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〈終〉『ワンサイドオフェンス』専修大 (5/30：決勝)　レポートはこちら

　早稲田、日大、法政と1部校を次々と倒して決勝に進んだ青学大だったが、専修大は別格だった。
　もちろんスロースタートや、何度も追い上げられることはあった。だが、終わってみると専修大のオフェンスばかりが思い出される。パワーのある長澤197cm、リバウンドの強い波多野193cm、身体能力の高い大宮198cm。3タワーの上にベンチにはオールラウンダーの伊藤197cmをはじめ190cm台の選手が6人も控えている。だからといって中を固めた途端、外から中川和・小淵の確率の高い3ポイントシュートを次々と決められてしまう。しかもその攻撃力がメンバーが代わっても、残り時間が少なくなっても衰えないのも特長だ。疲れて攻められなくなる、いや攻め疲れるということさえ彼らは知らない。
　決勝で大宮は5本のダンクを披露した。攻めるチームは止まらない。

〈5〉『足りない何か』東海大 (5/27：6回戦)　レポートはこちら

　残り2秒まで勝っていた。だが、そこからベスト8の切符を離してしまった。
　昨年のインカレでは3点差で東海大勝利。そのメンバーがほとんど残る東海大有利と思われたが、またしても接戦となった。その中で東海大は第4クォーターに6点差をつけたが、残り2秒で追いつかれ、延長では力尽きた。
　 2部とはいえ、持っている力は1部クラス。その上、昨年の入替戦惜敗の悔しさを晴らすため、シーズンが始まったばかりといえども気持ち的にも技術的にも厳しい練習を積んできたはずだ。だが、最後に失速してしまった。
　あと何が足りないのか。その小さな何かが見つからないのがもどかしい。

〈4〉『最後まで笑った』東洋大・＃4須賀善仁選手(4年) (5/26：6回戦)　レポートはこちら

　東洋大は、前年度優勝の日大を相手に第2クォーター27点取るなど大健闘。最後までディフェンスコールが途切れず、あきらめずに走り回った。精一杯やれたからか、4番の須賀善仁は終了後の挨拶時笑顔を見せていた。

「やってきたことを見せることが出来たと思います。でももうちょっとやれたかな。自分達の方がどう見ても小さいので、スピードとディフェンスで対抗しなければなりませんでしたが、最後は少し疲れてしまいました。」

終盤はディフェンスで足がついていかずファールがかさんでしまい、中には足がつってしまった選手もいた。
「去年も日大だったし今年もかなというのはありました。でも嫌とかではなくて、日大のような強いところとやれたのは絶対に良い経験。なのでそれを秋のリーグ戦にどう生かしていくかですね。いけると思うんですけどね…チームもいい感じだと思うし。」

春に得た“いい感じ”が、秋にどんな形で見られるようになるだろうか。

〈3〉『リーダーシップ』明治大・＃10黒田裕選手(3年) (5/26：6回戦)　レポートはこちら

　明治大の黒田は、フリースローのとき必ず1本目のリバウンドを取って丁寧に審判に手渡す。センターという体の接触が多いポジションだが、どんなにダーティなファールをされても怒る素振りも見せない。

　その黒田がこんなことを言った。
「やり返せばいいんだぞ！」
　大東大のエンドスローインで、チームメイトに「センター来るぞ！」と言われていながらバスケットカウントを許してしまった1年生センター・古橋へ向けた言葉だ。
「あの言葉は別に腹が立っていたとかではなくて、思ったことを言っただけです。古橋はまだ先があるやつだし、怒っても気持ちが折れてしまうだけ。だからああいう言い方をしたんです。」

　黒田は193㎝とこのポジションでは決して大きくないが、練習のビッグマンドリルで押し役の相手を簡単に跳ね返す程のパワーの持ち主。この日も1on1で1部のセンターを圧倒していた。「プレイングタイムが1番長いのが黒田。あいつがコートにいると安心できる。」と塚本ヘッドコーチからも信頼されている。

「今までも割と声を出してきたつもりなんですが…(笑) もう3年生で上級生だし、リーダーシップを取らないとと思いまして。」
優しすぎる大黒柱が自覚を持ち始めた。

〈2〉『しゃべる明治』明治大 (5/25：5回戦)　レポートはこちら

　今年の明治はとにかくにぎやかだ。コートの中も外もよくしゃべる。
一番顕著なのが塚本新ヘッドコーチ。「ディフェンスだ！ここだ！」と手を叩き続ける。身振り手振りも大きく、選手と肩を組み背中を叩いて指示を出す。
　コートで一番大きな声を響かせていたのは今シーズンからポイントガードにコンバートされた＃14神崎健(3年)。フォーメーションコールはもとより、「大樹さん、上がって！大樹！」と先輩の＃6樋渡を呼び捨てにしてしまうほどのゲームメイクぶり。プレー以外の面でも、「我慢！」「ここが離しどころだぞ！」と存在感を発揮していた。
　それ以外にも、4年生の＃5尾崎がオフェンスでのミスの直後に「ディフェンス！」と落ち着かせようとしたり、試合中は大人しい＃10黒田が「(フォーメーションで)だめならだめってすぐ言わなきゃだめだよ」とはっきりと言っていたり。そして、ベンチも反対側のスタンドも積極的にコート内に声を掛ける。
　おかげで明治の勢いは最後まで落ちなかった。終盤に出てきた選手も短い時間ながらディフェンスにオフェンスに積極的に動き続けた。
　昨年は2部リーグ6位ながら、明治の潜在能力は高い。今後ぶつかる1部校とも、厳しい時間帯を我慢しこの勢いを途切れさせなければ、対等にわたり合えるのではないだろうか。

〈1〉『気持ちだけ』駒澤大・＃15外山真也選手(2年) (5/25：5回戦)　レポートはこちら

　第2クォーターの追い上げに、駒澤大は盛り上がり。しかし第3クォーターそれと逆のことが起きると、一転静かになった。その中で1人、あきらめずに声を出し続けた部員がいる。
「頑張ろうよ！」「声出していこうぜ！」「中合わせてやれよ！」「ここ大事だよ！」
2年生の外山真也だ。声を出すというより最後までコートの仲間に呼び掛けるという感じだった。

「声はいつも出しています。練習でもずっとです。みんな沈んでしまっていたので、盛り上げてもう一度まとまれればと思って。」しかし大差がついた。「こんなに差がつくとは思わなかったです。経験の差じゃないですかね。1人1人がやることをしっかりやらなければいけなかったですね。」

　その“1人1人”に外山は入っていない。彼の座っていたところはベンチの反対側だ。「もどかしいっていうのはありましたよ。」だからと言って攻められもしないし、守れもしない。「メンバーに入るために足りないのはあと技術だけですね。気持ちは1番あるって思ってます。」
それでもこの試合、彼の気持ちだけは確かにコートの上にあって、駒澤大の選手に“もう一歩”を出す力を与え続けていた。