男女ベスト8出揃う:北陸高(北信越)、大会史上初の高校チームとしてベスト8進出 2005.1.3 特集ページはこちら |
1月3日、代々木第2体育館・東京体育館で男子第80回女子第71回全日本総合バスケットボール選手権大会(オールジャパン)が行なわれ、男女2回戦が行なわれた。 代々木第2体育館では男女ともに昨年の覇者が登場。それぞれの試合前には天皇杯・皇后杯の返還式が行なわれた。4試合中3試合がJBL・WJBLvs学生となったが、全てJBL・WJBLが勝利した。 東京体育館ABコートはこちら|東京体育館Cコートはこちら |東京体育館Dコートはこちら |
<平成16年度男子第80回女子第71回全日本総合バスケットボール選手権大会 男子2回戦> 1月3日(月) 会場:代々木第2体育館
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スターティングメンバー |
4本の3Pシュートを含む26得点の 日本大#7蒲谷 |
その後アイシン#55マッカーサーのオフェンスリバウンドにやられるも、日本大も#9呉屋がフェイダウェイ・シュートやドライブイン・シュートと連続して決め、流れを渡さない。終了間際アイシン#6後藤に3ポイントシュートを放たれるもはずれ、32-38と日本大がわずかにリードを縮めて前半を終える。 第3クォーター開始直後、日本大#7蒲谷が3ポイントシュートを決め、点差は3点に。アイシン#6後藤にミドルシュートを決められるも、またもや日本大#7蒲谷がこの日4本目となる3ポイントシュートを決め、38-40と2点差に詰める。しかしアイシンも確実なパスワークで得点し、なかなか追いつけない。#5太田がゴール下で決めるが、すぐに返され、#7蒲谷がミドルシュートを決めるが、これもすぐに返されてしまい、2点が追いつけない。さらにここからアイシンにハーフコートでの速さを生かしたオフェンスを展開され、#6後藤・#7外山に立て続けに得点されてしまう。そして残り2分39秒、アイシン#6後藤の3ポイントシュートが決まり、42-55と一気に点差をつけられてしまう。日本大はこのクォーター後半を#7蒲谷の1on1からの1本だけに抑えられ、46-63と一気に差をつけられて第3クォーターを終える。第4クォーターに入っても、アイシン#43高辻に連続得点されリードをひろげられるが、粘る日本大は#9呉屋・#7蒲谷が積極的に1on1を仕掛け、得点を重ねる。さらには#4日下の3ポイントシュートや#5太田のゴール下で得点するが、アイシンのオフェンスを止められず、点差は縮まらない。結局最後は63-84と21点差をつけられ、日本大のスーパーリーグ1位への挑戦は幕を閉じた。 (渡辺美香) |
日本大・川島淳一監督 「今日のゲームは楽しかったですね。太田がよくゴール下で頑張ってくれました。蒲谷も昨日(1回戦の豊田通商戦)は全然ダメでしたが、今日は本当によかったですね。蒲谷の場合、何ヶ月に1度か2度あるかないかって言う感じですが(笑)。負けはしましたが、今日は非常に満足できる試合でした。JBLと試合をやる機会は本当に少ないです。今日のアイシン戦は、今自分たちがそのくらいのレベルなのか、どこまで通用するのか、なにが足らないのかを考える、とてもいい機会になりましたね。やはりアイシンは強かったです。前半はなんとかついていけていましたが、後半一気に離されてしまった。そうなるともうこちらは立ち直れないですね。見習うべきものがたくさんありました。」 |
『いいぞ!敦也!がんばれ!敦也!』 日本大・#5太田敦也(2年・C) 日本大のセンターは2年生の太田敦也。206cmの長身でA代表候補にも名を連ねた。しかし、同じ2年生の竹内兄弟には及ばなかった。ローポストでボールを受けてもゴールに向かえない、そんな弱さが彼にはあった。 その太田がこのオールジャパンでたくましい姿を見せた1回戦の豊田通商戦。ローポストでボールを受けると、怯むことなくゴールに向かう。かと思えば、落ち着いてアウトサイドにアシストパスを出す。それでもベンチからは「敦也!だめだ!もっとしっかり!」との檄が飛ぶ。キャプテンでありPGでもある#4日下は何度も「敦也!敦也!」と大きく叫ぶ。川島監督からも厳しい言葉が掛けられる。そこでも太田はめげることなくしっかりとうなずき返す。シーズン最後のここに来て、日本大のセンターは大きく成長した。豊田通商に勝って次は王者・アイシン戦。最強のインサイドプレーヤー・マッカーサーとの対戦となる。 「JBLのチームとの練習ゲームで外国人選手と真っ向からやれたことで、随分自信がついてきた。」と川島監督が言うとおり、アイシン戦の太田は、マッカーサー相手にも決して臆することなく向かっていった。力の差はまだある。上手くいかないことも多かった。しかし太田は何度も何度もローポストからの1on1を仕掛けていく。ゴール下まで身体をねじ込むと、マッカーサーの長い腕のディフェンスをかわしシュートを決めた。 「いいぞ!敦也!」沸き返る日本大のベンチ。前日の豊田通商戦では「ダメだ!もっと!しっかり!」という言葉ばかりが聞こえたその声は、今日は「いいぞ!敦也!」「頑張れ!敦也!」に替わっていた。 一度だけ太田がゴール下でシュートを躊躇した場面があった。目の前にはマッカーサーが立ちはだかっていた。多くの人がそこで「行け!」と思ったことだろう。しかし、彼はシュートを打たなかった。すかさずベンチから声が飛ぶ。「敦也!シュート打っていいんだぞ!」「敦也!打て!」その声に彼は力強くうなずき返した。 「もう1ヶ月早かったら…」の気持ちは誰もが感じるだろう。しかし、太田はリーグ戦中も、インカレ中も成長し続けていた。その集大成がこのAJでのプレーとなって現れたのだ。 試合後そんな太田を川島監督は「いや、まだまだですよ。」と語った。太田は「まだまだ」これからも伸びる選手だと。 インカレ終了後の学生にとってAJはなかなかモチベーションを保てない大会となることが多い。しかし、そこでしか得られないものもあると、試合後清々しい表情を見せた日本大の選手たちを見ながら思った。 (渡辺美香)
