<デフ男子日本代表>
〈3〉『シューターの称号は譲れない。』
手塚 清貴
175cm/F

地域のクラブで教わった3ポイントシュートに「磨きをかけました」。練習ではスクリーンをうまく使い、ディフェンスを振り切って一心に3ポイントを狙う表情はピュア・シューターそのもの。

しかし素顔は17歳の、「バリバリの受験生!」。よく中山(明)とわいわい話している。得意な科目は、体育・社会。「地理大好き。一人旅大好き。今まで行った中では、長崎が良かったですね。次は北のほうに行きたいです。旅費はバイトを頑張って出しました!受験でやめるまで、1年4ヶ月続けたんですよ。受験は…将来は先生になりたいので頑張ります。」

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バスケットを始めたときのことを教えてください。
「小3のとき、昼休みに先輩がやっていたのに混ぜてもらうような感じで始めました。小さいけどがんばってシュートを打って(笑)、入るのが楽しくて、それをきっかけに小5からミニバスケットに所属していました。
でも中学校にはバスケット部がなくて…ろう学校にはバスケット部はあまりないんですね。陸上をやりながら、他の中学に週1回通っていました。今は高校と、地域のクラブに所属しています。 」

バスケットをやっていて良かったこと、逆に大変だったことは
「良かったことは、色んな人と出会えたこと。それから、バスケットはスポーツの中でも一番きついスポーツ。それをやれることに誇りができます。
大変なことは…いっぱい走ること。それからチームのスポーツだから、チーム関係とか大変です。(チームを)1つにするにも、それぞれの考え方が違いますし。あと、長野でのチームと日本代表チームのレベルの差!みんなうますぎる…。」

そのチーム関係の調整は、どのように対応したんですか?

「やっぱり話し合い。自分勝手を抑えて、自分より周りを見ることですね。自分も代表に選ばれて、周りを見られるようになりました!」

なるほど。学業との両立は大変ではないんですか?
「それは…はっきり言えば大変です。だけど、1度だけしかない人生だから、頑張らなきゃ!と思います。」

では、代表の話に戻ります。チームでの役割や自分の持ち味、、課題は何だと思いますか?
「持ち味は、3ポイントと、3ポイントと、3ポイント!(笑)。それから1on1、特にジャンプシュートですね。今日(弥生クラブ戦)ではブロックくらってしまいましたけど。
ちなみに課題はそこです。世界の選手は大きい。アメリカの選手がこのくらいで、自分はこのくらい(と自分の3倍くらいの大きさのアメリカ選手の絵を描く)。NBAでは、“NBAライン”といって国際ルールより1m後ろに3ポイントラインがありますが、自分もブロックされないように遠く打てる3ポイントシューターになりたいです。するどく、すばやく、ですね。 」

最後に、手塚選手にとって“代表”ってどんなものですか?
「耳の聞こえない世界からの選ばれし者。日の丸を背負っていくわけだから、プレッシャーがあります。毎日毎日、プレッシャーがなかった時はなかったです。でも、選ばれないほうが良かったとは思いません。プレッシャーがあったほうが、生きがいがあるから。」

(2004年6月13日インタビュー)

<取材・文 北村美夏>

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