留世代」。
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