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<平成16年度男子第80回女子第71回全日本総合バスケットボール選手権大会 男子2回戦> 1月3日(月) 会場:代々木第2体育館
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スターティングメンバー 日立:#3柏木、#7五十嵐、#11菅、#24佐久本、#25山田 東海大:#5小林、#7吉留、#11石崎、#12内海、#15竹内 第1クォーター開始のジャンプボールを日立の#7五十嵐にドライブで持ち込まれ、東海大はファールで止める。そのフリースローで日立に先取点を取られるが、すぐに攻め返し、#12内海がフリースローをもらう。#12内海は2本とも決めるが、そのオフェンスで東海大#11石崎が転倒しベンチに下がる。代わって入った#4入野がすぐにミドルシュートを決め、流れを作るが、日立のガードコンビ#3柏木・#7五十嵐の速さに対応できず、徐々に離されていく。オフェンスが落ち着かない東海大は日立にスチールからの速攻を連続して決められ、残り5分には8-13とされる。その後も#24佐久本に1on1からのミドルシュートを連続して決められるも、東海大も#8池田の3ポイントシュートでなんとかつなぐ。しかし日立#9宮ノ腰にも3ポイントシュートを決められ、14-22と8点リードされて第1クォーターを終える。第2クォーター、日立#3柏木・#7五十嵐のガードコンビの速さに東海大はオフェンスもディフェンスもリズムが作れない。このクォーター日立に25得点されたのに対し、東海大は7得点に抑えられ、21-47と差がついて前半を終える。 |
アクシデントにも怯まずチームをリードした東海大#4入野 |
第3クォーターも日立のペースは変わらない。それでも東海大は#7吉留や#12内海がミドルシュートを決め、流れを作ろうとする。1年生の#5小林も果敢に攻め得点するも、日立のオフェンスを止められず、点差は開き、36-72で第3クォーターを終える。第4クォーターはどちらもベンチメンバーを出しての点の取り合いとなる。日立#22山下のゴール下や、東海大#6原田のシュートなどでベンチは沸くが、点差は変わらず。54-88と34点の差をつけられて、東海大がスーパーリーグの日立に敗れた。 (渡辺美香) |
東海大・陸川章監督 |
『負けから学ぶ』 東海大 「点差はついてしまいましたが、いいゲームができました。」試合後東海大・陸川監督は力強くそう言った。 前日のさいたま戦。日本リーグ1位のチームに大差での勝利。そしてこの日の対戦相手はスーパーリーグ7位の日立。アップセットを狙って臨んだ“チャレンジャー”たちだった。しかし、試合開始からわずか30秒、アクシデントがおきた。司令塔であり陸川監督が「もっとも信頼を置く選手」でもある#11石崎が転倒し、ベンチにさがる。「勝負ですから、なにが起こるかわかりません。仕方ないですね。」試合後はそう語った陸川監督だったが、その時は彼のゲームプランが全て崩れた瞬間だったに違いない。日立側もPG石崎を最重要プレーヤーと見ていたようで、どちらもゲームプランの変更をせざるを得なくなった。 しかし石崎のいない東海大はここでこれまでにない集中を見せた。替わって入った4年生の#4入野、スタートの#7吉留がチームを引っ張る。これまで「下級生のチーム」といわれた東海大が4年生のリードでゲームを進めていく。これに応えるように内海が、池田が、西堂が、竹内が…。自分たちの上におきたアクシデントに打ち勝つように必死にプレーする。 1年生ながら今回選手としてエントリーできなかった4年生稲葉(コーチとしてベンチに入る)の番号を継いだ#5小林は、石崎のいないこのコートで日立のA代表ガードに臆することなく挑んでいった。 点差はどんどん開いていく。しかし、東海大の選手たちの足は止まることはなかった。そしてベンチでは、松葉杖を傍らに置き、左足関節をかばうように膝を抱えながら、石崎がじっと見守る。 「今選手たちには休養が必要です。石崎はこの1年間本当によく頑張りました。この怪我はきっと神様がそんな彼に『休みなさい。』といったのでしょう。」(陸川監督) 東海大のシーズンはある意味思わぬ形で終わった。しかし、この日の試合で得たものはきっと大きいにちがいない。#4入野は卒業後高校の教師として、指導者を目指す。今日の経験が活かされ、これからこのAJのコートに立つ選手を育てる意欲につながったことだろう。#12内海はコート上でリーダーシップを発揮したプレーを見せた。石崎がいないことでプレーヤーとしての責任感を強く感じたに違いない。1年生の#5小林はA代表ガードというレベルの高い選手とマッチアップし、自分の力を出す“気持ち”を持つことができた。そして石崎には、自分の出られないゲームを見つめ、なにかを感じ、つかんでいてもらいたい。 『負けから学ぶ』ことがこのチームをもっとも強くするように感じた。 (渡辺美香)
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<平成16年度男子第80回女子第71回全日本総合バスケットボール選手権大会 女子2回戦> 1月3日(月) 会場:代々木第2体育館
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<取材・文 渡辺美香> |